

8月の『情熱大陸』(MBS/TBS系 午後11時~11時30分)は、2週連続でシリーズ「昭和100年目の夏」を放送。#1の8月3日(日)は、町焼肉「焼肉幸泉(こうせん)」二代目・安龍秀に密着する。
東京の下町、葛飾区立石。安価で飲み食い酔える「せんべろ」という愛称や、飲み屋がひしめく「呑んべ横丁」があったことでも知られてきた。その一角にある「立石仲見世」は、昭和の香りを残す懐かしい商店街だ。
町焼肉の二代目・安龍秀(33歳)の店はここにある。名前は「焼肉幸泉(こうせん)」。一階はカウンター席で二階は座敷、それぞれ4坪の小さな店だ。
祖母が40年間守ってきた店を受け継いだのは、安が30歳の時だった。立石で生まれ育ち、祖母の焼肉を食べてきた安にとって、「この店が僕の焼肉のルーツ。おばあちゃんが守ってきた店を僕の代で潰すわけにはいかなかった」。高校を卒業してすぐに焼肉の修業に出ていた安は、「タレはいろいろ習ってきたけど、おばあちゃんのタレが一番好きだった」と、秘伝のタレを教わり、二代目を継いだ。
初めはお客が来ない日もあったが、店の評判はSNSを通じて一気に拡散。わずか2か月ほどで、予約客で埋まる繁盛店となる。店の規模の小ささもあり、2026年末まで予約は一杯。その先の予約を受けられないでいるのは、店がある商店街一帯が再開発でなくなる可能性があるからだ。商店街でずっと店をやるつもりで受け継いだ安が、再開発の話を聞いたのは店を始めて1年ほどたった時だった。
番組では、煙モクモク、これぞ人情の町焼肉という小さな厨房で、立ちっ放しで仕込みや調理、接客、そして日付をまたいで続けられる掃除など、安の焼肉漬けの日々に密着。こだわりの赤身肉や秘伝のタレに加え、キムチもつくる。そこへ、91歳の“おばあちゃん”が一日に一回、ふらりと店に顔を出すのだ。
等級にとらわれず、タレに合う肉にこだわる安がある日、お中元を持ってとある場所に向かう。今年生まれた長男を会わせたい人がいた。
あと何度の夏を過ごせるか分からない商店街で、昭和100年目の熱い季節を快活に駆け抜けようとする若き職人を追う。
<プロフィール>
1991年 東京都葛飾区立石生まれ
小学校から高校まで朝鮮学校に通い18歳で焼肉店に就職。
神田・金山商店での10年の修業を経て、30歳の時に独立。祖母が40年守ってきた「幸泉」を受け継ぐ。
高校時代は、ラグビーで東京都選抜。
小さいころになりたかった職業は、保育士かパティシエ。
現在は、高校の同級生と二人で店を切り盛りしている。
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