『SPY×FAMILY』江口拓也インタビュー“理想の家族像”を語る「本当に大切なのはお互いを思いやり尊重し合えること」

特集・インタビュー
2022年05月20日
©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

4月にスタートしたテレビアニメ『SPY×FAMILY』(テレビ東京系 毎週土曜 午後11時~11時30分ほか)が人気沸騰中だ。原作は、マンガアプリ「少年ジャンプ+」で連載中の遠藤達哉による痛快ホームコメディ漫画。凄腕スパイのロイドが任務遂行のため、心を読める超能力少女のアーニャを娘に、美しき殺し屋のヨルを妻に迎えて疑似家族に。個性豊かすぎる3人が、互いに正体を隠しながら共に暮らす姿に“わくわく”させられる。そんな本作でロイド役を好演しているのが、江口拓也さん。キャラクターについてはもちろん、自身が思う“理想の家族像”についても聞きました。

◆『SPY×FAMILY』の放送が始まって、反響はいかがですか?

仕事で毎日いろんな現場に行くのですが、どの現場でも同業の演者さんやスタッフさんたちから「『SPY×FAMILY』見ました!」ってほぼ100%言っていただけるんです。それだけ注目されていて、たくさんの方々に見ていただけているんだなと実感できてうれしいです。

◆原作漫画はもともとご存知でしたか?

はい。「少年ジャンプ+」で連載が始まった当初から読んでいました。もともとスパイものは好きでしたし、スパイだけでなく超能力者や殺し屋まで登場して、その3人でどんな物語が繰り広げられるのかと興味を引かれて。予想していたシリアスさとは裏腹にコメディ色が強く、肩の力を抜きながら楽しめる読みやすい作品だなという印象を受けて、先々の展開がますます気になっていきました。

◆もしアニメになって自分が演じるとしたら…という思いもあったのでしょうか?

漫画を読むときにそういうことはあまり考えないですね。純粋にイチ読者として楽しんでいます。どの漫画でも、もちろんご縁があればアニメになったときに出させていただきたいというのはありますが、そういう思いを持ちすぎると、関われなかったときに悲しさが強くなってしまいますし。なので、常日頃からそこまでの想像はしません。

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

◆ロイドというキャラクターに対しては、どんな印象を持っていますか?

カッコいいですよね。スパイとして完璧で、何でもできる。そんなロイドですけど、自分の家族を作ることや、子供や奥さんと一緒に過ごすのは初めてで、それに対する戸惑いがリアルだなと。その過程を経て、常に冷静沈着でクールで、見方によっては冷たくも感じられたロイドの表情はどんどん柔らかくなっていく。人として大切な感情って何だろうと考えさせられます。“人間”というものに向かい合っているロイドの姿は本当に魅力的だなと思いますね。

◆ロイドを演じる上で特に意識していることは何ですか?

“スパイ感”みたいなものは念頭に置きつつ、アーニャやヨルさんの言動に対してどういうリアクションを返して、そのときの気持ちをどう表現するべきかというところに常に挑戦しているような感じで。どこまでスパイに徹して、どこまで砕けるか。そのメリハリは最初のころ、3話くらいまでは特に気にしていました。

©遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

◆3話と言うと、家族3人で街に出掛け、通りすがりのおばあちゃんをひったくりから助けた回ですね。

そうです。そのおばあちゃんから「とっても素敵な家族ね」と言われたのが、家族としての本当のスタートになったというか。それをきっかけに4話以降、ロイドの砕けた表情がどんどん出てくるようになったので、そこは大事に演じています。

◆モノローグが多いのもロイドの特徴かと思います。

確かに、モノローグとせりふが交差するシーンが多いですよね。作品によってはあえてモノローグとせりふを分けて収録することもあるのですが、『SPY×FAMILY』の場合は特にテンポ感や流れを大事にしているので、極力分けずに収録しているんです。それはつまり、瞬発力など声優としての技術が必要になってくるわけで。その要求に応えられるようにどんな用意をしておくべきか、ということは常に考えていますね。

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