中谷美紀インタビュー「人が人を思うことの美しさを教えてくれる作品」連続ドラマW 東野圭吾『片想い』

特集・インタビュー
2017年10月20日

“ジェンダー”を題材とした東野圭吾原作「片想い」をドラマ化。10月21日(土)よりWOWOWにて放送開始する。本作で性同一性障害の主人公・美月を演じる中谷美紀さんが、役作りや本作への思い、そして少し意外な“ドジ”エピソードも明かしてくれました。


人が人を思うことの美しさを教えてくれる作品

中谷美紀インタビュー

◆ミステリー要素だけでなく、「自分らしく生きたい」と願う大人の青春群青劇の要素もあるドラマだと思いました。原作、台本を読んだ感想はいかがでしたか。

やはり先の見えない展開が東野さんの作品ならではですよね。この物語には、“性同一性障害”というテーマ、美月が所属していたアメリカンフットボールチームの友情と性別を超えた愛情、そしてミステリーのトリックがかけ合わさっています。だからこそ、私は1本の軸を貫くようにぶれてはいけないなとも思いました。

◆主人公・美月を演じる上で意識されたことはありますか。

必死で筋トレをしたのですが、それでも体づくりには限界がありました。ただその時感じた悔しい思いが美月の「どんなにあがいても本物にはなれない」というせりふに重なるのかなと思えたんです。それから社会が自分を認めてくれないという気持ちもさることながら、自分自身を認めてあげられないという自己肯定感の低さのようなものも心の中で大事にして、彼女を演じました。

◆本作では、美月をはじめ登場人物がそれぞれ一方通行でも懸命にその思いを貫く姿が印象的でした。

男女の恋愛に限らず、人が人を思うことの美しさを教えてくれる作品です。その一方で、エンターテインメントとして深く考えずにご覧いただき、楽しんでいただきたいなとも思っていまして。そして性同一性障害だけでなく、ジェンダーで悩む方々が少しでもご自身を大事にするきっかけになったらと願っています。


どうしても直らない癖は、メールの返信が遅いこと

◆この作品のタイトル、物語の核となる“片想い”ですが、中谷さんが“片想い”を抱くときを教えてください。

美月の思い人・理沙子を演じる国仲涼子さんが、だんなさまの向井(理)さんから私に心が傾くことを目標にドキドキしながら演じていたのですが、どうやらそこまでには至らなかったようで。そういう意味では片想いだったかもしれません(笑)。

◆役に対してストイックに向き合う姿からも、中谷さんには “完璧大人女子”のイメージがあります。

ありがとうございます(笑)。何となく仕事していると“男性モード”になっている気がしますね。でも普段は、洋服のファスナーが開いていたり、よく自宅に携帯電話を忘れて旅行に出かけてしまったりと、少し抜けているところもあるんです…(笑)。あと少し男性っぽいなと思うことでどうしても直らない癖が、メールの返信が遅いこと。女性って何でもないメールをするじゃないですか、用件だけじゃなくて。申し訳ないのですが、“返信しなくちゃ”って思っている間に頂いたことすら忘れちゃうんです(笑)。

 

■PROFILE

●なかたに・みき…1976年1月12日生まれ。東京都出身。A型。2018年上演の「黒蜥蜴」(東京公演/日生劇場:1月9日(火)~1月28日(日)、大阪公演/梅田芸術劇場メインホール:2月1日(木)~2月5日(月))では、主演の美貌を持つ女盗賊“黒蜥蜴”を演じる。

 

■番組情報

「連続ドラマW 東野圭吾 『片想い』」「連続ドラマW 東野圭吾 『片想い』」
放送日:2017年10月21日(土)よりスタート(全6話・第1話無料放送)
原作:東野圭吾「片想い」(文春文庫刊)
脚本:吉田紀子(「連続ドラマW 東野圭吾『変身』」)
監督:永田琴(「連続ドラマW 東野圭吾『分身』」「連続ドラマW 東野圭吾『変身』」)
音楽:市川和則
出演:中谷美紀、桐谷健太、国仲涼子、大谷亮平、鈴木浩介 ほか
 
●photo/舞山秀一 text/山下紗貴 hair&make/下田英里 styling/岡部美穂