映画史上唯一の養鶏サスペンス「殺しを呼ぶ卵」12・2日本初公開 ポスター&予告編解禁 1968年・伊仏合作の怪作

映画
2022年11月02日
「殺しを呼ぶ卵【最長版】」© Licensed by MOVIETIME SRL-Rome-Italy. All Rights Reserved.

映画史上唯一の養鶏サスペンス映画「殺しを呼ぶ卵【最長版】」が、12月2日(金)に日本初公開されることが決定し、ポスタービジュアルと予告編が解禁された。

本作は1968年の公開当時「ゴダールが麻薬漬けになって撮ったようなスリラー」と評された、知る人ぞ知る作品。舞台はローマ郊外の巨大養鶏場。社長のマルコは業界の名士として知られていたが、経営の実権と財産を握る妻アンナに対するいら立ちを募らせていた。

マルコは同居するアンナの姪ガブリと愛人関係にあっただけでなく、妻への憎しみを女性へのサディズムで発散する異常性格者。3人それぞれの隠された欲望が暴かれるとき、事態は予想もできない展開と想像を絶する奇形ニワトリを産む。

公開された予告編は、”映画史上唯一の養鶏サスペンス“という唯一無二のジャンルと共に、画面を埋め尽くすほどのニワトリがいる巨大養鶏場の場面から始まる。その後、陽気なボサノヴァ・サウンドに乗せ、登場人物の紹介へ。

養鶏場の社長マルコ、社長夫人のアンナ、夫人の姪ガブリ。仲むつまじく笑い合う、裕福で幸せそうな家族の様子だが、一転して次の場面では不穏な音楽と共に怪しい研究者、こちらをにらみつける労働者らが映し出される。そして矢継ぎ早にさまざまなシーンがカットバックで映し出され、“愛欲”“陰謀”“猟奇”といった言葉や、“細胞分裂”“突然変異”といった謎の研究に関する言葉が踊る。

現代音楽の作曲家であり指揮者としても活躍したブルーノ・マデルナによる耳に残るサウンドと、気味の悪さとスタイリッシュさを併せ持つ映像の後、のみ込まんばかりの炎が燃え盛る自動車事故の様子で映像は締めくくられる。この予告だけで映画の全容を把握することは到底できないが、高い芸術性と不穏な展開だけは感じ取れるはずだ。

予告で流れた自動車事故を背景にしたポスタービジュアルで描かれるのは、意識朦朧とする中、血まみれの姿でこちらに迫り来る女性と無惨にも地面に倒れる男性の姿。見た者に鮮烈なインパクトを残し、あたかも悪夢のような様相で一度見たら忘れられない強烈さを残す。

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主人公マルコ役を演じたのは、去る2022年6月に死去した「男と女」(1966)、「Z」(1969)、「暗殺の森」(1970)の名優ジャン=ルイ・トランティニャン。社長夫人アンナ役にはイタリア美人の代名詞として一世を風靡したジーナ・ロロブリジーダ。夫人の姪ガブリ役にはスウェーデン出身、キュートなルックスが魅力的な当時18才のブロンド・ビューティ、エヴァ・オーリン。

監督・脚本を手掛けたのは、マカロニ・ウエスタン屈指の残酷描写で世界を騒然とさせた「情無用のジャンゴ」(1967)の鬼才ジュリオ・クエスティ。欲望渦巻く犯罪ドラマを倒錯嗜好と残酷趣味で毒々しく塗りたくっただけでなく、養鶏場のオートメーション化に伴う労働者解雇という資本主義社会の非情、餌をやらなくても成長を続ける首も羽根もない奇形ブロイラーの研究開発という、利潤追求のためには生命倫理をも蹂躙する企業の非人間性を暴き出した。結果、本作は同時期のパゾリーニ、アントニオーニ、エリオ・ペトリ監督作品にも通じる、社会派的メッセージも鮮明に打ち出している。

今回、日本で公開されるのは、初公開時に世界配給された90分前後の「国際版」にはない残酷場面、異常場面を含む105分の「最長版」。本作が猟奇サスペンスの王道作でありながら、社会問題や実験的な映像表現、さらには現代にも通じるアイデンティティの喪失、世の不条理と人生の虚無にまで踏み込んだ、クエスティ監督唯一無二の作家性が発揮された野心作であることに気づかされるだろう。

「殺しを呼ぶ卵」予告編

作品情報

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「殺しを呼ぶ卵【最長版】」(1968年・イタリア=フランス合作)
2022年12月2日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次公開

出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、ジーナ・ロロブリジーダ、エヴァ・オーリン、ジャン・ソビエスキー、レナート・ロマーノ
監督:ジュリオ・クエスティ
脚本:フランコ・アルカッリ、ジュリオ・クエスティ
撮影:ダリオ・ディ・パルマ
美術:セルジオ・カネヴァリ
編集:フランコ・アルカッリ
音楽:ブルーノ・マデルナ

1968年イタリア=フランス合作105ビスタモノラル原題:LA MORTE HA FATTO L’UOVO/PG12

提供:キングレコード
配給:アンプラグド

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HP:unpfilm.com/koroshiegg
Twitter:@koroshiegg

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