兵頭功海インタビュー「同世代の役者との共演は刺激になります」

10代、20代の若者を中心に絶大な支持を集めたドラマ『ブラックシンデレラ』（ABEMA）で、圭吾（神尾楓珠）の親友・滝川を演じた兵頭功海さんにインタビュー。地元・福岡から上京を決めたきっかけや今後の目標、『ブラックシンデレラ』の撮影や作品のテーマについて聞きました。

◆プロを目指すほど、学生時代は一生懸命野球に取り組んでこられたそうですね。そんな兵頭さんが俳優になったきっかけについて教えてください。

僕は高校生まで野球をやっていたんですけど、高校最後の大会前にけがをして投げられなくなってしまったんです。大会も決勝で負けてしまって。当時はプロを目指して一生野球をやっていくつもりで毎日練習に取り組んでいたので、そこで燃え尽きてしまったというか。そんな時に母と進路について話をしていたら「東京行けば？」って言われたんです（笑）。

母自身が18歳で上京していたこともあり、僕には若いうちにいろんな経験をさせたかったんだと思います。僕は、小さい頃からテレビに出たいなという漠然とした夢を持っていたんですけど、「東京に行ったらそれがかなうかも」って思って。役者になりたいというより、テレビに出たいなという思いで、何のあてもなく上京しました。

◆そこから『騎士竜戦隊リュウソウジャー』で追加戦士・リュウソウゴールドに抜擢。現在は『ブラックシンデレラ』（ABEMA）や『DIVE!!』（テレビ東京系）など話題作へ出演が続いています。

ありがたいことに最近少しずつですが、いろんな作品に出させていただけるようになりました。でも、役者になることを決めてから、そんなに順風満帆に過ごしてきたわけではないですし、全てがうまくいったというわけではありません。立ち止まったこともあったし、下がったことも少なくなかった。ただ、僕はそういう感情があったほうが頑張ることができるので、くやしい気持ちは無駄にせず今までやってこれたのかなと思います。

◆ご家族も兵頭さんのご活躍を見て喜ばれているんじゃないでしょうか。

そうですね。新しい作品への出演が決まると、祖父母からは「おめでとう、また楽しみが増えたよ」とメッセージが届きますし、家族からは「ドラマ見てるよ」とよく連絡をもらいます。最近だと、母から、中学生の妹が『ブラックシンデレラ』をよく見ているよと連絡が来ました。家族が喜んでいる姿を見ると僕もうれしくなりますね。

◆『ブラックシンデレラ』では、圭吾（神尾楓珠）の親友・滝川役で出演されました。撮影を振り返ってみていかがですか？

回を重ねるごとに視聴者数やコメント数が右肩上がりで伸びていき、本当にたくさんの方に見ていただけたことを実感しました。放送前は、キラキラした学園ドラマだと思っている方も多かったと思いますが、実際はコンプレックスや外見主義をテーマに描かれていて。皆さんの想像を良い意味で裏切っていけた作品になったと思います。

◆兵頭さんは、優しく冷静で周りに安心感をもたらしてくれるキャラクターを好演されていました。

そうなれていたらうれしいです。滝川は一歩引いて俯瞰で物事を見ていて、普段はあまり多くは語らないけれど、必要なところではバシッとひと言放つことができる男の子。圭吾が暴走しかけている時にしっかり声を掛けて支えてあげる役柄だったので、友達思いの滝川を演じることができて良かったです。

◆視聴者の方が“圭吾派”“空（板垣瑞生）派”で分かれる中、物語中盤からは“滝川派”という声も多く上がったそうですね。

そうみたいです（笑）。すごい細かいところまで見てくださっている方がいるんだなと、そのコメントを見た時はうれしかったです。実は当初現場では「僕は滝川派～！」「何それ～（笑）」みたいな冗談を、共演者の方と交わしていたこともあったんです。だからまさか本当に“滝川派”の方が出てくるとは思ってもみなくて（笑）。

◆なかなか攻めたテーマの作品でしたが、演じてみてあらためて気づいたことはありましたか？

自分の気持ちに正直でいる人ってカッコいいなと思いました。愛波（莉子）はコンプレックスのせいで一度立ち止まったり、整形を告白した圭吾はこれからどうなるのか不安を感じたりすることもあったと思うんですけど、友達や家族に背中を押されながら、最終的に自分の気持ちに従って前に進んだんですよね。その姿はすごくカッコ良かったし、僕も自分を飾らず正直に進みたいなと思いました。

◆同世代の俳優さんが多い現場だったと思います。共演者の方から刺激を受けることはありましたか？

そうですね。特に同性の神尾君や空役の板垣君の演技を見て「こんな良い芝居するんだ」と、現場で学ぶことはすごくたくさんありました。『DIVE!!』では、初めて出演した映画で主演を務めていた望月（歩）君との共演もありましたし。同じ世代の俳優さんが活躍しているのを見ると「自分も頑張らないと」という刺激になりますね。

◆今後はどんなお芝居に挑戦していきたいですか？

今、少しずつですがいろんな作品に出させていただいているので、まずはこのまま止まらずにもっと多くの作品でお芝居がしたいです。僕は学生時代ずっと野球をやってきたので、機会があれば野球選手を演じてみたいです。丸刈りにして挑みます（笑）。