乃木坂46“最後の2期生”鈴木絢音卒業セレモニー「また私のことを見つけてくれたらうれしいです」

音楽
2023年03月30日

乃木坂46・鈴木絢音卒業セレモニー

乃木坂46の鈴木絢音が、自身の2期生オーディション合格から丸10年の節目となる3月28日に卒業セレモニーを開催した。会場となった東京・LINE CUBE SHIBUYAの約2000席のチケットは即日完売。ライブの模様はリアルタイムで配信され、多くのファンが鈴木のアイドルとしてのラストステージを見守った。

「Overture」が流れ、メンバー37人が次々と登場する中、最後に姿を現した鈴木。彼女が初めてセンターを務めた「自惚れビーチ」のイントロが流れ始めると、客席から大きな歓声が上がった。今やグループを象徴する“夏曲”の1つになったこの曲で会場中が真夏のような熱気に包まれると、同じくアップテンポな「走れ!Bicycle」で早くもボルテージは最高潮に。今回のセットリストは鈴木本人監修の下で構成され、「走れ!Bicycle」は彼女が初めて観客の前でパフォーマンスした思い出の曲ということでセレクトされたという。

乃木坂46・鈴木絢音卒業セレモニー

最初のMCで「まだ卒業する実感が全然なくて…。このセレモニーが進んでいくにつれて実感が増していくんだろうなと思います」と率直な気持ちを話した鈴木。続いて、「後輩ちゃんとお話がしたい」というトークコーナーへ。「みんなの趣味が知りたい」という鈴木に対し、後輩メンバーから「音楽」「仮面ライダー」「散歩」「スポーツ観戦」「カンフーの剣術」「お香集め」「カメラ」「漫画」といった最近のマイブームが語られていく。鈴木も「実は私も仮面ライダーが好きで…」「私、剣道やってた!」とうれしそうな反応を見せていた。

次のブロックでは、鈴木が3、4、5期生それぞれとコラボレーションしながら楽曲をパフォーマンス。後輩たちに囲まれながら楽しそうに歌う鈴木の顔には、充実感があふれていた。また、ここで披露された「失いたくないから」「キャラバンは眠らない」「空扉」はグループの隠れた名曲であり、その選曲に4期生の矢久保美緒ら乃木坂46フリークの後輩たちをうならせていた。また、鈴木自身が各期のイメージに合わせてセレクトしたという衣装も、ステージを華やかに彩っていた。

乃木坂46・鈴木絢音卒業セレモニー

続いてのトークコーナーのテーマは「後輩ちゃんの質問に答えたい」。3期生の与田祐希からの「どんな家に住んでいますか?」に「無機質。白いものが多い」と答えるなど、鈴木の知られざるプライベートが垣間見える展開に。途中、鈴木が「じゃあ次は…なおちゃん!」と5期生の冨里奈央を指名すると、同じ“なお”である4期生の弓木奈於が話し出すハプニングが発生。そんな弓木の質問が「どうしたら落ち着きますか?」だったことに会場が大爆笑に包まれ、和やかなひとときとなった。

イベント中盤では、ユニット曲のコーナーも。鈴木自身がオリジナルメンバーとして参加している「Am I Loving?」は、宮城県出身の久保史緒里、岩手県出身の佐藤璃果との“東北出身トリオ”で披露。また、鈴木を含め乃木坂46の研究生出身メンバーによって歌われてきた「ボーダー」は、同じように“坂道研修生”から正規メンバーへと昇格した経験のある4期生の黒見明香、佐藤璃果、林瑠奈、松尾美佑、弓木奈於と歌い紡ぐ形に。まさにグループの歴史の重みとメンバーの層の厚さを感じる瞬間となった。

乃木坂46・鈴木絢音卒業セレモニー

最後のトークコーナーのテーマは「乃木坂最高!な瞬間」で、「みんながそう思う瞬間を知りたい」と話す鈴木。メンバーからは「ツアーでの食事」「ライブ本番前に背中をたたいてもらえる」「かわいい子がたくさんいる」「誕生日を祝ってもらえる」「みんなプライベートでも優しい」などの声が。その一つ一つに鈴木もうなずきながら共感し、「そんな最高な瞬間をどんどん更新していってほしい」とメッセージを送った。

その後は、アンダーの経験が長く、アンダーライブへの思いも人一倍強い鈴木がアンダーメンバーのセンターに立ち、「新しい世界」「自由の彼方」を力強く披露。続いて、自身の初選抜入り曲「ジコチューで行こう!」を本人の予告通り“スーパー笑顔”でパフォーマンスすると、客席も「絢音」コールで応えた。乃木坂らしさあふれるミディアムナンバーの「羽根の記憶」では一転して会場がエモーショナルな雰囲気になり、イベントの幕が下りる時間が近づいていることを予感させる。そして、「2期生はみんな卒業して、2期生曲のオリジナルメンバーも私しかいなくて。披露するのはちょっと緊張するし寂しいけど、頼もしい後輩の力を借りて歌わせてください」と、2期生楽曲「アナスターシャ」で本編が終了した。

乃木坂46・鈴木絢音卒業セレモニー

アンコールでは鈴木が純白のドレス姿で登場し、2期生楽曲「ゆっくりと咲く花」をソロ歌唱。その真っすぐな歌声に、心が折れかかった主人公が前向きに歩き出す姿を描いた歌詞が重なり合う。それは、グループ加入後さまざまな悔しさや苦しさを経験しながらもストイックに自分自身と向き合い、成長し、そして頼れる先輩としてグループを引っ張るまでになった鈴木自身のアイドル人生を表しているように見えた。

歌唱後には、鈴木からファンに向けて感謝のメッセージが。「10年間振り返ると、出会いに恵まれた乃木坂人生だったなと思います。変わり者と言われてどこに行ってもなじめなかった私を受け入れてくれた2期生やメンバー、尊重してくれたスタッフさん、『そんなところが好きだよ』って言ってくれたファンの皆さん。たくさんの優しさをありがとうございました。自分に誇れることは何一つとしてないけれど、私の周りにいてくれる優しい皆さんのことが唯一の誇りです。皆さんから見て、私の乃木坂人生はどんなふうに映っていますか? 私は私なりに喜びを見つけながら、乃木坂人生を楽しんできたつもりです。悲しい物語を宛て書きされちゃうことも多かったけれど、私の乃木坂10年間は人生で一番美しい10年間でした。だから皆さんの心にある私の乃木坂人生も、悲しい物語じゃなくて、楽しい記憶であってほしいなと思います。そしてこれからのこと、皆さんに具体的にあまりお伝えできていなくて、申し訳なく思っています。10年間脇目も振らず必死に、全力で走ってきたつもりです。ちょっと苦手だなって思うことも、やったことないなって思うことも、乃木坂46のためになるならって頑張ってきました。でもいざ卒業して一人になって、どうやって頑張ればいいんだろうって、頑張り方が分からなくなってしまう自分がいます。今はちょっとだけお休みして、未来のことを考えて、そんな時間が私には必要なのかなって思いました。まだどんな未来を選択するのか私の中でも決まっていませんが、頑張りたいって決心がついたときには皆さんの前に戻ってくると思います。最後にもう一つわがままを言っていいのなら、また私のことを見つけてくれたらうれしいです。今度は皆さんに見つけていただけるように、私が頑張らせてください」と涙ながらに宣言した。

乃木坂46・鈴木絢音卒業セレモニー

そんな鈴木が乃木坂人生最後の1曲として選んだのは「君の名は希望」。「私のことを10年間導き続けてくれた曲です。これからの乃木坂46が、キラキラと輝き続けますように。そんな願いを込めて歌います──」。万雷の拍手の中でピアノのイントロが流れ、鈴木は最後の時間をかみしめるようにメンバー1人1人と顔を見合わせながら歌唱。これから新しい道へと歩き始める鈴木の顔はもちろん、グループの未来を託された後輩たちの顔にもたくさんの希望があふれていた。

エンディングでは、鈴木の同期であり卒業生の伊藤かりん、伊藤純奈、相楽伊織、新内眞衣、堀未央奈、山崎怜奈がサプライズで登場。「知らない、知らない!」と驚きの表情を浮かべる鈴木に、6人から労いの言葉が送られた。最後のメッセージを求められた鈴木は、「本当に人生で一番美しい日になったんじゃないかと思います。皆様のおかげです」とあらためて感謝の言葉を。そして「次に進んでいく未来も、今日卒業を決めたことを後悔しないような人生にできるように、これからも頑張っていきます」と誓い、セレモニーの幕を下ろした。後輩とのトークにコラボパフォーマンスと、今までにない新鮮な鈴木の姿が何度も見られた2時間。終始アットホームだった会場の空気は、鈴木自身の優しい人柄を物語っていた。

乃木坂46・鈴木絢音卒業セレモニー

乃木坂46・鈴木絢音卒業セレモニー

<セットリスト>

Overture
01. 自惚れビーチ
02. 走れ!Bicycle
03. 失いたくないから
04. キャラバンは眠らない
05. 空扉
06. Am I Loving?
07. ボーダー
08. 新しい世界
09. 自由の彼方
10. ジコチューで行こう!
11. 羽根の記憶
12. アナスターシャ
アンコール
13. ゆっくりと咲く花
14. 君の名は希望

■セットリストをプレイリスト配信中
https://nogizaka46.lnk.to/20230328WN