忘れてほしくない美璃(堀田真由)と忘れたくない空(萩原利久) 互いを思い合う気持ちが交差『たとえあなたを忘れても』第3話

ドラマ
2023年11月05日
『たとえあなたを忘れても』©ABCテレビ

堀田真由が主演、萩原利久が共演するドラマ『たとえあなたを忘れても』(ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット 毎週日曜 午後10時~10時54分)の第3話が、11月5日(日)に放送された。

ドラマ『たとえあなたを忘れても』は、夢を失った女性と記憶を失った男性が気持ちを通じ合わせる、切なくも美しいヒューマンラブストーリー。『神様、もう少しだけ』、『ラスト・フレンズ』などで知られる浅野妙子が執筆する、オリジナル作品となっている。

主人公は、音大を中退しピアニストになる夢を叶えられなかった河野美璃(堀田真由)。キッチンカーの店主・青木空(萩原利久)にほのかに恋心を寄せている美璃は、彼に記憶障害があり、これまでに4回記憶を失っていることを知る。

空の幼なじみ・藤川沙菜(岡田結実)も交えて、3人でごはんを食べに行くことになった美璃。そこで、空と沙菜が親しげに会話を交わすのを目の当たりにする。沙菜は空がアルコールに弱いこと、カニのアレルギーを持っていること、唐揚げが好きなことなどなど、美璃の知らない空の一面を次々と挙げ、さりげなく世話を焼く。うっすら感じる二人と美璃との壁…こうした苦い思いは誰しも経験があるものではないだろうか。

『たとえあなたを忘れても』©ABCテレビ

空が席を立ったとき、思わず美璃は「沙菜さんは彼とすごくいい雰囲気だし、いろいろあってもずっと変わらないんですよね」と言ってしまう。そんな美璃に、沙菜は「私だって今まで何度も寂しい思いをしてる。もう慣れただけ。あの子と付き合うには、覚悟がいるんよ」と、こともなげに返されるのだ。空と沙菜には”歴史”があり、それは美璃がまだ空と育めていないものだ。うらやましいという気持ちが先行していた美璃だが、その言葉で、沙菜がどれだけつらい思いを乗り越えてきたのか想像できずにいた自分に気付く。

『たとえあなたを忘れても』©ABCテレビ

空との向き合い方は、空の母である理佐子(檀れい)とのやりとりからも美璃はまた自身の甘さを思い知る。母親だという事実を空に告げない理佐子の振る舞いに、「いいんですか…?」と差し出がましくも聞いてしまう美璃。理佐子は、空に負担をかけないために言わない選択をしたいきさつを美璃にやさしく話す。理佐子の親子間だからこその苦しみと思いやり、覚悟を持った上で傍で支えているその態度に、美璃は言葉を失う。

理佐子・沙菜・空。彼らは、傷ついた過去の果てに今の適切な距離感を見つけた。空と知り合ったばかりで、かつ彼に対して恋愛感情を抱く美璃の胸中は複雑だ。空に負担をかけたくない、けれど空ともっと近づきたい、それでもまた忘れられてしまうかもしれない…ぐるぐると思い悩んでいることが、せりふを発さずとも堀田のピュアな演技から痛いほど伝わる。

『たとえあなたを忘れても』©ABCテレビ

ラストシーンでは、廃墟に何度目かのお出かけをする美璃と空の姿が映し出された。ピアノの前に座った二人、空は美璃にゆっくりと近づきキスをする。空は「美璃のこと、忘れへんよ」といとおしげに言う。しかし、美璃は「どうして分かるの?あなたは一度、私のことを忘れてる。二度目はないって…どうして分かるの?」と思いをぶつけ、その目からはとめどなく涙があふれ出た。忘れてほしくない美璃と、忘れたくない空…互いを思い合う気持ちが交差する。今日と同じ明日がくる、とは限らないから今を見つめるしかない。二人の哀しくも熱いまなざしに、胸が焦がれた。

●text/赤山恭子

番組情報

『たとえあなたを忘れても』
ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット
毎週日曜 午後10時~10時54分

制作発表会見 TVer:https://tver.jp/episodes/ep6t0b85ux

番組公式HP:https://www.asahi.co.jp/anawasu/

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