田邊和也インタビュー「たいていの男はサワコの“沼”に引きずり込まれちゃうと思います(笑)」『サワコ~それは、果てなき復讐』

特集・インタビュー
2022年11月11日

地味で控えめな女性・サワコ(趣里)が、恋人を奪ったマチカ(深川麻衣)の人生を破壊していくラブホラーサスペンス『サワコ~それは、果てなき復讐』(BS‐TBS 毎週日曜 午後11時~11時54分)。11月6日(日)放送の第6話からは新章に突入し、サワコが家庭や職場に入って来たことにより、何もかも失ったマチカが、姿を消したサワコの幸せを壊すべく反撃に転じる。そんな後半の見どころを、サワコとマチカの過去を探る週刊誌記者・槇原一臣を演じている田邊和也さんが語ってくれた。

◆槇原をどういう人物と捉えて演じていますか?

週刊誌の記者という職業上、昼夜関係なく仕事をしていて。いつも疲れたような表情で、肩が凝っている。そんな男をイメージしたので、僕も役作りのため、普段から槇原みたいな生活を送るようにしました。例えば生活リズムをぐちゃぐちゃにして、寝不足気味で現場に行くとか。そうすると顔や姿勢が疲れているように見えたり、頭が回ってなさそうだったり、いい感じで槇原っぽくなるんです(笑)。

◆わりと普段の生活から役に入っていくタイプですか?

そうですね。役をめちゃくちゃ引っ張っちゃうから、同じタイミングでいくつも作品を掛け持つと役の感情をリセットするのが大変ですね。特に今回は直前にやっていた作品が、槇原とは真逆の見た目や性格がちゃんとしてる役だったので、私生活からどっぷり漬かなきゃと思って準備しました。髪をボサボサにするためシャンプーは控えましたし(笑)、無精ひげも生やして。カメラを持って街に出て、記者みたいに何か特定の人を探すみたいなこともしました。意外とそういうことの積み重ねが、役としての説得力につながると思っています。

『サワコ~それは、果てなき復讐』

◆どういう役柄が来たら、田邊さん自身の人格にも影響が出そうですか?

最近は無口で無骨な役が多いので、逆に陽気で明るい役ができたら、かなり変わる気がします。ジムのトレーナー役なら私生活も爽やかになるでしょうし。魚屋さんの役なら、早朝から魚釣りに行って、自分で魚をさばいたりしそうですね。接客業なので人との距離感が近くなって、声もやたらとでかくて。そういう自分も面白そうだから、「ちょっと奥さん、安いよ! 買ってって!」みたいな役、やってみたいです(笑)。

◆ドラマ『サワコ』のどんなところが魅力だと思いますか?

もちろんこれはフィクションですけど、妙なリアリティがあるんですよね。意外と世の中にサワコみたいな女性はいる気がするし、ほかのキャラクターにもどこか共感するところがあって。だから身近に感じて、人間の怖さや美しさを感じる作品になっているんだと思います。

◆もし田邊さんがサワコみたいな人と親しくなりそうになったら?

なるべく距離は置きますね(笑)。自分ぐらいの年齢になるともう何となく、ああいう女性と関わったらヤバイかもって考えられる。もうちょっと若い時なら、マチカの弟・健介(曽田陵介)みたいに取り込まれちゃうと思います(笑)。でも、たいていの男はああいう影のある、醸し出すような色気のある女性に弱いと思うんですよね。ドラマだとキャラクターが立つように描かれているだけで、現実にいるサワコみたいな女性は明らかな違和感がなくても、自然な感じで意外と身近にいそうな気がします。深く関わったら危険なことに気づかず、“沼”にハマっちゃう。そんな可能性が高いと思います。

『サワコ~それは、果てなき復讐』

◆趣里さんとサワコに通じる部分は感じましたか?

趣里さんと初めてお会いしたときは撮影もかなり進んでいましたし、既に“趣里さん”というより“サワコ”にしか見えなかったです。どことなく色気があり、内に秘めた繊細さや怖さみたいなものも垣間見えましたね。深川さんもマチカみたいに普段から明るく、周囲に気を配られている方で、最初からマチカにしか見えなかった。2人が素晴らしい俳優さんであるということだと思います。

◆現場ではどんな話をされたんですか?

槇原は一匹狼な役柄だから、誰かといること自体少なくて。唯一、高校でマチカと同級生だった慎司役の庄司(浩平)君とは一緒になるシーンが多かったので、いろいろ話しました。どうやって役作りしているか、僕が海外の作品に出ているから、「海外の撮影ってどうですか?」とか。まだ22歳の庄司君は、これからどういうふうに自分が芝居をしていこうかを真剣に考えていて、純粋な気持ちで質問をぶつけて来てくれましたね。ただ周りにいろんな人のいる撮影現場でマジメに答えていくというのは、ちょっと照れくさかったですけど(笑)。芝居も監督に言われたことを迷いなく、真っすぐ当たっていく。そんな彼自身のキャラクターも相まり、慎司役はピッタリだと思いました。

◆最後に、ドラマ後半の見どころをお願いします。

このドラマのお話を頂いたときは、記者という役柄ですし、視聴者の方と同じような目線で出来事や登場人物の感情を客観視するポジションだと思っていたんです。でも衣装合わせのとき、槇原の裏設定みたいなのを聞いて。芝居としてもどこか目の奥に優しさが見える感じを意識するようになりました。それが後半から表に出てくるのを楽しみにしてほしいし、物語もここから一気に加速して、最終話まで突き進んでいくので。サスペンスの醍醐味を味わっていただければと思います。

◆注目のキャラクターを挙げるとしたら?

個人的にはマチカですね。サワコにより人生がぐちゃぐちゃにされて、持っていたものを全部失って、今度は自分がやり返してやるっていう。そんな彼女が最後にどういう結論を出すのか。たぶん、多くの人が想像を超えるラストになると思いますね。僕もまったく予想してませんでしたし。思わず声が裏返って、“ええーっ!?”って感じになると思います(笑)。

PROFILE

田邊和也
●たなべ・かずや…1985年7月31日生まれ。神奈川県出身。A型。出演作に大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、朝ドラ『ちむどんどん』、連ドラ『パンドラの果実』『教祖のムスメ』『TOKYO VICE』など。アパレルブランド『ZARA』ではオリジナルムービーの主演を務めている。

番組情報

『サワコ ~それは、果てなき復讐』(全10話)
BS-TBS、BS-TBS 4Kで同時放送
毎週日曜 午後11時~11時54分

<出演>
深井サワコ…趣里
音川マチカ…深川麻衣
八田雪斗…小関裕太
音川健介…曽田陵介
大津慎司…庄司浩平
五十嵐ノノ…平井亜門
槇原一臣… 田邊和也
松村明乃…金井美樹
音川須美…赤間麻里子
音川智治…岩谷健司

藪池徹…長尾卓磨
藪池優一…松本怜生
藪池瑞希…中澤実子
ほか

原作:『サワコ』井上ハヤオキ(マンガボックス)
脚本:坪田文、武井彩、蓼内健太、武田樹里
監督:滝本憲吾、藤澤浩和、中村圭良
音楽:牧戸太郎
主題歌:「不幸アレ」GLIM SPANKY(ユニバーサル ミュージック)
インティマシー・コーディネーター:浅田智穂
プロデュース:鈴木早苗(BS-TBS)、有我健(BS-TBS)
藤島陽子(AOI Pro.)、森田美桜(AOI Pro.)
製作:BS-TBS、AOI Pro.

番組公式サイト:https://bs.tbs.co.jp/sawako/
番組公式Instagram:https://www.instagram.com/sawako_bstbs/
番組公式Twitter:https://twitter.com/sawako_bstbs
BS-TBSドラマ公式TikTok:@bstbs_drama

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●text/小山智久