中川翔子インタビュー「今の自分だからこそ歌える曲」新曲「blue moon」リリース

特集・インタビュー
2018年11月28日

11月28日(水)に約3年半ぶりとなるニューシングル「blue moon」をリリースする中川翔子さんにインタビュー。収録曲の聴きどころやMV撮影の裏話、さらには最近の私生活のエピソードなどについて話してもらいました。

中川翔子インタビュー◆単独名義でのCDシングルは約3年半ぶりです。リリースが決まった時はどう思われましたか?

リアルにバンザイをしました!諦めずに待ち続けてよかったって。舞台やドラマ、ディナーショーみたいな以前とは違うチャンスを頂いたり、コラボ曲を歌う機会はあったけど、やっぱりCDで自分の新しい曲を届けたいという思いはずっとあったんです。しかも、その新曲がアニメ『ゾイドワイルド』のエンディングテーマだと聞いて、すごくうれしかったです。

◆「blue moon」は、大切な人への思いと月のイメージが重なる幻想的なメッセージソング。ご自身も作詞に参加されたそうですが、どんなところから発想したんでしょうか?

『ゾイドワイルド』は相棒との絆から起こる奇跡の物語なので、そのキーワードを入れつつ、聞いてくださる方が自分の人生について何か発見できるような曲にしたいなって。私はもともと月が好きだったし、物語に出てくるワイルドライガーというキャラクターのブルーが印象的だったこともあって、タイトルはそこから発想しました。それに、月って何だか自分を見守ってくれているような気がして。私は、家族や猫との永遠の別れを経験した時、これからはずっと見守ってくれると感じたんです。そういう大切な存在への思いを込めて歌詞を考えました。と言っても別れの曲ではないので、皆さんにとっての“月”のような大切な存在を思い浮かべながら聴いてほしいです。恋人でも、家族でも、友達でも、ペットでも…これから出会う子孫でも(笑)。後から分かったことなんですけど、「blue moon」には“ありえない奇跡”という意味もあるらしくて。ずっと元気でいてほしいって思える大切な人と出会えるのってまさに奇跡だと思うので、“やっぱりタイトルはこれしかなかったんだ!”って思いました。

◆カップリングの「Heavy Girl」は、劇作家・演出家の根本宗子さんが“重い女”をテーマに作詞した曲。別れを告げられた女性が、相手に追いすがってボロボロにされる…という強烈な歌詞ですね。

根本さんに“中川翔子のイメージで歌詞を書くならどんな内容にしますか?”と聞いて、作っていただいたようなんですが…最初に歌詞を見た時は、正直びっくりしました!歌詞に出てくる女性が、好きな人のためにお金を出しちゃったり、倒れたら構ってくれるかなとか考えてるし…これヤバイ人ですよね。根本さんは、私にこういう気質があることを見抜いたのかなって思いました(笑)。

◆中川さんには実際そういうところがあるんですか?(笑)

若い時は、趣味でも何でも、好きになったらガーッてなっちゃうタイプだったので…。今はさすがに大人になったので、しつこくしたらヤバイってことは分かってますけど(笑)。今の私がこの曲の歌詞みたいに恋人から「ゲームをやめろ」なんて言われたら、“いやいや、だったら独身を貫くわ!”って考えるかなと思います(笑)。

中川翔子インタビュー◆根本さんが脚本・監修を手がけたMVは、中川さんの体当たりの“ヤバイ”演技が見どころですが、撮影はいかがでしたか?

めちゃめちゃ楽しかったです! 土砂降りの雨の中、ゴミ捨て場の中に捨てられたり、頭から水をかけられたり…快感でした(笑)。せりふを言う場面も、後から自分で見て“うわっ、この人ヤバ!”って思いました(笑)。そのとき自分の目が、ちょっと(過去に出演したドラマの)『あなたのことはそれほど』で演じた役と近い気がして。この3年半の間に舞台やドラマに挑戦して、役に憑依してもらう経験をしたことが、歌の仕事の場で役立ったのかもしれないです。

◆もうひとつのカップリング曲は「ミスター・ダーリン」。CHiCO with HoneyWorksとコラボした同曲のセルフカバーバージョンで、とてもハッピーなラブソングです。

チコハニさんから「コラボしましょう」と言っていただいた時、「チコハニさんワールドに染まりたい」とお伝えしたんです。それで作ってくださったのが、まさかの夫婦ソング!いつものチコハニさんは青春キラキラソングが多いんですが、今回は大人の私に寄せてくださったのかなって思いました。私の周りはファンの方同士で結婚した方が何十組もいるんですけど、今ちょうど第3次結婚ブームくらいの波が来ているところで、タイミングがよかったなって(笑)。「この曲を結婚式でかける」って言ってくれる方もいました。

◆「Heavy~」とはまったく違いますね(笑)。

「Heavy~」を聴いたら“男なんてわけわからん!”ってなったんですけど、その後「ミスター~」を聴いて、“こんな未来があったらいいな”って、コロっと変わっちゃいました(笑)。「Heavy~」で恋愛に失敗してボロボロになって、「ミスター~」で優しい人に出会ってラブラブになって、最終的に「blue~」のような究極の無償の愛にたどり着く。そういう順番で聴いてもらったら面白いかも(笑)。

◆前作のリリースから3年半を経て、ご自身の中で変化はありましたか?

ドラマや舞台、ラジオや声のお仕事が増えたり、オリンピックのマスコット審査会メンバーに選ばれたりして、大人になったのかなという感じはします。でも、どの瞬間も頭の中には歌がありました。舞台では、役柄として歌うという今までにない技法を学んで、今まで私を知らなかった人からも拍手を頂けて。ディナーショーをやりたいという夢もかなって、生演奏だからこそ、曲が声についてきてくれるという感覚も味わいました。だからこそ、今は1日でも長く歌い続けたいと思うし、それがいかに難しいかということも感じます。

◆長く歌い続けるために、体調の管理はされているんですか?

若いときはあまり寝なかったんですけど、水木しげるさんに「寝なさい」とアドバイスされてから寝るようになりました。あと小林幸子さんが「どんな時でも完璧に歌うために“未病”を心がけてる」とお話しされているのを聞いて、超カッコイイなと思って。なので、最近はよく自炊してます。今は豚足とか豆腐を使った料理にハマってて。コチュジャンを使いたくてたくさん集めてたら、在庫が5キロぐらいになっちゃって、お店が開けそう(笑)。たまに友達をお家に招いて、ご飯を食べてもらったりもします。以前の私はそういうことをまったくしなかったので、自分でもちょっとびっくりしてます。

中川翔子インタビュー◆人と関わることに積極的になったんですか?

そうなんです。20代のころは仕事で精いっぱいでしたけど、最近はよく人とご飯に行ってます。この前は漫画の「東京都北区赤羽」に出てくるお店に行ってみたくて、作者の清野とおるさんやゲーム作家の堀井雄二さんと行かせていだきました。そういうこともあって、最近は“行きたい場所があれば行けるし、会いたい人がいれば会える”って実感してます。だから、今さらながら運転免許を取ろうとして頑張ってますし、行ったことがなかったジャズバーにもデビューしました。

◆特に仲良くしている方はいますか?

モーニング娘。’18の飯窪春菜ちゃんは10歳年下なんですけど、いっぱい誘ってくれて仲良くしてくれています。春菜ちゃんと仲良くなれたのをきっかけに、いろんな人と会ってみようと思えるようになったのかも。この前は春菜ちゃんとDA PUMPさんのライブに行ったんですけど、もう楽しすぎて!盛り上がる私の姿が、ライブ生中継にめちゃめちゃ映ってたみたいです(笑)。

◆気持ちがポジティブになってきたんでしょうか?

昔からドッスーン!ってネガティブになるクセがあったけど、そうなっても1回フラットにすることができるようになったかもしれないです。やっぱり気持ちが元気じゃないと歌えないので。それと最近、壮大な“結果オーライ”も感じるんです。この3年半は歌うことから遠ざかっていく気がして怖かったけど、『blue~』は今の自分だからこそ歌える曲だと思うので、待っていて本当によかったなって。あと、今年は思春期の頃に少し距離を置いてしまっていた父(故・中川勝彦)とCMで共演できたり、父のプロデュースをしてくださっていた林哲司さんから父のLPを頂いて、思わず泣けてきたり…。過去にシンドイと感じていたことも、それがあるから今があると思えることが多いんです。だから、もしかしたら自分でも忘れていることがまだまだあって、それが未来につながるかもしれない。そう思うと、何だか面白いなって思います。

 

■プロフィール

●なかがわ・しょうこ…1985年5月5日生まれ。東京都出身。A型。現在、リリースイベント「ラッキームーンツアー」が開催中。12月20日(木)には、ザ・プリンス パークタワー東京で「SHOKO NAKAGAWA クリスマスディナーショー2018~Parisdaisy さまざまな愛~」を開催。

 

■CD情報

「blue moon」New Single
「blue moon」
11月28日(水)発売

初回生産限定盤(CD+DVD+付属品)2315円
通常盤(CDのみ)1204円


●photo/中村 功 text/加藤 恵