「ハドソン川の奇跡」から学んだ有村昆流人生観「すべての選択肢を“タラレバ”で考え想定内で動けば最善の選択ができる」

エンタメ総合
2017年01月26日

99028_01_R クリント・イーストウッド監督×主演トム・ハンクスで贈る「ハドソン川の奇跡」のブルーレイ&DVDセットが発売中。これを記念して、都内で試写会が開催され、映画コメンテーター・有村昆と、航空評論家の杉江弘が登壇した。

 イーストウッド監督の大ファンだという有村は、本作について「クリント・イーストウッド監督は、本作制作時86歳でした。にもかかわらず今なお毎年1本ずつ作品を撮り続けています。そしてトム・ハンクスも、アメリカを代表するハリウッド・スターというまさにレジェンド同士がタッグを組んだこの作品、つまらないわけがない」と興奮ぎみにコメント。

元日本航空機長の経験を持つ航空評論家・杉江は、本作における航空機事故の原因となった “バードストライク=鳥がエンジンに巻き込まれる事故”で起きたトラブルを「バードストライクというのは、鳥の大きさによって被害がピンキリ。ただ、バードストライクで全エンジンが停止するのは、想定外のこと」と前置きし、「スズメなどの小さい鳥が巻き込まれた場合、エンジンにはあまり被害がありません。ただ、カモメやトビぐらいの大きさになってくると、少しダメージが大きいです。今回の事故の要因は、翼長1.5メートル、4キロにもなるカナダガンという大型の鳥が1羽でなく群れで入ってきたことと、両方のエンジンが止まってしまったことにあります」と細かく分析する。

さらに、両エンジンが停止した場合のマニュアルはないと話す杉江。というのは「今回のように、機体が上昇中の場合を想定したフライトシミュレーションはやらない。ただ上空1万メートルから速度があるという前提で、両エンジンがダメになったときというシミュレーションを1回は行うが、それも生還の保障はない」とのこと。その時になされたサリー機長の判断については「そもそも機体を傾けないように、頭から着水しないようにという1発勝負の難しさもある水上着水。バードストライクからわずか208秒でハドソン川に着水することを決断したことも、エンジントラブルのチェックリストの15番目くらいに出てくるようなAPU(補助電源装置)をすぐにONにしたことも、普段から全エンジン停止の事故を想定していないと出来ないはず」と、想定外の出来事を“想定内”に変えたサリー機長の人間力を評価する。

続いて、本作を手掛けたイーストウッド監督については「ハンクスも、監督の早撮りには驚いたそう。ほとんどファーストテイクが使われていて、撮り直しもほぼなし。これについては『J・エドガー』のときに、レオナルド・ディカプリオも同じことを言ってた(笑)」と豆知識を披露するひと幕も。

さらに、有村は「イーストウッド監督の中には、“光と影”が常にあって。本作でも乗客全員を救ったはずなのに容疑者に一転したり、『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』では日本とアメリカから見た異なる正義、ジャスティスを描くところなど、大きなテーマはブレてない」と改めて監督への敬意を表し、「最初、監督はこの結末が分かっている事故を題材にどうやって撮ったんだろうと思っていましたが、その出来事において考えられる選択肢を“タラレバ”で追求していく法廷劇がメインでした。これは“もし~だったらと考えて、常に想定内で動けば最善の選択ができる”ということとして、人生にも投影できると思いました」と本作、杉江の事故への考察を踏まえ、人生観を語っていた。
 

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「ハドソン川の奇跡」
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発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

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