生田斗真、初のトランスジェンダー役で母親の偉大さを再確認「ありがとうを伝えたい」

映画
2017年02月27日

104652_01_R 生田斗真がトランスジェンダーという難役に挑んだことでも話題となっている、映画『彼らが本気で編むときは、』が公開初日を迎え、主演の生田をはじめ、桐谷健太、柿原りんか、荻上直子監督が舞台あいさつを行った。

 本作は『かもめ食堂』『めがね』などを手掛けた荻上監督の5年ぶりの最新作。優しさに満ちたトランスジェンダーの女性・リンコ(生田)と、彼女の心の美しさに惹かれ、すべてを受け入れる恋人のマキオ(桐谷)。そんなカップルの前に現れた、愛を知らない孤独な少女・トモ(柿原)の3人がそれぞれの幸せを見つけるまでの心温まる日々を描く、実話がベースのオリジナル脚本。先日行われた世界三大映画際のひとつである、第67回ベルリン国際映画祭で「パノラマ部門」、「ジェネレーション部門」の2部門に正式出品され、テディ審査員特別賞と観客賞(2nd place)のダブル受賞という快挙を果たした。

世界三大映画祭初参加となった生田は「ベルリン映画祭に行かせていただいて、現地の方や色んな人種の方々にこの映画が届いてくれたなと、すごく良い手応えを持って日本に帰ってくることができました。いい思い出です!」と晴れやかな表情を浮かべ、海外の映画祭が初となった桐谷は「上映後にみなさんがスタンディングオベーションをしてくださって。長い時間暖かい拍手をしてもらえたときに、本当にうれしく感じました」と感慨深けに語った。

桐谷の話を受け、「うれしかったです!」と新ためて率直な感想を語った生田は「会場の外でも知らないおじさんから“君の映画見たよ。すごいよかったね!”とか、たくさん声を掛けていただいて頑張ってよかったなと思いました。現地の方々が本当に良いリアクションを起こしてくれた」と。柿原と荻上監督も「初めての海外がベルリン国際映画祭に行かせていただくことができて、初めてレッドカーペットにも歩かせていただいて良い経験をさせてもらいました」(柿原)、「キャラ弁のところで、すごいドッカン、ドッカンうけてました(笑)」(荻上監督)と、それぞれベルリン国際映画祭を振り返った。

MCから「審査員全員一致での決定でした。リンコの演技は実に説得力があり、彼女を広い心でおおらかに見守る恋人と、胸を締めつけるほど愛おしい子役の存在は我々審査員の心を揺さぶり続けました。世界に十分アピールできる家族の物語になっている」とテディ賞の審査員の論評を読み上げられると、生田は「本当にありがたいです。やっぱり日本映画っておもしろいでしょって思ったし、これからの日本映画の可能性を広げていくべきだと。その力添えを自分もできればいいなと強く思いました」と。「本当にうれしいです。賞を獲ろうと思って僕たちは演じているわけではないし、良い作品をと思って作っているのがこうやって改めて賞をもらえると本当に純粋にうれしいし、ありがたいです」と語った桐谷は「恋人の広い心」という部分に関しては「やっぱり伝わるんですね~。みんなありがとうな!」とドヤ顔。生田も「広さが出ちゃったわぁ~」とのっかり、会場の笑いをさそった。

リンコからたくさんの愛情をもらったという柿原の言葉を受けた生田は「本当にりんかちゃんが可愛らしくて、守ってあげたいなと思った。自分が今までに感じたことがないような胸の痛みというか、きっと僕の奥底に隠れていた小さな母性みたいなものがこの(撮影)期間中は膨れ上がっていたような気がします」とコメント。

 また、5組の“母と子”という視線でも描かれている本作。撮影中に母のことを思い返すことがあったという生田は「実家に住んでいるときはテーブルに座ったら当たり前のようにご飯が出てきて、“ごちそうさま”って言ったら洗い物もやってくれて。当たり前のようにしていたけど、きっと自分の母親も“今日はこういうものを食べさせてあげよう。栄養を偏らないように野菜を入れよう”とか、愛情をもって色んなことを考えてご飯を作ってくれていたんだなと思うと、今更ながらきちんと“ありがとう”という言葉を伝えなきゃいけないなと。母は偉大だなと思った」と語った。

笑って、泣いて、心温まる、人と人との絆を紡ぐ“編みものがたり”、映画『彼らが本気で編むときは、』は公開中。

公式サイト:http://kareamu.com/