内藤瑛亮監督「伝えたいことは全て作品に詰まってます」『許された子どもたち』公開 | TV LIFE web

内藤瑛亮監督「伝えたいことは全て作品に詰まってます」『許された子どもたち』公開

映画
2020年06月02日
『許された子どもたち』

 映画「許された子どもたち」が6月1日に公開を迎え、初日舞台あいさつに内藤瑛亮監督が登壇した。

 本作は、これまでに「先生を流産させる会」「ライチ☆光クラブ」「ミスミソウ」など、その衝撃的な内容により作品を発表するたびに物議を醸してきた内藤監督の最新作。実際に起きた複数の少年事件に着想を得たオリジナル作品で、内藤監督は8年の歳月をかけて構想し、いじめによる死亡事件を起こした加害少年とその家族、そして被害者家族の姿を描いている。

 緊急事態宣言解除後、新作映画の公開は本作のみ。また、新型コロナ対策で1席ずつ空けての上映のため、通常の半分の観客となったが、上映館のユーロスペース、テアトル梅田ともに満席スタートとなり、ユーロスペースで内藤監督が初日舞台あいさつを行った。

『許された子どもたち』

<内藤監督 初日舞台あいさつ>
こんにちは。監督の内藤瑛亮です。こういった状況の中、初日に駆けつけていただき、ありがとうございました。
緊急事態宣言が解除され、ステップ2へ移行して、ようやく本日公開日を迎えることができました。
本作は韓国で開催されている全州国際映画祭に出品しているのですが、オンライン開催となったので、スクリーンでの上映という意味では本日がワールドプレミアとなってます。

当初は5月9日に公開するつもりでしたが、緊急事態宣言が延長となり、本日6月1日に延期となりました。しかし果たして6月1日に公開できるのか不安はありました。延長ととなったものの、再延長する話もありましたし、再延長・解除の基準は示されず、突如ステップ2に映画館が組み込まれてたり、振り回されました。

配信することも考えました。しかし全ての映画がそうであるように、映画は「映画館でしか見えないもの」「映画館でしか聞こえないもの」を追求してつくっています。僕たちは映画館だからこそ意味を持つ芝居・映像・音を目指して、撮影現場でも仕上げでも取り組んでいます。アップに映った眼のささやかな動きやロングショットにポツンと佇む人物や暗闇の奥にあるもの、それは映画館でしか見えません。映画館でしか鳴らせない低音や爆音もあります。
配信を選択してしまうと、その映画作品の本来の姿を観客に見せること・聞かせることができません。『許された子どもたち』を映画館で上映する作品としてつくったキャスト・スタッフのためにも、本来の姿を見せたい・聞かせたいと思って、映画館での上映にこだわりました。

大幅に延期することも考えました。感染対策のため全ての客席は使えません。映画館に行くことを控える人も少なくない。客足が回復したころに公開する方が興行的には有利です。
ただし大幅延期した場合は、宣伝・配給の予算がかさみます。こういった小さい映画は、大幅延期する経済的体力がありません。それに公開を延期した作品が渋滞している現在では、大幅延期によって上映期間・上映回数の面で不利になる可能性があります。
そして、ミニシアターに新作がなくなってしまうことも問題に感じました。新作が公開されて、観客が劇場に向かう。そういった慣習が失われてしまいます。多くのミニシアターが経営的に厳しいなか、営業してきましたが、公的な支援もないまま、大幅延期したときに、持ちこたえられない危険性もあります。
ミニシアターを守るためにも、新作を届けることには意義があると思い、解除後すぐ公開という選択をしました。

映画館という存在に救われた、という想いもあります。
僕は鬱屈とした暗い思春期を過ごしていました。
精神的にしんどかったその頃、僕の逃げ場所となったのは映画館でした。
僕には友達がいませんでした。
でも、映画館で好きな作品と出会うと、この作品を好きな人がこの世界のどこかにいると考えると、孤独感が和らぎました。映画館があったから、これまで生きてこれたと思います。

コロナ対策において、映画や映画館よりも優先するものがあると思う方もいるかもしれません。
しかし映画館によって救われた心もあります。
映画館を救うことは、この世に彷徨う荒んだ心を救うことだと思います。
伝えたいことは全て作品に詰まってます。
ご覧いただければ、全て分かると思っています。
本日はご来場ありがとうございました。

『許された子どもたち』

「許された子どもたち」
2020年6月1日(月)よりユーロスペース、テアトル梅田でロードショー
以降全国順次公開

<キャスト>
主演:上村侑
出演:黒岩よし、名倉雪乃、阿部匠晟、池田朱那、大嶋康太、清水凌、住川龍珠、津田茜、西川ゆず、野呈安見、春名柊夜、日野友和、美輪ひまり、茂木拓也、矢口凜華、山崎汐南、地曵豪、門田麻衣子、三原哲郎、相馬絵美

<スタッフ>
監督:内藤瑛亮
プロデューサー:内藤瑛亮、田坂公章、牛山拓二
脚本:内藤瑛亮、山形哲生
撮影監督:伊集守忠
照明:加藤大輝、山口峰寛
録音・整音:根本飛鳥
録音:小牧将人、南川淳、黄永昌、川口陽一
編集:冨永圭祐、内藤瑛亮
音楽:有田尚史
サウンドデザイン:浜田洋輔、劉逸?
助監督:中村洋介
制作:泉田圭舗、佐野真規、山形哲生
制作協力:レスパスフィルム
製作:内藤組
配給:SPACE SHOWER FILMS
「許された子どもたち」製作委員会:レスパスビジョン、内藤瑛亮、牛山拓二

©2020「許された子どもたち」製作委員会