北川尚弥インタビュー「物語を通して、僕自身も“彼”を探す旅に出られたら」イマーシブミステリー『アウフヘーベンの牢獄』

2021年は、舞台「刀剣乱舞」や「魔法使いの約束」などの人気2.5次元舞台に立て続けに出演。2022年3月には、世界中にファンを抱える同名コミックを原作とした舞台「フルーツバスケット」への出演を控えるなど、その勢いはとどまることを知らない俳優・北川尚弥さん。

そんな北川さんが「ここに来て役者力が試される」と意気込むのが、12月4日・11日（土）に生配信が行われる、イマーシブミステリー『アウフヘーベンの牢獄』。ZoomとLINEのオープンチャットを用いて、リアルタイムに観客と対話しながら物語を進めていく、“演劇×ゲーム×謎解き”を楽しめる体験型演劇だ。

主人公は、記憶を失い、自分の名前も場所も分からなくなってしまった“彼”。観客は”彼”に話しかけ、謎を解き、囚われの“彼”を救い出すという物語になっている。

そして今回、ヴェールに包まれた“彼”を演じる北川さんに、本作に感じる魅力や注目してほしいポイント、生配信に向けての意気込みをインタビュー。さらに、今年1年を振り返っての思いもお聞きしました。

◆まず、『アウフヘーベンの牢獄』のお話を聞いた時、初めて台本を読まれた時の印象を教えてください。

お話をいただいたときは率直にうれしかったです。ただ、僕自身あまりゲームをやったことがなく、謎解きも苦手なタイプなので、どうやって物語が進んでいくのか、というのは楽しみでもあり不安な部分でもありました。せりふ量も多いですし、やるべきことがたくさんあって、とにかくやりがいがありそうだなと。

◆お客さんと会話をしながら物語を進めていくんですよね？

はい。主人公は僕なんですが、僕ひとりでは物語を進めることができないんです。参加して下さる皆さんに謎を解いていただいて、それを元に物語を進めていくので、皆さんがいて初めて成立する作品になっています。

◆北川さんが演じる、主人公・“彼”はどのような人物なのでしょうか。

実は、僕自身も“彼”がまだどんな人なのかよく分かっていないんです。そこの謎も皆さんと一緒に解いていって、最終地点に到達した時に、それがどう明かされるのかという部分が、きっとこの物語の中の一番重要な部分になるんじゃないかなと。物語を通して、僕自身も“彼”を探す旅に出られたらと思っています。

◆お客さん目線からもこの作品を体験されたとお聞きしましたが、それを経てこの作品に感じた楽しさはどのような部分でしたか？

一緒に謎を解いていく一体感はもちろん、まず謎解きの問題がどれもしっかりと凝っているので、そこは皆さんにも楽しんでいただける部分だと思います。あと、リアルタイムにコミュニケーションを取りながら物語を進めていくという部分では、台本ありきですが、いい意味で台本がないような感覚になれるというか。

◆お芝居のみならず、垣間見える北川さんのアドリブ力にも注目ということですね。

そうですね！　とはいえ全てがアドリブではなくて、一応線路は敷かれているんですが、いかにして皆さんと最終地点にたどり着けるかと。ここに来て役者力を試されるなと感じる場面もたくさんあるんですが（笑）、まずはとにかく僕が楽しんで、皆さんにもそれが伝染したらいいなと思っています。でも、もうドキドキでしかないですね（笑）。

◆12月4日・11日（土）に控える生配信への意気込みをお願いします。

今まで僕とお客さんで作り上げる作品というのがなかったので、『アウフヘーベンの牢獄』は本当に新たな試みだなと感じています。オンラインという無限大の形の中で、さまざまな表現ができる可能性を秘めた作品ですし、今後またやり方を変えて、皆さんとつながっていくこともできるんじゃないかなって。まずは今回の生配信を成功させて、これからもお客さんに新しい作品を届けていけるように頑張りたいです。

◆最後に、駆け抜け続けた今年1年を振り返ってみていかがでしたか？

もう、気が付いたら終わるんだな…って（笑）。それくらいお仕事に没頭することができました。数々の作品に出演させていただく中で、たくさんの方々と出会って、自分の考え方や視野が広がりましたし、今年は本当に幸せな1年だったので、この勢いを止めず、来年もいろいろなお仕事をさせていただけたらいいなと思っています！