長澤まさみ「ここまで後ろ髪引かれる感覚になる作品は初めて」映画『MOTHER』公開

映画「MOTHER マザー」公開を記念して、全国5都市全15劇場をつなぐリモート舞台あいさつが行われ、主演の長澤まさみをはじめ、奥平大兼、阿部サダヲ、郡司翔、浅田芭路、大森立嗣監督が登壇した。

長澤は「普段は一か所でしか舞台あいさつができないので、今回は逆に新鮮で。こうやってたくさんの方々とつながれるのがうれしいです。今後きっとこういう舞台あいさつもレアになっていくと思うので、今日はぜひ楽しんでいってください」と感謝。

奥平は「いろんな人に見られているって感覚がないのでちょっと変な気持ちなんですけど」「この映画を通して何かを感じてくれたら」と語った。

続いて阿部は「『土曜日の朝10時から見る映画だっただろうか？』といろいろ考えるような映画だったと思いますが（笑）。きっと午後からも、ずっと考えてしまう映画だと思うので、でも天気もあまり良くない今日にちょうどいいという気もします」と。大森監督は「ジブリじゃなくてこの映画を選んでくれてうれしいです（笑）。楽しんでください！」とあいさつしました。

自身が演じた自堕落で奔放な母親・秋子について長澤は「共感しようと思っても、最後までできなかった。“分からない事”っていうのもあるんだなと思った」と振り返った。また、本作の役柄や作品に対して「本当に、この作品を手放していいのか。ここまで後ろ髪引かれる感覚になる作品は初めてだった」と語った。

阿部はいわゆる“ヒール”役を演じた長澤に対して「こういう秋子みたいな役や、お母さんの印象もなかったので、すごくびっくりしました。こういう役を演じる長澤さんと一緒にやれて良かったです、良いですよね？こういう長澤さん！」と同意を求めると、長澤から「本当に思っている事を言ってください（笑）」とツッコまれた。

本作でデビューした奥平は、阿部から「長澤まさみって知っていたでしょ？」という素朴な質問を受け「『キングダム』とか、学校とかでも“長澤さん、かわいい”って言われていたので。そんな中“長澤さんの息子役を演じることになりました”と言われても、実感がなかった」と。

劇中で長澤からビンタを受けるシーンでは、本気で叩かれるとは考えていなかったそうで「実はびっくりして思わず泣いてしまった」と明かし、“優しいお父さん”の役柄のイメージを持っていた阿部から怒鳴られるシーンでは「めっちゃ怖かった！」と振り返った。

精神的にハードになってしまいそうだった撮影中、秋子の子供たちを演じた子役の郡司翔（幼少期の周平役）と、浅田芭路（周平の妹役）の言葉や存在に救われたという長澤。「子役の子たちは、素直で純真無垢で、誠実なお芝居をするので、子供たちのおかげで、私が役柄に対して悩んでる不安な思いには引っ張られず、本当に子供たちには救われました。子供たちから教わる事もあるんだな、と実感しながら秋子を演じてたように感じます」と想いを明かした。

その後、郡司と浅田が“両親（長澤・阿部）”にプレゼントするため、映画のテーマカラーの青いカーネーションの花束を持って登壇。撮影現場について聞かれた郡司は「楽しかった！」、浅田は「周平（奥平）君とは一緒にご飯食べたり遊んだり、いっぱい楽しいことがあったし。お母さん（長澤）から、お布団でぐるぐる巻きにされて一緒に遊んだり、あと、お父さん（阿部）はちょっと悪いお父さん役だったけど、家族で焼き肉を食べるシーンでは一緒に爆笑して、良い思い出ができました」と、9歳と6歳とは思えないしっかりした受け答えで会場を盛り上げた。

最後に長澤は「親子の向き合い方についてそれぞれが考えたりするきっかけになる映画かなと思っています。びっくりするシーンもたくさんあると思いますが、そういった所だけではなくて、どこか“普遍的なもの”っていうのを感じてもらえる、そんな問いかけのある映画になっているかな？って思います」と語った。

奥平は「周平目線だけじゃなく、秋子目線でも見ることによって、映画の感じ方がいろいろ変わってくる映画だと思っています。家に帰って『こういう環境の人たちもいる』って少しで頭のどこかにおいてほしいなと思いました」と。

阿部は、本作が実際の事件がモチーフになってることに触れ「この映画のような状況が身近にも起こりかねない。見た人、これから見る人でこのことについて話してみてほしい」と呼びかけた。

大森監督は「本作は親子の関係を描いているのですが、本作の親子は僕たちのイメージを超えていくるような親子なので、それをどう撮っていくか、というのを俳優たちをコラボレーションしながら作ってきました。奥平くんとか、長澤さんの表情とか、この映画でしかできないことができたんじゃないかなと思ってます」と思いを語った。