内藤理沙インタビュー「黒幕は…もしかしたら私ってことも!?」ドラマ『女囚セブン』

特集・インタビュー
2017年05月19日

テレビ朝日系ドラマ『女囚セブン』に出演中の内藤理沙さん。女子刑務所を舞台に、主演の剛力彩芽さんらが演じる女囚たちの激しいバトルを描いた異色のコメディで、内藤さんは新人刑務官の立原桐子役。アクの強い女囚&刑務官がひしめく中で、一同に振り回されがちなキャラクターを好演している。2014年の『ドクターX 外科医・大門未知子~』がターニングポイントとなって女優に開眼した彼女の今を切り取るインタビュー。


「演技がつまらない」と怒られて…

内藤理沙インタビュー

◆内藤さんは、もともと女優志望だったんですか?

それがそうでもなくて。テレビに出たいという思いはあったんですけど、自信を持って「これができる!」とか「これが得意です!」とか言えるようなものを持っていなかったので、最初のころは何を売りにすればいいのか分からないまま、ただ毎日が過ぎていったという感じですね。とにかく自信がなかったんです。演技に関してもそうで、レッスンを受けても周りのみんなのように自ら進んで前に出ることにはずっと抵抗がありました。ドラマに出演させてもらうようになっても、せっかく役をいただいているのに、自分には向いてないとしか思えなくて、いつも不安でしたね。

◆そういう意識は、いつごろから変わっていったんですか?

演技とちゃんと向き合うようになったのは、『ドクターX 外科医・大門未知子~』(2014年)のときです。それまでの私は、自信のなさから言われたとおりにやるだけで、そこからはみ出すようなことはしない、本当にこじんまりとした、当たり障りのない演技をして、ただただ怒られないようにしていたんです。でも、監督はそんな私のことを見抜いたんでしょうね。「演技がつまらない」って怒られたんです。そのほかにも「今まで何やってきたの?」とか「本気やりたいの?」とかってわーっと。でも確かに私、今まで誰でもできるような演技しかしてこなかったなと思って。

◆では、そのときの監督の言葉がなかったら今ごろは…。

変わらず当たり障りのない演技をしていたでしょうね。今の自分の演技にも足りないものってたくさんあると思うんですけど、そういうことにさえ気づかず、作品の足を引っ張っていたかもしれないです。だから、監督にはすごく感謝しています。そのことをきっかけに役について深く考えるようになって、それが楽しいと思えるようにもなりました。

◆監督に怒られたとき、心が折れずにいられたのはどうしてなんでしょう?

折れましたよ。現場ではぐっと堪えましたけど、家に帰ってふとんの中でわーって泣きました。仕事のことで泣いたのは、そのときが初めてですね。やっぱり私、この世界ではやっていけないかもしれないと思って。で、母に電話したら「もう撮影入っちゃったんだし、誰も代わりはいないんだから、もうやりきるしかないでしょう」って諭されて、腹をくくりました。それからは怒られるのを覚悟で、現場に向かってましたね。そうそうたる役者さんたちが現場にいらっしゃる中で、私なんかのせいで撮影を止めて迷惑をかけるわけにはいかないし、毎日プレッシャーに押しつぶさそうな…いや、もう押しつぶされてました(笑)。正直、当時の記憶って飛び飛びで、あんまりちゃんと覚えてなくて。いろんな意味で、怖かったです(笑)。

◆事務所の先輩でもある主演の米倉涼子さんに相談することはなかったんですか?

米倉さんは憧れの存在すぎて、私が何か相談するなんてとてもじゃないですけどできなかったですね。いつも気さくに話しかけてくださるんですけど、私はファンの1人みたいになっちゃって、「お疲れさまです」の挨拶でさえ緊張してました(笑)。

◆そういう意味では、『女囚セブン』の主演の剛力彩芽さんは同じ2002年の「全日本国民的美少女コンテスト」出身で共演経験も多いですから、近い距離感でいられるんじゃないですか?

そうですね。舞台になっている女子刑務所は廃病院を使って撮影していて、夜になるとすごく怖いんですよ。私も彩芽ちゃんも怖がりなので、2人で「きゃー!」って叫びながらぎゅっーとくっついたりしています(笑)。一方で、役のスイッチが入ればぱっと切り替わるところは、やっぱりさすがだなと。あと、周囲への気配りも欠かさないんですよ。私より年下なんですけど、ふとした瞬間に年上に見えることがあります。みんなが笑顔で撮影が進んでいるのは、そんな彩芽ちゃんの存在が大きいと思いますね。


刑務官たちのシーンはアドリブが飛び交っている!?

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◆『女囚セブン』という作品に対する第一印象は、どんなものでしたか?

日本で刑務所を舞台にしたドラマってそんなに多くないじゃないですか。だから、どんなふうになっているんだろうと思って台本を読んでみたら、女囚はもちろん、刑務官まで、一人ひとりのキャラクターがすごく濃くて、果たして私はこの中でやっていけるんだろうかと不安になりました(笑)。

◆確かに女囚に負けず劣らず刑務官も濃いキャラぞろいで、あの中で立ち回るのは大変そうですね(笑)。

刑務官たちのシーンはアドリブも多くて、最初の段取りを確認するときから台本とは全く違うセリフが飛び交っています。監督も、気に入ったアドリブはどんどん本番で採用する方なんですよ。一番アドリブを言うのは、一本松役の永野(宗典)さん。この間も台本と言葉も内容もあまりに違いすぎていて、次が私のセリフだって気づかないまま、ずっと待ってしまって。私のほうをじーっと見られて、初めて「えっ、私!?」みたいな(笑)。すごいです、永野さんは。でも、たくさんアドリブをやりすぎて、監督から「さっきのあれがいい!」と言われて「どんなんだったっけ~」ってなっていることもありましたね(笑)。

◆アドリブに対する内藤さんの対応力も重要になってきますね。

ただ私としては、立原はあの刑務官たちの中では一番まともなキャラクターだと思っているので(笑)、それがしっかり見えるようにしたくて。だから、刑務官たちのコミカルなシーンは私もついつい楽しくなっちゃうんですけど、あまり入っちゃいけない! って我慢しています。乗っかりたいけど乗っからず、常にどこか冷めた目線を持つようにして。

◆刑務官を演じる難しさはありますか?

刑務官役は初挑戦で、身近な職業であれば実際に見たり聞いたりできたんでしょうけど、そうもいかなかったので、最初は刑務官についてネットで調べたり、あとは『女囚セブン』と同じく女性刑務所を舞台にした海外ドラマに「ウェントワース女子刑務所」という作品があって、それを見たりして自分なりに勉強したんです。その中で私が注目したのが、刑務官の受刑者に対する“距離感”。立原の場合は、受刑者を人として見ないような鬼刑務官ではないですけど、決して深入りもしない。その距離感を、難しいながらも大切に心がけて演じています。

◆そんな立原たち刑務官が、女囚たちの激しいバトルにどう絡んでくるのかも見どころですね。

そうですね。女囚同士、刑務官同士、そして女囚と刑務官。いろんな人間関係を見ていただけたらうれしいです。物語は折り返しを迎えて、今後、彩芽ちゃん演じる琴音の無実の罪に隠された真相が除々に明らかになっていくのですが、そのカギになってくるのが“黒革の手帳”。個人的には、まだまだどんでん返しがあるんじゃないかと思っています。黒幕は一体誰なのか、実は私もまだ知らないんですけど…もしかしたら私ってこともありえる!?(笑)。


実は御朱印女子! 今行きたい神社は…

内藤理沙インタビュー

◆劇中の女囚たちには、宝塚の男役のようしぐさをする楠瀬司(山口紗弥加)だったら「ヅカ」、無銭飲食を繰り返す坂本奈津(安達祐実)だったら「食い逃げ」など、それぞれキャラクターを表すあだ名がありますが、内藤さん自身にそういうあだ名をつけるとしたら何だと思いますか?

なんだろう…「能天気」ですかね。それだと面白みがないかな(笑)。小さいころからいつも人前に出て、元気にきゃっきゃやってるようなタイプでした。運動するのも大好きで、いつもひざを擦りむいてましたね。この世界に入ってしばらくは最初にお話したような引っ込み思案になりましたけど(笑)、その期間を除けばずっとそんな感じ。おてんば娘というんですかね。ああ、そういえば大人になってから「じゃじゃ馬」と言われたことがあります(笑)。

◆運動は何をやられていたんですか?

中学のとき、ソフトテニス部だったんですけど、「全日本国民的美少女コンテスト」を機に辞めたんです。それまで日焼けなんて全然気にしてなくて、コンテストにも真っ黒なまま行ったら、周りがみんな真っ白な子ばかりで、これは私も白くならなきゃいけないなと(笑)。コンテスト伝統の白いワンピースをTシャツ焼け、半ズボン焼け、靴下焼けと完全にテニス焼けした状態で着ることになって、ある意味目立っていたとは思います(笑)。

◆逆にそれが審査員の方の目に留まったのかもしれませんね(笑)。

どうなんでしょうね(笑)。

◆今現在、体作りのためにしていることはありますか?

ジムには、週1~2回は行くようにしています。父がラグビー選手だったので、その遺伝か私、筋肉がつきやすいみたいで。最初は一人でトレーニングしていたんですけど、それだと不必要なところまで筋肉がついてしまうので、今はトレーナーさんにしっかり見てもらっています。食生活も気にするようにはしてますけど、食べたいものを食べることが一番ストレスにならなくていいですね(笑)。基本的には、自炊。今はレシピがたくさん載っている便利な携帯アプリがあるので、それを見ながら。母の味が食べたくなったときは、母に電話して「どうやって作るの?」って直接聞いたりもしますね。好物は、やっぱりお肉! お肉はがっつり食べようと思ったら家ではなかなか難しいので、そのときはお店に食べに行きます。両親が遊びに来たときも、行くのは必ず肉類の店。焼き肉店だったら私の場合、タンからハラミにいって、胃の調子によってカルビも、というのが鉄板コースです(笑)。

◆休日は、どんなことをして過ごしていますか?

神社に行くことが多いですね。で、御朱印を集める。ただ集めるんじゃなくて、ちゃんとそのとき自分が求めている神社で参拝するというのが私の流儀で。例えば仕事のことで悩んでいれば、仕事運の神様や芸能の神様のところに行って、御朱印をもらう。だから、溜まる速度はそんなにハイペースではないんですけど、こつこつと。神社に行くとすごく心が浄化されて、すっきりするんですよね。それまで悩んでいたことなんてちっちゃい、ちっちゃい!って。よし頑張ろう!ってポジティブになって帰ってこられるんです。

◆神社にハマったきっかけは、何だったんですか?

もともと神社は好きだったんです。一日空いていたら始発電車に乗って秩父の三峯神社とか、山の上のほうにある神社とかにも一人で行ったりしていて。その後、両親とハワイ旅行をしたときに現地にある出雲大社の分社に行ったんですけど、そこの御朱印が「ALOHA」って筆で書いてあって、その横にハートの交通安全シールが貼ってあって、すごくかわいいんですよ。そこからより一層神社にハマって、御朱印も集めるようになりました。祖母も昔から御朱印を集めていて、同じ話題で盛り上がれるんじゃないかと思ったのも理由です。

◆次に行きたい神社はありますか?

そのときどきの気持ちで、っていうのがあるんですけど、現状で言うなら健康運の神社ですかね。ちょっとしたことですぐ体調を崩しかけちゃうので。『女囚セブン』の撮影を最後まで全力でやりきるためにも、自分自身にムチ打つつもりで、一度身も心もクリアにしてきたいです!

 

■PROFILE

int_naitorisa2017_02ないとう・りさ…1989年1月10日生まれ。群馬県出身(ぐんま観光大使)。A型。
2002年に「第8回全日本国民的美少女コンテスト」に出場したのをきっかけに芸能界入り。2012年に『37歳で医者になった僕~研修医純情物語~』で女優デビューを果たし、その後も『ドクターX 外科医・大門未知子~』や『エイジハラスメント』『ダメな私に恋してください』など数々の話題作にレギュラー出演。NHK土曜時代劇『忠臣蔵の恋~四十八人目の忠臣~』では初の時代劇に挑戦。

■作品情報

『女囚セブン』
テレビ朝日系
毎週(金)後11・15~深0・15ほか

脚本:西荻弓絵
監督:瑠東東一郎、豊島圭介
出演:剛力彩芽、山口紗弥加、トリンドル玲奈、内藤理沙、久住小春、平岩紙、橋本マナミ、木野花、安達祐実、梶芽衣子、高嶋政伸ほか

 
●photo/中村圭吾 text/甲斐 武 hair&make/黒瀬将克(MARIS HairSalon)