SUPERNOVA(超新星)ユナクインタビュー「日本にはいないタイプって言われたことがうれしかった」舞台「オオカミの誘惑」で演出初挑戦

特集・インタビュー
2022年07月26日
舞台「オオカミの誘惑」で初めて演出を手掛けるユナク(SUPERNOVA(超新星))
舞台「オオカミの誘惑」で初めて演出を手掛けるユナク(SUPERNOVA(超新星))

数々のミュージカルに出演し、舞台俳優としても活躍中のSUPERNOVA(超新星)ユナクさん。今年6月には主演舞台「殺人の告白」で初のストレートプレイにも挑み、新境地を開拓したばかり。そんなユナクさんが、韓国の大ヒット映画を原作とした舞台「オオカミの誘惑」(7月23~31日 東京・博品館劇場)で演出に初挑戦! 稽古場の潜入レポートとともに、単独インタビューの模様をお届けします。

稽古場の中央に置かれた長テーブルがユナクさんの定位置。稽古場入りして着席するや、すぐさまパソコンを広げて劇中で使用する音楽の確認作業に取り掛かっていました

◆今作で演出を手掛けることになったいきさつを教えてください。

「ユナクさん、舞台の演出やってみませんか?」とお話を頂いたのが始まりです。実は、韓国では過去2回ほどサブ演出として参加したことがあって。でも、それ以外は超新星のライブ演出ぐらいで、ちゃんと舞台の演出をしたことはなかったんです。いろんな演出家の方に相談したら、演出家にはセンスとすべてを見られる目が必要だと言われて。物事を全体的に見ることに関しては割と得意なほうだとは思うんですけど(笑)、僕にできるかなって少し悩みました。でも、もともと何かを作ることが好きだし、演出とかクリエイティブなことはずっとやってみたいと思っていたんです。日本って、俳優から演出家になる方も多いじゃないですか。だから、いつか自分もやれたらいいなって。オファー頂いた「オオカミの誘惑」は、青春もので、人を笑わせたり、誰かをカッコよく見せたり、パフォーマンスのシーンもある。ジャンルとしては自分の得意分野だったので、「やります!」とお返事しました。

両親の離婚後、父親と暮らしていたヒロイン・雫(越智ゆらの)が、父の死をきっかけに母親(川崎清美)や妹・柑菜(伊藤優衣)と10年ぶりに再会するシーン。稽古が始まると、ユナクさんは常にキャスト陣のそばで演技を見守っていました

◆韓国の大ヒット映画が原作ではありますが、初めての演出、それが日本の作品ということについてプレッシャーはありましたか?

もともと映画を知っていたのと、原作からあまり変えずに舞台化すると聞いていたので、それほどプレッシャーはなかったですね。何より、自分の名前を懸けてこうして舞台をやれるんだっていうのがうれしくて。制作スタッフの方と博品館劇場を見学した時もすごくいい雰囲気だなと思ったし、ここで自分にできることは何だろうと考えました。以前、ミュージカル「プリシラ」でご一緒した宮本亞門さんのドキュメンタリー番組を見たことがあるんですが、博品館劇場があったからこそ今の自分がある…というようなことをおっしゃっていて。僕も博品館にいいパワーをもらいたいですね(笑)。

お酒に酔っている母がソファーに横になるシーン。足の絡ませ方や母と娘たちの目線の合わせ方など、ひとつひとつの動作に細やかな演技指導が

◆実際に稽古をしてみて、ご自身ではどんな演出家だと思いますか?

『G-EGG season1』(プロデューサーを務めたサバイバルオーディション番組)の時にも感じたんですが…自分は結構厳しいタイプだなって(笑)。昨日の稽古でも結構怒っちゃったんですよ…。ワーッ!と感情的になるタイプではなくて、静か~に怒ります(笑)。

絡み酒のシーンをユナクさんが実演。「ゆっくりやりましょう」「もう一回チャレンジだ!」など優しい声かけも

◆稽古を重ねる中で、スタッフやキャストの方から言われて印象的だった言葉はありますか?

「“間”を遊べる人ですね」と言われて。例えば、男女2人がいて「愛してるよ…」と言ってから「私も愛してる」って返すまでの間。そういうのをすごく遊べるのがすごいね、日本にはいないタイプだね、と言ってもらえたことが一番うれしかったです。あとは、細かいとか、優しい、分かりやすい…とか。細かい、はすごく言われます。それがいい意味なのか悪い意味なのか分からないんですけど(笑)、「めちゃくちゃ細かいよね」って。

◆稽古場では、どんなことを感じましたか?

実際に演出をやってみて思ったのは、日本と韓国で多少お芝居の方法が違うんだなって。日本はしゃべったらすぐ動く、また何かしゃべったらすぐ動く。韓国はしゃべったら考える、しゃべったら考えるという感じ。どちらがいい悪いという話ではなくて、そういう違いを感じました。今回、キャストの皆さんには「ゆっくり芝居して、ゆっくりしゃべってください」と言っています。例えば“傘を持って走る”というシーンがあったら、ただ傘を持って走るんじゃなく、なぜこのシーンで傘を持ったのか。その意味をちゃんと考えながら演じてくださいって。

妥協を許さない厳しい一面をのぞかせるいっぽうで、「いいよいいよ!」とハニカミながら、「OK! 今の感じで行きましょう」とチームの士気を高めていく

◆役者として舞台に参加する時と違いを感じたことは?

台本をもらった時、普段だったらまず自分の役を中心に読みますよね。だから、こんなに細かく全体的に読み込んだのは初めてでした。あと、稽古中はご飯を全然食べられないんだなって。今までは稽古場でガンガン食べてましたけど(笑)、なかなか食べるタイミングがない。常に稽古場のど真ん中にいてみんなに見られてる状態ですし、休憩中も常に質問や確認事項がくるので、ずっとコーヒーだけを飲んでいます(笑)。でも、やっぱり何か食べないとストレスも溜まってきちゃうので、「甘いものないですか?」って聞いたら、スタッフの方がチョコレートを買ってきてくれて。そのチョコレートばっかり食べてたら、今度はしょっぱいお菓子を用意してくれました(笑)。

登場人物全員がWキャストで、この日稽古に参加していた主人公・ジェイ役はカラムさん(右)、朝岡役は正木郁さん。雫を巡って、ジェイと朝岡が恋のバトルを繰り広げる
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