水田航生のチャレンジ精神「一番は失敗を恐れないこと」 ロック☆オペラ「ザ・パンデモニアム・ロック・ ショー」にバンドのリーダー役で出演

特集・インタビュー
2021年09月18日

水田航生「ザ・パンデモニアム・ロック・ショー」インタビュー

日本の6070年代ロックシーンを描いたロック☆オペラ「ザ・パンデモニアム・ロック・ ショー」がまもなく開幕! 劇中で人気ロックバンド「THE REASON」のリーダー・山下勝也を演じるのは、水田航生さん。作品に挑む現在の心境、そしてあらためて感じる舞台への思いについて、お話を伺いました。

 

◆ロック☆オペラ「ザ・パンデモニアム・ロック・ショー」で水田さんが演じるのは、ロックバンドのリーダー役です。

バンドのギタリスト役は、以前、映画「カノジョは嘘を愛しすぎてる」に出演した時にも演じさせていただきました。ただ、その時は弟分みたいな役回りで、今回はリーダーですから、立ち位置が全然違いますね。普段の僕にはまるでリーダー気質がなく(笑)、僕が活動しているユニット「3LDK」でも最年少の三男というポジションで、兄さんたちについていくのがラクだなと思っているんです。ですから、なんとかこの舞台の上だけでも、頼りがいのある男になりたいと思っています。それこそ、(中山)優馬くん演じる楠瀬涼たちから「こいつがリーダーで大丈夫か?」と思われないように(笑)。

◆このインタビュー時はまだ稽古前ですが、現時点で山下勝也はどんな人物だと感じていますか?

プロットを読んだ印象では、しっかりもので、誰よりもロックに対してアツい男。また、クールではなく、パッショナブルな人間。それに、常に先を見据えて行動しているような面も感じます。例えば、誰かと会話をしている時でも、目線は“この人は何を持っているんだろう”とか、“この人の才能を取り入れたら、もっと大きなことができるかもしれない”といったことを考えているような。そもそも、日本でまだロックが主流ではなかった6070年代にバンド活動に惚れ込んで、その道を突き進もうとした人なので、相当な行動力と先見の明があったんだろうなと思います。

◆ロックバンドの役ということで、劇中で生演奏も披露されるのですか?

やる予定です! で頑張ってギターの練習をしていますので、期待して待っていてください!

◆楽しみにしています! 主演を務める中山優馬さんとは初共演ですね。

ええ。でも、実はだいぶ昔に一度だけお会いしたことがあるんです。親しくさせていただいている先輩同士が仲良くて、みんなで食事をした時が初対面でした。スターなのにものすごく腰が低くて驚きましたね。「それ以上腰が低いと、逆に緊張するのでやめてもらっていいですか」とお願いしたぐらい(笑)。でも、そうした礼儀正しさがありつつ、出演している作品を拝見すると、ひたむきに努力されているのが伝わってくる。今回は優馬くんが座長で、僕が劇中ではリーダーという役なので、仲間を引っ張っていく立場同士、いい関係を築いていけたらと思っています。

水田航生「ザ・パンデモニアム・ロック・ショー」インタビュー

◆今作は森雪之丞さんが作・作詞・楽曲プロデュースを手がけています。雪之丞さんとは2019年の『怪人と探偵』以来ですね。

こうしてまた声をかけていただけて本当にうれしいです。雪之丞さんとは偶然にも家が近くて、『怪人と探偵』がきっかけで、よく食事に連れていっていただいていました。前回ご一緒した時も感じたのですが、雪之丞さんの書く台本はせりふの言葉遊びがすごく面白いんですよね。口語じゃない詩的な言い回しなどもあって、それがとても新鮮で。また、今回のプロットを読んで感じたのは、雪之丞さんのアツいロック魂。もう、いろんなところにロック愛が散りばめられています! もともと“歩く図書館”のような、様々な知識をお持ちの方で、普段の会話もものすごく面白いのですが、そうした知識が余すことなく詰まっているなと感じましたね。

◆一方、演出の河原雅彦さんとは初めのお仕事になります。

初めての演出家さんとお仕事をさせていただくのは久々です。やっぱり最初は緊張しますね(笑)。二度ほどごあいさつをさせていただいたことがあり、もしかすると僕の舞台をご覧になったことがあるかもしれませんが、実際にご本人の目の前で芝居をするのは初めてのことなので、稽古場では頑張って僕のすべてを河原さんにプレゼンしていければと思っています。

◆初めての演出家と舞台を作る際に意識されていることはありますか?

演出家さんに限らずですが、共演者やスタッフさんを最初のお客さんだと思って芝居するようにしています。ただ、今回はその真ん中にいるのが、河原さんですからね。その思いをより強くもって稽古に臨まないと太刀打ちできない気がしています。きっと、家でめちゃめちゃコソ練すると思いますよ(笑)。“こういうふうにやったほうが面白いんじゃないか”とか、“いやいや、やっぱりこっちかな”みたいな(笑)。

◆稽古初日から全開で“自分”を出していかれるんですね。

はい。いろんな先輩から“一発目からかまさないとダメだ!”と教わりましたので(笑)。それに、稽古初日だからといって、もし“…できません”みたいな空気を出しちゃうと、稽古中ずっとそういうキャラになってしまう気がするんです。ですから、最初から“こんなことも、あんなこともできますよ!”という姿を見せるのを大事にしていて。語弊があるかもしれませんが、その意味では、稽古初日が一番気合入っているかもしれません。

◆失敗するのが怖いということはないんですか?

むしろ、失敗してもいいんです。自分の中でやりきって、演出家さんに「いや、全然違う」と言われるほうが、僕はスッキリしますね。実際、8割ぐらいは「違う」って言われます(笑)。でも、中途半端なまま演じて、“水田くんは、ちょっと何がやりたいか分からないな”と思われるより、“間違ってはいるけど、本気で来てるな”と感じてもらったほうが気持ちいいんです。そのほうが、そのあとの長い稽古でもいい関係が築ける気がしますから。

水田航生「ザ・パンデモニアム・ロック・ショー」インタビュー

◆素晴らしいですね。ダメ出しをされてヘコむこともない?

めちゃめちゃありますよ(笑)。でも、失敗慣れはしているかも(笑)。寝たらすぐに回復しますし。それに、ヘコんでいると、そんな自分にどんどん腹が立ってくるんです。“落ち込むことに頭を使うぐらいなら、どうするか考えろよ!”って。そうやって、すぐに気持ちをシフトチェンジできるのは、僕の強みかなと思っています。

◆水田さんはミュージカルとストレートプレイをコンスタントにこなされていますが、演じる上での違いなどはありますか?

自分の中では変えているつもりはないです。でも、客観視してみると、やはり違いがあるのかなと感じます。心のハッチャケ具合が違うと言いますか…。例えばストレートプレイのほうが、冷静なところがずっとあるんです。演出家さんによっては、数センチの距離感であったり、間の取り方が0.01秒遅いというダメ出しをされることもありますから。おもにマキノノゾミさんなんですけど(笑)。ストレートプレイはそうした緻密さを求められるだけに、繊細にならざるをえない。一方ミュージカルの場合は、やはり歌の力が強く、熱量やパッションで作品全体や役を考えていくことが多いので、そうした違いがあるかもしれません。今回の舞台は、その両面をお持ちの河原さんが演出されるので楽しみでもあり、ちょっと怖いです(笑)。もちろん、役者としてはそのどちらの要素を要求されても応えられなきゃいけないんですけどね。

◆では、水田さんがステージで心掛けていることは?

先ほどの稽古場での姿勢の話と共通するのですが、やはり一番は失敗を恐れないこと。本番であっても、失敗を恐れて守りに入るぐらいなら、思いっきりやって失敗したほうがいいと思っています。いや、大前提として失敗しちゃいけないんですけどね(笑)。少し前に出演した舞台でも、千秋楽にライブ配信があって、本当なら丁寧さを心がけないといけないのかもしれませんが、“よし、じゃあ、歌にフェイクを入れてやろう!”と急に思いついたり。そういうところがあるんですよね、僕(笑)。でも、チャレンジしている人の姿って、美しく感じますよね。例えば、アスリートの方たちが、“ここから死ぬ気で挑むぞ”という瞬間、周りの人の目を惹きつけるオーラのようなものが出る。僕はそこに尊さと美しさを感じるし、自分もそういうふうに生きたいなと思っていて。それに、そんな僕の姿をお客さんにも感じてもらうことで、舞台をさらに一段階、二段階、上に昇華させられればと思っています。

水田航生「ザ・パンデモニアム・ロック・ショー」インタビュー

◆そうしたチャレンジができるのも、役者と演出家の信頼関係があってこそですよね。

もちろんです。演出家さんと作品の解釈を巡って話し合いすることがあるのですが、その時はお互いの考えを共有しあった上で、最高の作品やキャラクターを作っていくことを大事にしています。また、本番でいきなり勝手にチャレンジしたりアドリブを入れるようなことは、役者のエゴになってしまうのでやりませんが、演出家さんが“ここは自由に挑戦していいよ”という余白を作ってくれていることがあるんですが、そうした時は思いっきり挑んでやろうって気持ちになりますね。

◆かつてのHIGHLEG JESUS河原雅彦が主宰を務めた劇団)時代の河原さんを知っていると、そうした冒険する役者は大好きなような気がします(笑)。

繊細さがありつつ、豪快さもある。だからこそ、妥協しない厳しさもお持ちでしょうし。また、噂では河原さんの稽古場はすごく怖いと聞いています。なので、こちらとしても喧嘩上等でいきます! …ウソです、怒られたらすぐに謝ります(笑)。もちろん、腑に落ちないことをそのまま受け入れるようなことはしませんが、しっかりと意見交換しあえる、いい関係を築いていければいいですね。…と言いながら、怒られて稽古場の隅でギターを抱えながら丸くなってしゅんとしている水田がいるかもしれませんが(笑)。

◆昨年は多くの舞台が中止・延期になりました。水田さんが予定していたミュージカル「四月は君の嘘」も延期になりましたが、そうした時期に舞台とどのように向き合っていらっしゃいましたか?

自宅にいながら、いろいろ考えてしまいましたね。でも、あらためて舞台が好きだなって思えたんです。頭を何時間も、何日も、ぐるぐるぐるぐると巡らせて、最終的な答えが「やっぱり大好き」だったことは、すごく良かったなと思います。自分がこれまでやってきた作品の台本を実家から送ってもらって、読み返したんですよ。そうしたら、すごく面白くて。自分が書き込んだダメ出しとか、当時芝居で悩んでいたことに対する自分の言葉もあったりして。そのころのことを思い出しても、“やっぱり自分は楽しんでいたんだなぁ”と思えました。振り返ると、つらくてご飯が喉を通らないこともありましたけど、“俺って根底では、それを楽しんでいたドMだったんだなとか(笑)、そうやっていろんなことを思い出しながら、最後には自分に対して、芝居をずっと好きで続けてくれてありがとうという感謝の気持ちでいっぱいでしたね。

水田航生「ザ・パンデモニアム・ロック・ショー」インタビュー

◆そうした思いを経たことで、芝居への向き合い方は変わりましたか?

確実に変わりました。僕はありがたいことに、一昨年まで隙間なく舞台に出させていただいていたんです。そのため、“自分は本当に芝居が好きなのか?”ということを深く考える余裕すらなかったんです。でも昨年、初めて心の扉を開いてみて。正直、怖さもありました。人間ですから、どれだけ好きなものでも逃げたくなる時はあるし、冷静に見つめ返した時、そっちの思いのほうが強かったらどうなるんだろうって。でも、「好き」しか残らなかったんですよね。それが自分にとってはものすごく幸せなことでした。昨年の自粛期間明けの舞台は、そうした芝居に対する思いや意欲が自分の中で明確になった上で臨めたので、久々にステージに立った時は“REBORN”だなと思いました(笑)。すみません。まじめな話が続いたので、最後にちょっと笑いを挟んでしまいました(笑)。

◆(笑)。では最後に、作品タイトルにもある“パンデモニアム”には大混乱や地獄という意味がありますが、水田さんがこれまでで地獄を感じたことは?

わりと毎日感じてますよ(苦笑)。この仕事をしていると本当にいろいろありますから。華やかに見えますが、楽しいことは1割ぐらいで、あとは大変なことばかり。例えば…ミュージカルの出演が決まって、歌う楽曲の楽譜がどっさり届くと、軽くパニックになりますし(笑)。“…えっ、この難解な楽曲を、俺は果たして本番までに歌いこなせるようになるのか!?って。地獄とは言いませんが、プレッシャーでつらくなります。でも、その先に本番での皆さんの笑顔や、きらびやかな世界が待っていると思うと、頑張れますね!

PROFILE

水田航生「ザ・パンデモニアム・ロック・ショー」インタビュー

水田航生
●みずた・こうき…1990年12月20日生まれ。大阪府出身。2005年に『第1回アミューズ王子様オーディション』でグランプリを受賞し、芸能界デビュー。舞台、映像で活躍する一方、植原卓也・平間壮一とユニット「3LDK」を結成し、音楽活動も展開。2022年2月から舞台『冬のライオン』、同年5月からミュージカル『四月は君の嘘』の出演が決まっている。

作品情報

ロック☆オペラ「ザ・パンデモニアム・ロック・ ショー~The Pandemonium Rock Show~」
2021年9月18日(土)~10月3日(日) 東京・日本青年館ホール
2021年10月8日(金)~10月11日(月) 大阪・森ノ宮ピロティホール

(STAFF&CAST)
作・作詞・楽曲プロデュース:森雪之丞
音楽:⻲田誠治
演出:河原雅彦
出演:中山優馬、桜井玲香、水田航生/汐崎アイル、小松利昌、山岸門人、野口かおる、大堀こういち/玉置成実、浜中文一 ほか

(STORY)
ザ・ビートルズの来日に日本中が湧いていた1966年。中学生の楠瀬涼(中山優馬)もROCKを体感し、次第にのめり込んでいく。時は流れて1973年、20歳になった涼は山下勝也(水田航生)、岡島大樹(汐崎アイル)、伊丹俊介(小松利昌)、真柳満(山岸門人)とロックバンド「THE REASON」を結成。若者たちから圧倒的な支持を受け、全てが上手くいっているように感じた。しかし、1980年に起きたジョンレノンの死を境に、彼らは悪夢と現実をさまよい始めていく…。

オフィシャルウェブサイト:https://pandemonium-rock.com
オフィシャルツイッター:@TPRS2021

 

photo/関根和弘 text/倉田モトキ hair&make/菅野綾香(ENISHI) styling/岡本健太郎

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