松坂桃李が妻子を殺害したエリート銀行員を怪演!共演に尾野真千子『微笑む人』今春放送

ドラマ
2020年01月09日
『微笑む人』

 松坂桃李が、テレビ朝日系の『日曜プライム』枠で今春放送されるドラマスペシャル『微笑む人』に主演する。

「後悔と真実の色」「乱反射」などで知られる作家・貫井徳郎の同名ミステリー小説が原作。松坂が演じるのは、エリート銀行員の仁藤俊美。一流大学を卒業して大手都市銀行に就職し、幸せな生活を送っていたはずが、突然妻と娘を殺害。その動機について「本の置き場所が欲しかった」と供述し、人々を震撼させる役どころだ。ドラマオリジナルキャラクターで、事件を追う週刊誌の記者・鴨井晶役で尾野真千子が共演する。

『微笑む人』

 松坂は、同局のゴールデン帯ドラマ初主演。柔らかな微笑みの裏に思いもよらない顔を秘めた謎多き殺人者役だが、台本を読んで「仁藤という男がやってきた行為は、もちろん許されるものではないのですが、最初の印象では、なぜか嫌な感じがしなかったんです。彼の振る舞いや言動は、ある種の正論を言っている部分もあるので、不思議な感覚でした」と冷静に受け止めた。

『微笑む人』

 その上で「『仁藤はこんな男だ』という風に思いすぎないほうがいいのかなと。僕のものさしが挟まってしまうことによって彼の捉え方が変わってしまう気がしたんです。仁藤はどの局面、どんな場面においてもフラット。その部分だけを心に留めていました」という意識を持って怪演。「作品の全編を通して感情の揺れ動きやテンションが一定、という今回のような役柄は初めてだったかもしれません」としみじみ振り返った。

 尾野との共演は、2018年7月期放送の連ドラ『この世界の片隅に』(TBS系)に続いて2度目。松坂は「前回は妹弟役だったので、今回はまったく違う立ち位置です。ワンシーンワンシーンがとても濃いものだったので、お芝居をしていてとても楽しかったです」、尾野は「これまでに私が見てきた『本当にいい人だな』という微笑みから一転して、今回は『ぞっとするような微笑み』を見せられました」と語っている。

 共演は他に生瀬勝久、福田転球、田中要次ら。脚本は「アンフェア」シリーズの秦建日子、監督は映画「呪怨」「パラサイト・イブ」などの落合正幸。

『微笑む人』

<仁藤俊美役・松坂桃李 コメント>

 仁藤という男がやってきた行為は、もちろん許されるものではないのですが、台本を読んだ最初の印象では、なぜか嫌な感じがしなかったんです。彼の振る舞いや言動は、ある種の正論を言っている部分もあるので、不思議な感覚でした。
 そんな人物なので、僕自身も演じるにあたって「仁藤はこんな男だ」という風に思いすぎないほうがいいのかなと考えました。僕のものさしが挟まってしまうことによって彼の捉え方が変わってしまう気がしたんです。仁藤はどの局面、どんな場面においてもフラット。だからあまり「こうだ」と決めつけることなく、そのフラットであるという部分だけを心に留めていました。作品の全編を通して感情の揺れ動きやテンションが一定、という今回のような役柄は初めてだったかもしれません。
 尾野真千子さんとの共演は『この世界の片隅に』(2018年/TBS) 以来。前回は姉弟役という関係性だったので、今回はまったく違う立ち位置です。罪を犯した人間と、それを調べるマスコミ側の人間――接見室で向き合うシーンも多かったので、以前とはまったく違う感覚でご一緒しました。共演シーンはそこまで多いわけではないのですが、ワンシーンワンシーンがとても濃いものだったので、お芝居をしていてとても楽しかったです。合間には以前と変わらずたわいもない話ばかりしていたのですけどね(笑)。
 この作品に出てくる言葉には、心に刺さるものがすごく多い。「自分だったらどうするだろう」ということを考える時間ができるような作品なのではないかと思っています。現場でもとても熱量を感じた落合正幸監督がどんな風に料理して完成させてくれるのか、ぜひ楽しみにしていただけたらうれしいです。

『微笑む人』

<鴨井晶役・尾野真千子 コメント>

 この作品を読んで、まず湧き上がったのは「異様だな」という感情でした。
 完全に理解できるわけではないのだけれど、「あぁ結局人間っていうのはこういうものなのかな」と思わせるような、とてもリアルな人間の感情が描かれている気がしました。その異様さをどのように演じられるだろうかと考えることがとても面白く、さらにそれをどのくらい“普通”に演じることができるかを心がけていました。私が演じる鴨井晶という女性は、いわゆる“ジャーナリスト”なのですが、ごく普通の主婦だった女性が、家事を夫に任せ、外に働きに出ている――特別なことは何もない女性でいたいと考えて現場に入りました。
 この作品で仁藤が語る「殺害の動機」って、一見しただけだと「え、それってどうなの」というものだけれど、実は誰しもが心の中に持ち得る感情なのかもしれないと思うんです。感覚というものは、人それぞれである、という面白さと、現実世界においても理由付けが難しい事柄が起きている怖さを、お見せできたらなと思いました。
 松坂桃李さんとはこのたび二度目の共演となりました。前回は“弟”だったのですが、今回は“取材対象である殺人者”です。…何でしょうかね、彼の見せる「微笑み」。これまでに私が見てきた「本当にいい人だな」という微笑みから一転して、今回は「ぞっとするような微笑み」を見せられました。松坂桃李の中にあるまた新たな表情を垣間見た気がして、これからもさらに違う桃李君が見たいな、と思わせてくれる作品になりました。

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