松村北斗&上白石萌音は「最高にカッコいい俳優」三宅唱監督が手紙サプライズ「夜明けのすべて」公開記念舞台あいさつ

映画
2024年02月10日
松村北斗

松村北斗と上白石萌音がW主演を務める「夜明けのすべて」の公開記念舞台あいさつが行われ、松村、上白石のほか、りょう、光石研、三宅唱監督が登壇した。

本作は、「そして、バトンは渡された」で2019年本屋大賞を受賞した瀬尾まいこの同名小説を「ケイコ 目を澄ませて」の三宅唱監督が映画化。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』で夫婦役を演じた松村北斗と上白石萌音が映画初共演&W主演を務め、同僚にして最高の理解者となる特別な関係性を演じる。


山添くんを演じた松村は「テーマからはちょっと驚くぐらい、くすくすとたくさん笑えたりとか、本当に救われる映画になっているのかなと。救われる人数がどんどん増えていくといいななんて心から願いながら、昨日の公開を皮切りに皆さんでこの輪を一緒に大きくしていただけたらなと思います」とあいさつ。

藤沢さんを演じた上白石も「映画に携わった一員としても、そして皆さんよりちょっと早く映画を見た1人としても、早く公開されないかなと思っていました。なので、今とってもうれしいです。どんな感想を持っていただけているか分かりませんが、少しでも心が温まっていたらうれしいなと思います」と会場と中継先に呼びかけた。

本作のメガホンをとった三宅監督は「昨日、初日を迎えられて、本当に多くの人に感謝したい気持ちでいっぱいです。感謝する相手を言いだすときりがないですが、本当に素晴らしい小説を書いてくれた瀬尾まいこさんにあらためて感謝を伝えたいと思います」と感謝の言葉を口にした。

現場でのエピソードとして、松村がリハーサルでの出来事を挙げ「山添くんと藤沢さんで車を洗うシーンがあって、ちょっと気が高まってしまっている状態で洗っていたので、ちょっと慎重に洗うんですけど、山添くんが窓を拭いた時に本番でも『キュー』と音が鳴っているんですけど、その倍ぐらいの音量がテストで上がってしまって(笑)。藤沢さんがギロってにらんだところがあって、あれがやたら好きだったの覚えてます」と明かすと、上白石も「ちょっと藤沢さん的にもかなり嫌な音だったのでにらませていただきました(笑)」と振り返った。

上白石萌音

一方の上白石は藤沢さんの母親役のりょうが一緒に登壇していることに「すごくうれしくて」とニコニコしながら、「お母さんとのシーンはどれも大好きです」と明かしつつ、「お母さんが手袋を編んでくれるところもあるんですけど、お母さんからしかもらえない温もりってあるじゃないですか。それをすごく感じて『この親子、好きだな』って。このお母さんがあって、藤沢さんがあるんだなっていうのを毎シーンで教えていただいていたような気がします」と明かした。

りょうは「私は雨の中にコートをかぶって2人で歩くところは、雨降らしって寒かったりして、あまり好きではないのですが、なんとも言えない、幸せな雨振らしでした」と。上白石も「今までやった中で一番温かい雨振らしでした。この瞬間、ちょっと姉妹みたいな感じにもなったりして、2人でキャッキャして楽しかったです」と同意した。

そんな中、「お2人の醸し出す空気を邪魔しないように、おとなしくしていました」という光石に、松村から「何をおっしゃるんですか、休み時間も話を回していたじゃないですか!」とツッコミが。さらに上白石からも「光石さんは結構いたずら好きです」と暴露された光石は赤面。

上白石が「栗田科学のみんなが、プラネタリウムで使う小さいライトを持っているのですが、それを『よーい!』って言われた瞬間に私の顔にライトを当ててきて(笑)。そういうことをして、『おかしい、おかしい』とケラケラ笑って、そのおかげで、心がほぐれて、撮影に臨めることが多かったです」と光石のいたずらエピソードを語り、松村が「今、2歳児とのエピソードでは?」とツッコむと、光石は「62歳児です」とはにかんだ。

日々生活で心がけている思いやりについて問われると、松村がちょっとした段差でも大げさにひざを曲げて沈むようにしているとジェスチャーを交えて明かした。ここまでさまざまなプロモーションで松村と行動してきた上白石はこの動きに気づかなかったそうで「それって成功しているんですか?」と投げかけると、松村は「シームレスに、気づかないくらい潜在の中に入っていきます」と答えた。

上白石は「映画の中でティッシュ配りするシーンがあって思ったんですけど、受け取ってもらえたらめちゃくちゃうれしいんです。その一瞬でも優しさってもらえるんだなっていうことをすごく思って。だから、誰かにとってもいいお客さんでいたいなっていつも思っています。小さいことですが、ちゃんとお礼を言ったり、ちょっとずつあめちゃんを配るみたいに優しさを置いていける人になりたいなって思うので、私もこれから段差は大きめに沈もうかなと思います」と明かすと、松村が「ぜひぜひ」と薦めていた。

三宅唱監督

そして、松村と上白石に、三宅監督から手紙のサプライズが。「上白石さんと松村さんがどういう人かをひと言で言うなら、お2人とも本気な人であるということです。お2人の本気さは、歯を食いしばって踏ん張るようなレベルよりも、もっと本気です。本気だからこそ丁寧にやるし、本気だからこそユーモアも忘れないし、その結果、柔らかくて穏やかな人になっているんだろうと僕からは見えていました。お2人とも瀬尾さんの書いた小説を大切に思うからこそ、悩んだことはたくさんおありだと思いますが、最後まで本気になることを恐れずに、また本気で居続けることを諦めずにいて、だからお2人とも最高にカッコいい俳優なんだなと思います」「お2人のコンビネーションは最高でした。この映画の上白石萌音が素晴らしいのは、相手が松村北斗だったからであり、この映画の松村北斗が素晴らしいのは、相手が上白石萌音だったからです。俳優という仕事はなぜ美しいのか。その答えは、自分1人で輝くのではなく、一緒にいる相手を輝かせ、相手と共に輝くことができるからだとお2人が教えてくれました。2人は周囲の俳優も輝かせ、僕らスタッフの仕事も輝かせ、そして映画を見る多くの人の生活も輝かせてくれるだろうと確信しています。素晴らしい仕事にあらためて心から感謝と拍手です」という感謝の手紙が贈られると会場から拍手が起こった。

この手紙を受けて松村は「現場での人間関係であるとか、時間の有意義さであるとか、そういうものにも全て本気ですてきな方だなと思っていたけれど、たぶん監督って一番本気であって、努力される方なのに、こうやって自分の努力を人の称賛のためにあげてしまえる優しさというか、そういうところは映画監督と僕ら俳優として出会ったとかじゃなく、人としてやっぱりほれている部分であり、人としてもらっていかなきゃいけない部分だなっていうのをあらためてこの手紙で感じて、出会えてよかったです」と三宅監督に感謝を伝えた。

上白石は「ずるいです。監督と初めてお会いする前に、実は監督からお手紙を頂いていたんです。その時から私は監督に心をつかまれっぱなしで、また今日もこうして言葉を頂いて。私は本当に監督がくださる言葉が好きで。必ず言葉にして伝えてくださる方で、すてきな言葉をお持ちということは、その心と器がすてきということ。この監督の下、本気になって映画を作ってきたんだなって、本気になりたいなって思わせてくださる監督です。本当にこの映画に出会えてよかったですし、監督に出会えてよかったですし、監督の下、皆さんと出会えて本当に幸せだなと思いました」と語り、手紙の原本をねだるひと幕も。

最後に松村は「この映画で皆さん各々に感じたことがあると思います。それを家に帰ってもう一度、その思いと向き合ってみてほしいなという映画です。ここだけではなく、この先もぜひこの映画とあなたのご縁を続けさせていただければと思います」と。

上白石も「生きてればいろいろありますよね。どんな苦しい時も、何かにちょっと心を支えてもらったり、温かくしてもらえる瞬間が必ずあると思っていて、この映画が誰かのその瞬間を担えたらいいなと思っています。もはやこの映画じゃなくても、今つらい人にそういう瞬間が訪れることを本当に心の底から願っております。今日はこの映画と出会ってくださって、本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします」と呼びかけ、イベントを締めくくった。

「夜明けのすべて」公開記念舞台あいさつ 左から)三宅唱監督、りょう、松村北斗、上白石萌音、光石研

作品情報

「夜明けのすべて」
大ヒット上映中

出演:松村北斗、上白石萌音
渋川清彦、芋生悠、藤間爽子、久保田磨希、足立智充
りょう、光石研

原作:瀬尾まいこ『夜明けのすべて』(水鈴社/文春文庫 刊)
監督:三宅唱
脚本:和田清人、三宅唱
音楽:Hi’Spec

製作:「夜明けのすべて」 製作委員会
企画・制作:ホリプロ
制作プロダクション:ザフール
配給・宣伝:バンダイナムコフィルムワークス=アスミック・エース

公式サイト:yoakenosubete-movie.asmik-ace.co.jp
公式X:@yoakenosubete
公式Instagram:@yoakenosubete_movie

©瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会