クレイジーケンバンド・横山剣インタビュー「全部が音楽につながっていく」

特集・インタビュー
2020年12月23日

クレイジーケンバンド・横山剣インタビュー

10月に行われた15年ぶりの武道館ワンマンライブ 『CRAZY KEN BAND * NOW at日本武道館 20201030』が歌謡ポップスチャンネルで12月27日(日)にTV初放送。さらに、12月23日(水)から26日(土)までの4日間連続で特別YouTube企画「俺のイイーネッ!を聞け」が配信決定しているクレイジーケンバンドの横山剣さんに、インタビュー。

クレイジーケンバンド・横山剣インタビュー

◆今回放送される武道館のワンマンライブについて、まずはステージに立ってみての感想を教えてください。

クレイジーケンバンドとして15年ぶりの日本武道館。お客さんをフルで動員できるつもりで計画していたんですが、このコロナ禍ということもあり収容50%以下での実施となりました。「やる気が失せて行きそうな自分をどう鼓舞したらいいのか」「どうやったらお客さんに楽しんでもらえるのか」など、いろいろ考えたんですけど、いろんなことが頭を駆け巡って落ち着きませんでしたが、いざふたを開けてみて、観客席を見に行った時に、僕に気づいた数名の方たちがリアクションしてくれたことで少し気持ちが軽くなったんです。「楽しみにしてくれているんだ」ということが直接肌で感じられたこともありましたし、配席がうまい具合にいって、まんべんなくお客さんが入っているように見えて。心なしか、ソーシャルディスタンスのおかげで、お客さんが隣の人に当たる、当たらない関係なしに伸び伸びと動いて、声を出せない代わりに、動いて楽しんでくれているのが伝わってきました。こみ上げるものがあったので、「これは歌に支障が出ないといいな」と思って、グッとこらえました。お客さんの喜んでくれている姿に、当初の不安から解放されて、相乗効果が生まれましたね。

クレイジーケンバンド・横山剣インタビュー

◆放送の中では、ライブで起こったハプニングも収録されているんですよね?

ここで決めようと一番思っていた曲の出だしで、自分自身も興奮したはいいけど、出だしがどんな感じだったか、吹っ飛んでしまって(笑)。その時も生中継されていたので、そのままうやむやに進行するのはイヤだなと思って、いったん停めて、最初からやり直ししたんです。そのやり直しをしてから、より気持ちが軽くなって、お客さんもやり直しに対して、わーと盛り上がってくれたので、そこからはトップギアでいけました。

◆視聴者の方に、ぜひ見てほしいなというところはどこでしょうか?

普段のクレイジーケンバンドなら前半から飛ばしていくんですけど、今回はミドルからだんだん入っていく感じにしています。耳にやさしい感じというか、響く感じのものから入りたいなという、自分たちの思いもあって、いろんな曲順を試してみたんですけど、このミドルから入るというのに落ち着きました。お客さんたちを無理やり僕たちのリズムに乗っけようではなく、こういう時だからこそ、じっくり聞かせにいっています。その、さあこれからっていう時に「香港グランプリ」という爆発力のある曲でメロウな流れをぶった切って、換気。こんな組み方はいままで想像したこともなかったですね。「タイガー&ドラゴン」「ヨコスカ慕情」の流れは、表題曲みたいな曲で、どちらも横須賀が舞台だったり、ビートが近かったり、一致する部分があったので、メドレーにしました。

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◆12月23日(水)から4日間連続で配信される特別YouTube企画「俺のイイーネッ!を聞け」では、新たなことに挑戦されていましたね。

皆さんから僕が考えもしない質問がきましたね(笑)。自分が行き当たりばったりで、何も考えていない、「考えるな感じろ」という言葉を都合よく使っていたので(笑)。それでも、思ったよりはちゃんとしゃべれたかな。感覚が冴えていたのかもしれません。

◆質問に、クレイジーケンバンドさんの連想される曲を返すことになっていましたが、瞬発力が問われていましたね。

本当はこっちがよかったっていうのがあると思うんですけど、楽曲リストを見たらカッコつけちゃったりとか、違う邪念が入るから、それこそ感じるままに曲を上げていきました…。きっとまた明日やったら違う曲を言っているかもしれないですけど、楽曲はそういうものだと思うので。

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◆ご自身のYouTubeチャンネルでも、動画を上げていらっしゃいますが、それとはまた違ったものになったんじゃないでしょうか。

僕が上げている「なんとかかんとか」は鍵盤を弾いて、音楽のことを細かく話しているんですけど、何にもしゃべらないで運転しているだけの「クレイジーのけんさんぽ」のほうが数字がよかったり(笑)。なかなか、ルーティンにできなくて、あまり向いていないとは思うんですけど、でもYouTubeじゃないとできないことがいっぱいあるのでね。

◆今年ならではの発信の仕方ですよね。

そうなんですよね。これまで無観客配信ライブはやってこなかったですし…。テレビとかだと無差別に、たまたまそのチャンネルをつけた人が見るわけなので、CKBファンの方以外も。でも、この無観客配信ライブとかは、わざわざ選んで、それを見るチケットを買っていただくという。見てくださるという部分では、ただ単にテレビで音楽番組に出ている感じとは違うところですよね。確実に、温かい目も厳しい目も両方、支払っていただいている分楽しませなきゃ、というプレッシャーはありますが…(苦笑)。

ひとつ救いになるのは、ステージに置いたモニター画面でお客さんのコメントとか反応を見れること。ちゃんと画面の向こうに人がいるっていう、一方通行じゃない感じ。ただ(コメントの更新が)早くて読めないですけど(苦笑)、反応が来ているという、ざわざわ感がやる気につながりました。こういったコンテンツはコロナに関係なく、選択肢の一つとしてこういう形もあっていいんじゃないかなと思いましたね。

◆このYouTube企画も、新たにクレイジーケンバンドさんを知ってもらう機会になりそうですね。

そうなったら最高ですね。しどろもどろになるところとか、台本はあるけれども、ほとんどその場のノリで答えていますので、事前に考えてきたことは何一つないので。まさに感じたままに。出たとこ勝負でした。

◆12月31日(木)に開催される『クレイジーケンバンド ビルボードライブ横浜のクレイジーケンバンド』もフジテレビTWOで中継されますね。

コロナ禍で完成したビルボードライブ横浜で、年内にライブをできる。そして、新年も迎えられるっていうのはうれしいですね。今回はステージを飾らずに、自分を含めてメンバーが人間小道具という感じ。お客さんとの距離が割と近いので、ちょっと気を抜くといろんなところを見られてしまう(笑)。それも含めて楽しんでいただけたらいいなと思っています。個人的には、ビルボードと言ったら、本来一流の世界のジャズ系の方とか、ソウル系の方とかが出ている会場なので、その同じ舞台を踏めるという喜びもあって気分が上がります。ライブハウスやホールとは違った、緊張はしていないけど、緊張感っていうか…。背筋が伸びる感じが逆にちょっとクールにホットにできる。後半になると会場のキャラを忘れて、いつもの感じになっちゃうんですけど、前半はそういった緊張感がある。僕らにとってもイイ感じのステージになるんじゃないかな。メンバーのその時の機微みたいなものが見られると思うので、そういうのを感じ取ってもらえたらいいですね。

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◆今年1年を振り返って、どんな1年でしたか?

いろいろと混沌としてますけど、みんな一緒にこのつらい思いを共有している中で、ああすればこうなる、こうすればああなるみたいな困難もありましたが、でもあっという間に12月になっちゃったなという感覚。今日は無事だったって。また朝が来ると、今朝も無事に朝を迎えたみたいな、そういう感じの1日1日のありがたみとか、そういうので積み重ねて1年が過ぎたっていう。実は今までもそうだったんだなっていうのをまた思ってですね。長年の計画で、色々と仕込んで行くことも重要ですが、それ以上に1日1日を噛み締めながら生きて行こうというか。地球がいつ滅亡しても後悔しない生き方にシフトすれば毎日をエキサイティングに過ごせるって考え方に変わってきましたね。

◆そんな剣さんの活動の源は何でしょう?

車やバイクが楽しいのも、釣りが楽しいのも、海が楽しいのも、全部音楽あってのことですし、見た景色とか、嗅いだ香りとか、その場のシチュエーションとか、いろんなものがメロディーやアレンジに変換されて行くので、そういう意味では全部が音楽につながっていくので、全部が原料なんですよね。特に、CKBの場合は、それが大きいですね。みんな、自由にYouTubeの番組をやっていたり、小野瀬(雅生)さんはグルメのことをやって、本を出していたり、みんな好き勝手やってますけど、縛らずに、CKBとして名を連ねた時にパワーが1つにできればいいかなと。

◆2021年は、どんな年にしていきたいですか?

このどうなるか分からない状況は、時の運というものに任せるしかないんですが、ピンチこそ最大のチャンスってことで、できる限り精力的にやっていきたい。あと、そういう時ほど、曲がいっぱい生まれるので、生まれた曲をアルバムだったり、配信だったり、今はさまざまなコンテンツがあるので、そういったものでなるべく生まれたら早めに出していきたい。ツアーも半分のキャパとで2回廻しとか、色んな制約があるかも知れませんけど、できる限り回れたらなと考えています。

PROFILE

横山剣
●よこやま・けん…1960年7月6日生まれ。神奈川県出身。クレイジーケンバンドのボーカル。

番組情報

『CRAZY KEN BAND * NOW at 日本武道館 20201030』
歌謡ポップスチャンネル
2020年12月27日(日)後9・00~11・00

『クレイジーケンバンド ビルボードライブ横浜のクレイジーケンバンド』
フジテレビTWO ドラマ・アニメ
2020年12月31日(木)後11・00~深0・30

※放送スケジュールは変更になる場合があります

特別YouTube企画「俺のイイーネッ!を聞け」
2020年12月23日(水)~26日(土)