浅野いにおの衝撃作「零落」が竹中直人監督、斎藤工×趣里×MEGUMIで映画化【コメント&描き下ろしイラストあり】

映画
2022年10月27日
©2023 浅野いにお・⼩学館/「零落」製作委員会

浅野いにお原作の漫画「零落(れいらく)」が、監督・竹中直人、出演・斎藤工×趣里×MEGUMIで映画化され、2023年3月17日(金)に公開されることが決定。監督・キャストからのコメントと、浅野の描き下ろしイラストが到着した。

原作は「ソラニン」「おやすみプンプン」「うみべの女の子」の浅野いにお。「零落」では圧倒的な空虚感という極限状態を経験したことで現れた人気漫画家の本当の姿、漂流する“表現者”の魂の喪失と覚醒を描き、新境地を切り開いた。

竹中は書店を訪れた際、帯に描かれた猫顔の少女の視線と“零落”という文字に引かれこの作品を手に取り、読み終えた後は「絶対に映画にしたい!」と心が叫んだと明かす。なお1992年、「無能の人」で監督デビューした竹中にとって、本作は10本目の監督作となる。

売れっ子漫画家から一転、落ちこぼれ漫画家となる主人公・深澤薫役を演じるのは、俳優のみならずプロデューサーや映画監督としても活躍する斎藤工。表現者なら誰もが共感する“業”に真っ正面から挑み、敗北感にとらわれ孤立する漫画家像に、リアルな魂を宿した。

物語の鍵を握るつかみどころのないミステリアスな風俗嬢・ちふゆを演じるのは、「流浪の月」「もっと超越した所へ。」など出演作が立て続けに公開を迎え、2023年度後期連続テレビ小説『ブギウギ』ヒロインにも決定している趣里。いつも漠然と何かにいらだち、蜃気楼のように実態があるようでないような不思議な女性像を、リアルかつ刺激的に熱演している。

夫・深澤薫と衝突を繰り返しながらも彼の才能を信じ、一途な愛を貫こうと葛藤する漫画編集者・町田のぞみを演じるのはMEGUMI。本作のプロデューサーも兼任する彼女は、自分の出番のシーン以外でも足繁く撮影現場に通い、作品そのものにも一途に寄り添っていたという。

斎藤、趣里、MEGUMI、竹中監督のコメント全文と浅野による“ちふゆ”描き下ろしイラストは下記に掲載。

コメント

斎藤工(深澤薫役)

私の中で「零落」は浅野作品の中でも特別な位置付けにある作品。
浅野いにおさん自身の根幹部分に最も近付けたような気がするからだと思います。
浅野作品がなぜこうまでも内臓に響くのか、その理由のような“苦しみの原動力”が赤裸々に描かれている。

映画「零落」は、その得体の知れない人間の業、感情に、生身の人間たちが挑んだ記録なのかも知れません。
竹中組のみんなで「零落」に向かい、作り上げる中、深澤という概念は、全ての人の中に“心当たり”がある気もしました。
この感覚は竹中監督の「無能の人」を観たときに近いのかも知れません。

無条件で己の奥にあるモノを引っ張り出されるというか。

映画館は未知の世界と出会える夢の場所であると同時に、目をそらし続けて来た現実と、自分自身と対峙する場所なのだと、試写を観て思いました。

これはあなたの物語なのかもしれません。
劇場で味わっていただけたら幸いです。

趣里(深澤が出会った風俗嬢・ちふゆ役)

いにお先生の描く世界の中で、ちふゆとして生きられたこと、本当にうれしく光栄でした。ちふゆは今どこでなにをしているのか、撮影が終わった今でも想像してしまうほど、濃密ですてきな時間でした。その一瞬一瞬が、悲しいけれど美しく、自分以外の誰にも分かってもらえないことに寄り添ってくれている、そんな感覚になりました。素晴らしいキャスト、スタッフの皆さまと紡いだ「零落」、参加することができてとても幸せでした。楽しみにしていただけたらうれしいです。

MEGUMI(深澤の妻・町田のぞみ役)

若いときに描いた自分とは明らかな違い。
少しずつ堕ちていく感覚。
複雑すぎる日々。
大人の思春期に真っ直ぐ向き合った今作が、観た方の日々をそっと照らしますように。

竹中直人監督

とある日、本屋さんに立ち寄るとひとりの少女に出会った。
その少女はじっとこちらを見つめてる。その少女をそっと手に取った。
少女から目をそらすと「零落」という文字が浮かび上がった。「れ・い・ら・く」その言葉が思わず口をついて出る。そして…原作がなんと「浅野いにお」! その文字に脳が震える!
一枚、一枚ゆっくりとページをめくってゆく…
どれくらいの時間が経ったのか最後のページを閉じたとき、「…映画にしたい…!『零落』を絶対に映画にしたい!」と心が叫んでいた。
浅野いにおが描いた「零落」を絶対に映画にする! それだけの思いでぼくは一気に走り出した! うおー!!!

原作者・浅野いにおによる描き下ろしイラスト
「歓楽街に佇む、ちふゆ」©2023 浅野いにお・⼩学館/「零落」製作委員会

STORY

8年間連載してきた漫画が完結を迎え、“元”売れっ子漫画家となった深澤(斎藤)。次回作のアイデアも浮かばず、担当編集者からはぞんざいに扱われ、敗北感が募っていた。漫画編集者として働く妻・のぞみ(MEGUMI)とはすれ違い、冷え切った関係。漫画家として切望されることのない、時間を浪費するだけの鬱屈した日々は次第に深澤をむしばんでいく。
虚無感を抱えたまま立ち寄った風俗店で、 深澤は猫のような眼をした「ちふゆ」(趣里)と名乗る風俗嬢と出会う。 自分のことを詮索せず、ただ「あなたはあなた」と言って静かに笑う 「ちふゆ」に、急速に引かれていく深澤。 ある日、深澤は「ちふゆ」と共に彼女の故郷へと向かうことになり――。

作品情報

「零落」
2023年3月17日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー

出演:斎藤⼯
趣⾥、MEGUMI

原作:浅野いにお「零落」(⼩学館 ビッグスペリオールコミックス刊)
監督:⽵中直⼈
脚本:倉持裕
製作幹事・配給:⽇活/ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:ジャンゴフィルム
宣伝協⼒:ミラクルヴォイス
製作:「零落」製作委員会(⽇活/ハピネットファントム・スタジオ/⼩学館)

©2023 浅野いにお・⼩学館/「零落」製作委員会

公式HP:https://happinet-phantom.com/reiraku/

この記事の写真