映画「億男」公開記念!佐藤健SPインタビュー【Part1】

特集・インタビュー
2018年10月19日

『半分、青い。』『義母と娘のブルース』など、作品ごとにさまざまなキャラクターを演じてきた佐藤健さん。10月19日(金)公開の最新主演映画「億男」では、お金に振り回されるさえない男・一男というこれまでとはまた違った役どころを演じている。そこでスペシャルインタビューと題し、佐藤さんへのインタビューを2回に分けて掲載。Part1では、本作での役作りや大友啓史監督との撮影エピソードなどを聞きました。(Part2はこちら


大友監督とやっと一緒に仕事ができると思うとうれしかったです

佐藤健インタビュー◆『龍馬伝』や「るろうに剣心」シリーズでタッグを組んだ大友啓史監督の現代劇。お金をめぐる人間たちの物語ですが、オファーを受けた時の心境をお聞かせください。

大友監督とまた一緒に仕事をしたいという気持ちは常にありました。もし次やるならどんな作品か楽しみでしたし、『億男』のような題材を扱うのは意外に感じたのでなおさら楽しみだったし、やっと一緒に仕事ができると思うとうれしかったです。

◆脚本を読んだ時の感想を教えてください。

まず一男のキャラクターをどうしようかなと思いました。一男のキャラクターをどこに定めるのがいいのだろうということを一番に考えないといけないと思いましたね。

◆一男のキャラクターについて考えた時に、彼をどんな人間だなと思われましたか?

何で九十九はこんなに一男が好きなんだろう、妻の万左子もどこにひかれて結婚したんだろうと、すごく考えました。九十九は才能があるけど、すごく変わったヤツで、一男だけが自分を理解して認めてくれた。だから九十九は一男に心を開くことができた。そして一男が純粋な心を持っていることを見抜いていたんだと思います。万左子が結婚したのも同じ理由ですよね。一男がもともと持っていたいい部分にひかれて結婚したけど、借金を背負って彼は大切なものを失ってしまった。原作では“欲を失った”という言い方をしていますが、一男は「ああしたい、こうしたい」と思うことがなくなってしまったんです。万左子はいわゆる人生の彩りが失われてしまったということを言っていると思うんですけど、一男はそこに気がついていない。そんな感じがにじみ出たらいいなと思っていました。

◆大学時代と借金を背負ってからの一男。違う人間になってしまったかのようでしたが、その違いがとても表現されていて、現在の一男は明日への希望もないんだろうなというくらい疲れて見えました(笑)。役作りで意識したことはありましたか?

何か大切なものを一男は失ってしまったという表現ができればというのは特に意識していました。役作りは特にしていませんね、僕も借金3000万円くらいあるので、そのままやりました…もちろん冗談ですが、宝くじは毎回買っています(笑)。

佐藤健インタビュー◆現場以外でした役作りとなるとどんなことをされましたか?

パーティーで酔いつぶれてしまって、朝起きたらお金がなくなっているという冒頭の場面は、その雰囲気を出したくて、前の晩から飲みに行ってそのまま現場に行きました。そしてメイクもせず、そのまま床で寝て…。働きすぎて奥さんにいら立ってしまうシーンも、疲れ切っている感じを出せたらと、あえて寝ていないまま現場に行きましたね。

◆藤原竜也さん、沢尻エリカさん、北村一輝さんもお金によって人生が変わった個性豊かなキャラクターを演じていました。

毎回違う俳優さんの芝居を見に行くような感じでした。観劇に行くような。今日は北村さんの日、今日は藤原さんの日、沢尻さんの日みたいな。お客さん気分で回っていました。大友さんはその“舞台”の中で自由にやらせてくれますからね。大友さんの現場は、長回しで撮るのでいろんな可能性があるし、予期せぬことが起きて、思ってもみなかった表現になる。そういうのが楽しいんです。

佐藤健インタビュー◆大友監督と組むのは4作目になりますが、前作を意識したポイントはありますか?

『るろうに剣心』の続編をやった時は、前回と同じようなことはしない、前回を超えてやろうという気持ちがすごくありました。でも今回、僕にはそれがなくて。全く題材が違う作品なので比べられないというか。だから今回は過去の大友さん作品を意識していません。僕は一男というキャラクターをゼロから作って、その中で良いパフォーマンスをする。それだけでした。

◆では久しぶりに大友監督と一緒に仕事をして成長という部分ではいかがでしたか?

作品ごとにやることが違うから成長した部分を見せられるとも思っていなくて。例えば僕がある役を演じた時に、今と5年前では全然違うと思うんです。僕は役者として5年前の自分より成長できたつもりではあるけど、役によっては5年前のほうが良いパフォーマンスをする可能性もある。それぐらい作品ごとに違うことをやっているので、役柄が全く違うのに成長した姿を見せたいという気持ちはあまりないですね。

(Part2はこちら

 

■PROFILE

●さとう・たける…1989年3月21日生まれ。埼玉県出身。最近の出演作に、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』、ドラマ『義母と娘のブルース』、映画「8年越しの花嫁 奇跡の実話」「いぬやしき」など。出演映画「ハード・コア」が11月23日(祝・金)公開。

 

■映画情報

映画「億男」「億男」
10月19日(金)より全国東宝系にて公開

<STAFF&CAST>
監督:大友啓史
原作:川村元気「億男」(文春文庫刊)
脚本:渡部辰城、大友啓史

出演:佐藤健、高橋一生、
黒木華、池田エライザ / 沢尻エリカ、北村一輝、藤原竜也

<STORY>
失踪した兄が残した3000万円の借金返済に追われる一男(佐藤)。妻にも見捨てられ踏んだり蹴ったりの一男だが、突然3億円の宝くじに当選。大学時代の親友で億万長者となった九十九(高橋)に相談するがその3億円を持ち逃げされてしまう…。

©2018映画「億男」製作委員会
 
●photo/干川 修 text/佐久間裕子 hair&make/古久保英人(Otie) styling/岡部俊輔(UM)