中井友望インタビュー「アクが強い役とかコメディタッチの作品にも、いつか挑戦してみたい」

特集・インタビュー
2021年11月13日

中井友望インタビュー

透明感と独特の存在感をあわせ持つ注目の若手女優・中井友望さん。10月から11月にかけて、「かそけきサンカヨウ」「シノノメ色の週末」「ずっと独身でいるつもり?」と3本の出演映画が立て続けに公開されるほか、12月に開催される音楽×映画の祭典「MOOSIC LAB [JOINT]2021-2022」のイメージモデルにも決定。時代を担う女優としてブレイク必至の彼女に、各作品の撮影エピソードと今後の展望を聞きました。

 

◆出演映画が立て続けに公開されて取材を受ける機会も増えていると思いますが、取材はいかがですか?

このお仕事を始めてから2年くらい経つんですが、最近いろいろな取材を受けさせてもらうようになって、人と話すことがだんだん楽しくなってきました。あとになって“あの受け答えで良かったのかな…”と気にすることはありますけど、話している時は楽しいので、プラスマイナスゼロですね(笑)。

◆10月から11月にかけて、「かそけきサンカヨウ」「シノノメ色の週末」「ずっと独身でいるつもり?」と3本の映画が立て続けに公開。撮影はどのような順番だったんでしょう?

撮影も、公開と同じ順番でした。「かそけきサンカヨウ」と「シノノメ色の週末」が昨年の夏〜秋くらいで、「ずっと独身でいるつもり?」が今年の春くらいだったと思います。

中井友望インタビュー

◆最初に撮った「かそけきサンカヨウ」は、中井さんにとって長編映画初出演作となりました。撮影を振り返って、いかがでしたか?

やっぱり初めてのことばかりで撮影前は緊張したりと、いろいろ不安もあったんですが、今泉(力哉)監督やスタッフさんたち、そして共演者の皆さんがいい方ばかりで。現場では緊張したり身構えたりすることなく、わりと普段通りの自分でいることができたと思います。

◆こうしたインタビューでも、質問の1つひとつに対してじっくり考えて答える中井さんですが、芝居に関してもじっくり考えて表現するタイプですか?

そうですね。でも、考えるだけじゃダメだと思うんです。 頭の中でどれだけ考えていても、それをちゃんと表現できなかったら伝わらないので、そこが難しいなって。自分の意図したことが見る人にあまり伝わっていないんじゃないかとか、しっかり伝えるためにはどういう表現の仕方があるんだろうとか、初めて大きいスクリーンで自分の芝居を見た時に、すごくそう思ったんです。

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◆中井さんが演じた鈴木沙樹は、繊細な演技が求められる役だったと思います。撮影中は今泉監督と話し合いながら役を作っていったんですか?

役作りについてたくさんお話したというよりは、最初は私が考えたように演じさせてくださって、それに対して違和感があったら監督のほうからいろいろ聞いてくださる感じでした。ただ、今思えば私にとっては初めての長編映画だったので、自分から聞きにいったほうが良かったのかなとか、そこでもまた考えちゃって…(笑)。いっぽうで、自由に演じさせてもらえたからこそできたこともあったのかなとは思います。

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◆まだ映画が公開されたばかりですが、周りの人から反響はいかがですか?

大阪にいるおじいちゃんとおばあちゃんが観にいってくれたみたいで。ラインで「めっちゃ良かったよ!」と言ってくれて、すごくうれしかったです。

◆初長編映画、女優としての自分にとって、どんな作品になったと思いますか?

ひとことで言うと、自信になりました。今泉監督の作品で、とても尊敬できる方々と一緒に芝居ができて、その物語の一員になれているという事実がスクリーンで観られる。日々不安はありますけど、それは1つ大きな自信になったかなと思います。

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◆ちなみに、日々の不安というのは?

映画や芝居のことに関して言うと、やっぱりマイナス思考になっている時は“この役は私で良かったのかな?”と考えてしまいますし、芝居やオーディションでうまくいかなかった時は“やっぱり私は向いてないのかもしれない…”と思ったり。また、全然違う話なんですが、例えば歩いていて人とぶつかった時に、不機嫌な顔をしてくる人っているじゃないですか。 そういうことがあると、めっちゃ落ち込むんです。あと、自転車のベルも苦手で「邪魔!」ってすごく怒られているような感じがして。そういうのも気になっちゃうタイプなので、逆にすごく親切な人に会うと“生きてて良かった!”というくらい、うれしくなります(笑)。

◆電車の中でお年寄りに席を譲っている若者を見ると、何かうれしくなりますよね。

私はうれしいのと同時に、“どうして自分はもっと早く気づけなかったんだろう?”と思っちゃって。自分でも面倒くさい性格だなと思います(笑)。

◆「かそけきサンカヨウ」に続いて、11月5日に「シノノメ色の週末」が公開されました。こちらの作品はいかがでしたか?

この作品は、撮影中も映画同様、3人の女の子たちの中に私が入っていって、その状態がずっと続いている感じですごく楽しかったです。変に気を使って“何か喋らなきゃ!”と思うこともなく、ホントに劇中の(自身が演じた)あすかみたいに、ただその場にいて、たまに周りに振り回されたり、時には振り回したり…そういうのがとても心地良かったです。

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◆監督は、新鋭の穐山茉由さんです。穐山監督はどんな方でしたか?

穐山監督は、しっかりした軸はありつつもふんわりした雰囲気の方で。すごく厳しいことを話されていても、喋り方や雰囲気からそんなふうには感じられないんです(笑)。だから、私としてはとても安心できましたし、落ち着きました。常に温かい雰囲気をお持ちで、私みたいにいちいち気にしちゃう人間にとっては、神様みたいな存在でした(笑)。

◆確かにあすかは“ただいるだけ”のようなところがありますが、独特の存在感があります。

良かったです…(笑)。あすかは周りになじもうともしないし、みんなと一緒になってキャピキャピするのではなく、1人の女性としてそこにいることがとても大事な役だなと思っていて。無理に周りに合わせたりしないところは、すごく意識しましたね。私自身もあすかみたいな感じなので、そういう意味では自然に演じることができたかなと思います。

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◆11月19日公開の「ずっと独身でいるつもり?」のふくだももこ監督とは、以前に舞台でご一緒したことがあるそうですね。

そうなんです。監督が作・演出された「夜だけがともだち」という舞台でご一緒させていただいて、それが私にとっての初舞台でした。その舞台がめっちゃ楽しかったんです。ふくださんとはそれ以前にも何度かお会いしたことがあって大好きな方だったので、ずっと“次は映画で呼んでもらえたらいいな”と思っていて。そしたら今回ご一緒することができて。それだけですごくうれしかったです。

◆最後のほうで派手なメイクと服装に変身して登場するシーンは衝撃的でした。

今までにしたことのないメイクと服装だったので自分的にはすごく楽しかったんですけど、見ている方が(自身が演じた)紗綾だと気づくのか、ちょっと心配です(笑)。清純だった紗綾が大変身したシーンなので、現場でもスタッフさんたちが驚いていて。個人的には、ああいう服を着るだけで強くなれたような気がして、今後もいろんな役をやってみたいという気持ちになりました。それこそアクが強い役とか、コメディタッチの作品にもいつか挑戦してみたいです。

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◆さらに、12月に開催される音楽×映画の祭典「MOOSIC LAB[JOINT]2021-2022」のイメージモデルにも決まりました。

過去に臼田あさ美さんや小松菜奈さんなどがイメージモデルを務められていたので、“まさか私が!?”って。これまでは上映される映画に出ている方が多かったのでビックリしましたけど、その分、そのお話を頂いた時はめっちゃうれしかったです。

◆立て続けに映画が公開されるなど大活躍の2021年後半ですが、2021年を振り返ると、どんな1年でしたか?

いろいろな方から“立て続けに”と言ってもらえるんですが、立て続けもいつか終わっていくので、うれしいのと同時に、この“立て続け”という状況をずっと続けていきたいなって思いました。撮影時点ではあまり実感が湧かなくて、SNSとかで「公開日が○月○日に決まりました」と発信する時も少し不思議な感覚だったんですが、でも実際に公開日が近づいて実感することが増えていくにつれて、“これを続けていきたい!”って。

◆慎重派な中井さんらしく、浮かれた感じはないんですね(笑)。

そうですね…(笑)。

◆2021年中にやっておきたいことは何かありますか?

今年に限ったことではないんですが、映画を観たり本を読んだりなど、いろんなものに感動したり、自分の中に吸収できそうなものにたくさん触れていきたいですね。

PROFILE

中井友望インタビュー

中井友望
●なかい・とも…2000年1月6日生まれ。大阪府出身。「ミスiD 2019」でグランプリを獲得し、2020年にドラマ『やめるときも、すこやかなるときも』で女優デビュー。2021年は、10月に公開された映画「かそけきサンカヨウ」に続き、11月5日公開「シノノメ色の週末」、11月19日公開「ずっと独身でいるつもり?」と出演作が続々公開。12月3日〜23日に東京・UPLINK吉祥寺で開催される音楽×映画の祭典「MOOSIC LAB[JOINT]2021-2022」のイメージモデルを務める。

公式サイト:https://tencarat.co.jp/nakaitomo

公式Instagram:@youwang16

 

photo/TOMO(tweety) text/水上じろう hair&make/SHIO styling/南拓子