植田圭輔「善逸を演じるために、声帯の違うところで発声していました」 舞台「鬼滅の刃」其ノ弐 絆

特集・インタビュー
2021年08月12日

植田圭輔インタビュー

現在上演中の舞台「鬼滅の刃」其ノ弐 絆に出演している植田圭輔さん。昨年上演された一作目から我妻善逸を演じ、そのキャラクターの完成度に高い評価が集まりました。そこで今回、初演を振り返ってもらいつつ、あらためて続編への意気込みを語っていただきました。818日発売のTV LIFE本誌ではweb未掲載の撮り下ろし写真と共に、植田さんの俳優論にも迫っています。ぜひ誌面と合わせてチェックしてください!

 

◆植田さんが演じている我妻善逸は、“汚い高音”でシャウトするなど、のどを酷使するキャラクターです。初演の時は、のどのケアなどまめにされていたのでしょうか。

していましたね。もともとのどはそんなに弱くないほうなのですが、それでも相当、気を使っていました。それこそ、普段は使わないような値の張るうがい液、吸入器を毎日使用して、睡眠時は必ず、濡れマスク着用で寝ていました。普通にせりふを言う分には、少々かすれたところで違和感を与えたりはしないのですが、舞台「鬼滅の刃」は歌うシーンもあったので。せりふはかすれ具合を味にすることもできますが、歌はごまかしようがない。のどのコンディションで歌のクオリティーが変わってしまうので、細心の注意を払っていました。その点については、今回も同じです。

◆ケア以外に意識していることはありますか?

発声に関してだと、声帯の使う部分、音を出す場所を変えています。同じところばかり使うと、すぐに疲労して傷んでしまうので。今日は右寄り、次の日は左寄り、といった感じで分散させるようにしています。今作の“那田蜘蛛山”のシーンでは、善逸はずっと逃げ回りながらしゃべっていて、(竈門)炭治郎(小林亮太)たちと合流するまで、ほぼほぼ一人芝居ですからね。そしてまたあの隊服が重さもありますし、構造上空気も通りにくいんです。(嘴平)伊之助(佐藤祐吾)は裸ですが、彼は(かぶりものをしているので)また別のところで、酸素を求めていろいろ戦っています(笑)。

◆2.5次元作品はキャラクターに成り切るビジュアル力といったものも求められる印象です。その点に関しては、どう考えていますか?

原作のキャラクターに合わせるだけではなく、本人に似合っているかどうかも大事だと思っています。例えばウイッグ自体の形を合わせてカットしてセットしてもらっても、付けた時に自分に合っていないとしっくりこないんです。「もうちょっとだけ、横の毛は長く」「もう少しハネ上げて」など、本当に些細な部分まで調整してもらいます。それも早いうちに。自分のことはよく分かっているので、「自分はこういう輪郭なので、髪形によってはこんなふうに見えてしまうんです」など、最初に自分から伝えておきます。

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◆善逸の評判が良かったことは植田さんにも届いていると思いますが、どう感じましたか?

ありがたいです。自信を持ってやっていた部分もありますし、それがちゃんと届いて、楽しんでもらえたことは、すごく幸せなこと。日本のみならず、世界で人気の作品ですから、単純に出演するだけでも反響はありました。家族からの食いつきも、僕の俳優人生で一番大きかった(笑)。みんな、“見に行きたい!”と言ってくれましたから。今回もそう言ってくれたので、親孝行にもなっているのかなとうれしくなりました。

◆前作の反響があった上での今作の上演。さらに注目度が増していると思います。どのような意識で臨んでいますか?

ストーリーが進むにつれて、「鬼滅の刃」はエピソードごとに登場キャラクターがガラッと変わっていくことになる。なので、必然的に舞台も一作目とは全く違う座組になるんですよね。シリーズものですが、一作目で一緒だった6人以外は、全員新キャストなんです。その上で、この“那田蜘蛛山”のシーンには善逸の見せ場もありますし、自分としてもやりたいところではあった。なので続投できることは単純に、とてもうれしかったです。“どう表現するんだろう!?”“どんな演出がつくのか!?”と楽しみながら、課題をクリアしていこうと思っています。

◆炭治郎役の小林亮太さんなど、共に行動する仲間たちの印象は変わりましたか?

亮太は、本当に炭治郎と同じ早さ、時間経過で役者として成長しているので、とても頼もしい。あの年齢にも関わらず、人間としてもかなり完成された男で、本当に素晴らしい俳優さんです。(本田)礼生は前からよく一緒で、今年ももう何度も顔を合わせているので、あまりなんとも思わない…なんて言ってはいけないか(笑)。年齢も近いですし、気の合う仲間といった感じ。礼生にできないことは何もないぐらい、本当に動ける人だなと思います。(竈門)禰?豆子役の髙石あかりさんは、ハイパースペック女子。別作品で共演した時から感じていたことなんですが、スキルに強靭な精神力、そしてこれからのビジョンと、全てが備わっている。10代の女性とは思えない、素晴らしい女優さんです。あの身のこなしは簡単にはできないですし、演出家の末満健一さんに言われたことも、一つずつ努力して、着実にクリアにしていましたからね。末満さんの演出は本当に細かくて、他の現場の3倍以上、覚えることが多いんです。あまりお客さんには伝わらないところまで完璧に計算されているので。伊之助は…もうね、我々とは違うところで戦っているんです。猪頭をかぶって動くのは、相当大変だと思います。重さもあるし、視界も限られる。彼はかなりアクロバティックな動きもできる人ですが、それをやりすぎると、あの頭が外れてしまう。いろんな制約がある中で、本当に頑張っています。

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◆アクションや立ち回りの部分で大変なことは?

逃げ回る時のスピード感ですね。舞台セットに30度ぐらいの坂があるのですが、我々は今、あの坂と戦っています(笑)。劇場の機構、客席の低さなどを加味した上でのセットだと思うのですが、歩くのもギリギリです。あの上で動き回るだけでも、着実に体力は奪われる。高低差がある分、表現の幅も広がっていますし、見た目的にはかなり迫力がある。きっと、楽しんでいただけると思います。

◆善逸のテンションの幅、コミカルさとシリアスさ、両方に振り切ったお芝居も楽しみにしています!

ありがとうございます(笑)。前作では1人でそこを担っていたのですが、今回は伊之助もコミカルなシーンがありますし、(胡蝶)しのぶさんと(冨岡)義勇さんにも、ボケとツッコミっぽいパートがあるので楽しみです。ただ善逸は言葉が羅列的な分、せりふとして覚えるのが難しくて。感覚としては、呪文を覚えるような感じです。倒置法のせりふはコミカルで面白いですが、実際の人間が放つとなると、そこにどう心を持っていくかが難しい。あまり気づかれないけど、実は意外とせりふが覚えにくいという、善逸の難しさはこれに尽きるかもしれませんね(笑)。

PROFILE

植田圭輔インタビュー

植田圭輔
●うえだ・けいすけ…1989年9月5日生まれ。大阪府出身。O型。これまでに「文豪ストレイドッグス」中原中也役、「おそ松さん on STAGE ~SIX MEN’S SHOW TIME~」チョロ松役などを務める。歌手、声優としても活動するほか、趣味が高じて日本モルック協会公認アンバサダーに就任するなど、幅広く活躍中。映画「クロガラス3」が2021年9月3日(金)より、「クロガラス0」が2021年9月17日(金)より公開。

作品情報

植田圭輔インタビュー

舞台「鬼滅の刃」其ノ弐 絆
東京公演 2021年8月7日(土)~8月15日(日) 天王洲 銀河劇場
大阪公演 2021年8月20日(金)~8月22日(日) 梅田芸術劇場 メインホール
東京凱旋公演 2021年8月27日(金)~8月31日(火) TACHIKAWA STAGE GARDEN

<ライブ配信>
DMM.comにてライブ配信
2021年8月31日(火)11・30
2021年8月31日(火)17・00

<ライブ・ビューイング>
全国各地の映画館でライブ・ビューイングを開催
2021年8月31日(火) 17・00開演予定

詳細:https://kimetsu.com/stage/live/#live

(STAFF&CAST)
原作:吾峠呼世晴「鬼滅の刃」(集英社ジャンプ コミックス刊)
脚本・演出:末満健一
音楽:和田俊輔
出演:小林亮太、髙石あかり/植田圭輔、佐藤祐吾/本田礼生、矢崎広、辻?凌志朗、奥田夢叶、門山葉子、川崎愛香里、宮本弘佑、前田隆太朗、チャンヘ、内田未来/阿久津仁愛/廣瀬智紀/佐々木喜英 ほか

©吾峠呼世晴/集英社 ©舞台「鬼滅の刃」製作委員会

●photo/干川 修 text/根岸聖子 Styling/小田優士(Creative GUILD) Hair&Make/小倉優美(LaRME)