貫地谷しほり主演、越川道夫監督作「夕陽のあと」公開決定

映画
2019年07月29日
「夕陽のあと」

 越川道夫監督の最新作「夕陽のあと」が11月8日(金)より新宿シネマカリテほかで公開されることが決定し、出演者の貫地谷しほり、山田真歩、越川監督のコメントが到着された。

 豊かな自然に囲まれた鹿児島県長島町。1年前に島にやってきた茜は、食堂ではつらつと働きながら、地域の子供たちの成長を見守り続けている。一方、夫と共に島の名産物であるブリの養殖業を営む五月は、赤ん坊の頃から育ててきた7歳の里子・豊和との特別養子縁組申請を控え、“本当の母親”になれる期待に胸を膨らませていた。そんな中、行方不明だった豊和の生みの親の所在が判明し、その背後に7年前の東京のネットカフェで起きた乳児置き去り事件が浮かび上がる…。

 茜役を演じるのは貫地谷しほり。五月役には山田真歩。対照的な人生を歩む2人の女性を、実力派女優がひたむきに演じる。監督は映画「海辺の生と死」を手掛けた越川道夫。現実社会でも後を絶たないDVや乳児遺棄、いまだに表立って議論されることが少ない不妊治療や養子縁組制度などの問題に正面から挑みながら、登場人物たちの心の機微をすくいとる演出によって、すべての世代・性別・立場の観客に温かな感動をもたらす普遍的な人間ドラマを作り上げる。

 解禁されたメインカットには、貫地谷演じる茜が、山田演じる五月の里子、豊和を自転車の後ろに乗せて、幸せに満ちた表情で長島の港を自転車で走る姿が写し出されている。

<コメント>

「夕陽のあと」

■貫地谷しほり
さまざまな状況の中で多様な選択肢があるはずなのに、それにしか手を伸ばせなかった現実。
この企画書を頂いたとき胸が苦しくなりました。
善悪だけでは判断できない、それぞれの葛藤への決断。
演じていて毎日心が波立っていました。
私だったらという気持ちは捨てて毎日現場に居ました。
私ではない誰かはどう思って過ごしていたのか。
想像だけでは推し量れない貧困の中に居る人々の生活、選択。
もしかしたら隣の誰かかもしれない。
自分に起きても不思議ではない。
そんな思いで参加した作品です。
少しでも届いたら幸いです。

「夕陽のあと」

■山田真歩
九州の海に浮かぶ長島では、いまも日が暮れるまで遊ぶ子供たちの姿が見られる。どの家も玄関の鍵は開けっぱなしで、夜になれば近所の人たちが釣った魚や夕食のおかずを持ち寄って共に食べたりもする。島全体がまるで一つの家族のよう。
私が道ですれ違うおばあちゃんに会釈すると、ニコニコと両手を大きく広げて抱きしめられた。この島の人たちの心には鍵がかかっていないんだ、と思った。
みんな大らかで元気。自給率120パーセントの豊かな島。そんな土地から生まれた映画『夕陽のあと』が、私だけでなく、少しでも多くの人の“心の鍵”を開くような作品になればいいなと願っている。

■越川道夫監督
僕は「町」で育ちました。
生まれたのは地方の海沿いの地方都市で、実家が駅前の商店街で洋品店を営んでいたのです。
店の大人たちは忙しく、だからと言って少しも寂しいと思ったことはありません。
なぜならば、僕はその町の人たちに寄ってたかって育てられたようなものだったからです。
僕は「丸三洋品店の息子」であると同時に、「商店街の子ども」であった、と思っています。
しかし、その町も高度成長とバブル経済の成長と崩壊の過程の中ですっかりその姿を変えてしまいましたが…。
企画を受けて、映画の準備のために訪れた長島に、自分にとっては懐かしい大人と子ども関係が、島の人たちの中に生き続けているのを感じました。
そして、「子どものことは、子ども自身が決めるのです」と言う取材させていただいた児童相談所の職員の方の確信に満ちた言葉が、この映画の始まりでした。
僕はもう随分長く生きて、大人になりました。子どもではありません。大人が子どもにできることは何なのでしょう?
そんな問いを、自分自身に、二人の母を演じる貫地谷しほりさん、山田真歩さんに問いかけるようにして『夕陽のあと』を作りました。

映画「夕陽のあと」
11月8日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー

監督:越川道夫(『海辺の生と死』)
出演:貫地谷しほり 山田真歩/永井大 川口覚 松原豊和/木内みどり
脚本:嶋田うれ葉
音楽:宇波拓
企画・原案:舩橋淳
プロデューサー:橋本佳子
長島町プロデュース:小楠雄士
撮影監督:戸田義久
同時録音:森英司
音響:菊池信之
編集:菊井貴繁
助監督:近藤有希
製作:長島大陸映画実行委員会
制作:ドキュメンタリージャパン
配給:コピアポア・フィルム

公式URL:yuhinoato.com

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