INORANインタビュー「“音楽を作ることを止めなくて良かった”という実感が一番大きい」

特集・インタビュー
2021年10月22日

「音楽に真っすぐでいたいなと思いますね」

◆前作『Between The World And Me』に関してもその時々のマインドや気分が1曲1曲に表れていることで、自然とバラエティが生まれたとおっしゃられていました。

特に前作に関しては、そうでしたね。(季節の変化に対応して)徐々に温度が下がっていったような感じです。今回はメロディやバックトラックを作ってからわりとすぐ(レコーディング)だったので、どれもトーンは一緒だと思います。

◆短期集中で作られた分、トーンは一定している。

バックトラックとメロディは1か月で作って、レコーディングはボーカルミックスも含めて1か月半くらいでした。

◆かなりのスピード感だったんですね。

そうしないと自分の中での新鮮さがなくなっちゃうんですよね。余計なものが付いてきちゃうので、そういうものはあまり付けたくないんですよ。今は、素材の良さを活かすのが一番良いと思っているから。

◆そういう意識もあって、このスパンで新作が生み出されたと。2020年9月に『Libertine Dreams』をリリースしてから約1年の間で、『Between The World And Me』と今作というフルアルバム3枚を出されているという…。

アホですよね(笑)。これだけ作品をリリースさせてくれるレコード会社も素晴らしいと思います。作品を出さないことには彼らと一緒にプロモーションできないし、会えないわけで…、“会いたい”と思ったんじゃないですか(笑)。

◆(笑)。これまでのお話をお聞きしていると、作品に関しては“みんなと作っている”という意識が強いように感じました。

(作品作りだけではなく)その先のことをイメージしているし、プロモーションも含めて考えています。こうやって音楽で生活ができていることに感謝もしているし、やっぱり1人でやっているわけじゃないから。自分が動けば、みんなの幸せも増すという部分は少なからずあるので、止まってもいられない。時間があるだけ、(音楽を)やりたいですね。

◆そこが“音楽をする/作品を作る”意味につながる部分なのかなと思います。

結果として、みんなと喜びや楽しさを共有したい。アルバムというのは、そのための素材なんですよね。

◆活動を続けられる中で、そういった意識が生まれてきたのでしょうか?

年々、育ってきた気持ちですね。ミュージシャンとして自分を生かしてくれている、レコード会社やスタッフ、ファンの方々がいて。自分が新しいものを作ることで徐々に増えていく“ファミリー”と一緒にいる時間が長くなるに従って、そういう気持ちになっていきました。ある意味、自分の中で使命感のようなものもあるし、それが恩返しになっている部分もあるのかなと思います。

◆その意識があるから、常に新しい作品や未来を見据えて動くことにもつながるのかなと。

そうですね。行けるところまで行きたいですけど、いつまで行けるかはわからないですから。何があるかわからないわけで。だから本当に、音楽に真っすぐでいたいなと思いますね。

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