吉高由里子主演『光る君へ』題字が決定 制作は書家・根本知「“流れ”が感じられるように、何度も筆をとりました」

ドラマ
2023年05月22日
『光る君へ』©NHK

吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合ほか 2024年放送)の題字が完成。制作の書家・根本知、制作統括の内田ゆきチーフ・プロデューサーによるコメントが到着した。

大河ドラマ第63作は、「源氏物語」の紫式部を主人公とする『光る君へ』。武家台頭の時代を目前に、華やかにひらいた平安文化の花。きらびやかな平安貴族の世界と、懸命に生きて書いて愛した紫式部の一生を描く。

主人公の紫式部を演じるのは吉高由里子。柄本佑が当時の最高権力者・藤原道長を演じ、『功名が辻』(2006年)以来の大河ドラマとなる大石静が脚本を手掛ける。

そんな本作の題字を、書家・根本知が制作。大東文化大学や立正大学、相模女子大学などの教壇に立つ傍ら、腕時計ブランド「GrandSeiko」への作品提供(2018)やアメリカ・ニューヨークでの個展開催(2019)など、多岐に渡る創作活動を行っている根本。

無料WEB連載「ひとうたの茶席」(2020〜)では茶の湯へとつながる和歌の思想について解説、および作品を制作。近著に「書の風流 ー 近代藝術家の美学」(2021、春陽堂書店)がある。

発表にあたり寄せられた、根本と内田チーフ・プロデューサーによるコメントは以下を参照。

書家・根本知 コメント
『光る君へ』©NHK

『光る君へ』は、漢字とかな文字が交互に並ぶタイトルです。紫式部と藤原道長、両者の想いが入り混じり、それでいて互いに感化し合うような、そんな印象の題字を書きたいと思いました。日本書道の魅力の一つに「流れ」の美しさが挙げられます。文字だけでなく、文字と文字の間にも流れが感じられるよう、何度も筆をとりました。ドラマでは、書道指導も担当します。平安時代の書に向き合える喜びとともに、身の引き締まる思いです。

制作統括 内田ゆきチーフ・プロデューサー コメント

『光る君へ』出演者への書道指導を根本知先生にお願いして、最初のレッスンの日。先生の手元から生まれる柔らかくみずみずしい墨跡。そして、爽やかに、それでいて情熱的に書を語る先生の言葉。全く書道の知識がない私ですが、平安の人々にとって、どんなに文字が大切なものであったかに思いをはせ、心の内を表す手段というだけでなく、文字そのものが宝といっていい文化であり、連綿と私たちに伝わってくれたことへ感謝する気持ちになりました。
紫式部の『光る君へ』だからこそ、題字は絶対に毛筆でいきたいと思っていました。決め手は、もちろんまず根本先生の字の美しさ、優しさ、色気。加えて、手紙に書類に、和歌に漢詩に、日記に物語にと文字を書く人たちによって紡がれるこのドラマを、ご一緒にわくわくしながら作ってくださっている安心感でした。
題字を眺めると、自在に静や動が操られて一つの世界を描くように、文字から文字へ、軽やかにつながっていきます。中でも私が好きなのは「光」の最後の一画。このたおやかな曲線は根本先生にしかできない、と、見るたびに感じ入ってしまうのです。この題字が光を発して私たちの物語のよりどころを一つ示してくれているようで、非常にうれしくありがたく思っております。

物語

10世紀後半、京で生まれた一人の女の子。まひろと名付けられる。父・藤原為時は漢学や和歌に秀でた文人の家系だが、下級貴族である一家の暮らしぶりは豊かではなかった。
まひろの文学の素質は幼い頃から際立ったものがあり、弟への講義を横で聞くだけで、漢学も和歌も覚えてしまうほどだった。学問はまひろにとって、心の中の豊かな世界観の礎となる。
少女のまひろが出会った運命の人。それが後の最高権力者となる藤原道長である。まひろと道長はやがてお互いに引かれていく。しかし両家の家格の違いと、まひろの母の死にまつわる秘密が、2人の関係に影を落とす。
その後、父の受領としての赴任先・越前に同行したまひろ。一方で、道長はライバルを蹴落とし、権力の階段を急速に上り始めていた。まひろは思いを断ち切って、京に戻り藤原宣孝との結婚を決める。宣孝とは父ほども年が離れており、娘を授かったものの、わずか1年で夫が急逝。まひろはシングルマザーとなる。
道長は、天皇に娘を入内させ、いずれは天皇の祖父=外戚となることをもくろんでいた。天皇、道長たち貴族、そして后や姫たちの複雑な人間関係を聞き知ったまひろ。子育ての傍ら、一編の物語を書き始める。主人公は皇子でありながら、臣下となった光る君。その呼び名のとおり光り輝くように美しい男性だ。「源氏物語」の評判は瞬く間に広がり、まひろは道長から、娘に后としての教養を授ける女房として宮中に上がるよう強く誘われる。
一人娘の養育のために、宮中に上がることを決意するまひろ。宮仕えの傍らで、道長のバックアップを得て、乞われるままに源氏物語を書き進む。書き上げる端から周囲が奪い合うほどの人気ぶりで、女性たちはもちろん、天皇までもが源氏物語に魅せられる。物語の登場人物「紫の上」にちなんで、まひろに「紫」の呼び名が冠されるほどだった。

番組情報

大河ドラマ『光る君へ』
NHK総合ほか
2024年1月放送スタート

公式Twitter:https://twitter.com/nhk_hikarukimie

©NHK