若月佑美インタビュー「アルバムみたいに、私の変化を楽しんでいただけたら」1stフォトエッセイ「履きなれない靴を履き潰すまで」

特集・インタビュー
2023年06月27日

若月佑美インタビュー

2019年8月より「週刊SPA!」にて約3年半、エッセイを連載してきた若月佑美さん。その連載を未掲載カットや撮りおろし写真も交えてフォトエッセイとしてまとめた書籍「履きなれない靴を履き潰すまで」が、自身の誕生日でもある6月27日(火)に発売される。発売を控えた本人を直撃し、エッセイに込めた思いや写真撮影のエピソードなどを聞いた。

◆最初に書籍化の話を聞いたときはどう思いましたか?

うれしさしかなかったです! やっぱり本になるということは形に残るということですし、本にすることで初めて届けられる人もいるので。それが実現できてとてもうれしいです。

◆こうして書籍としてまとまると、読み応えがありますね。

自分で言うのもおこがましいですけど、いろいろな髪形、いろいろな服…写真だけでも3年半分あって。それに写真集とは違って、まとめ撮りというわけでもないので。顔つきが変わっていることがすごく面白くて。他にはないものが出来たなと思っています。

◆エッセイも、若月さんがその当時考えていたことが書かれていますし。

“あのとき、よくこんな考え方していたなぁ”と、自分で自分を尊敬してしまうような回もあって(笑)。年齢を重ねていくと…3~4年ではありますけど、少しずつ柔軟性がなくなって物事の捉え方が狭くなってしまっている気もして。1つ1つ振り返ってみると、“こんなふうに自分のことを優しく思えていたんだな”って思うところもあって。過去の自分から得られるものもあるんだなと感じています。

若月佑美インタビュー

◆連載自体はどんな経緯で始まったんですか?

私がグループを卒業するときにお話を頂きました。グループ時代に書いていたブログの言葉を担当の方が気に入ってくださって、「どんなテーマでもいいので文章を書いてみませんか?」と言ってくださって。ちょっと驚きましたね。というのも、それまでの私は文字に対して少しコンプレックスがあったというか。ブログでも当初は不思議な文を書いたり、表現が抽象的だったり比喩的だったりすることが多かったんです。自分が意図していたものではない伝わり方をしてしまったりもして、ちょっと悩んでいて。そこを救っていただきました。

◆当時、ブログはどういう気持ちで書いていたんですか?

ネット上にアップされるものというのは、読みたい人が読むというだけではなく、たまたまパッと開いて見てしまう人もいるわけで。そういう方々が図らずも真っすぐな言葉によって傷つけられてしまうこともあるなと感じていたんです。なので私はブログを、より遠まわしな表現をしたいという気持ちで書いていました。あまり誰も傷つかないように、間違った方向に捉えられないように徹底していった結果、自分の感情を別のことに例えて表現するという形になりました。それを「お仕事にしませんか?」と言っていただいたことで、違う形で届けることができたのはうれしかったです。

◆今回あらためてエッセイを読ませていただいて、若月さんは物事を俯瞰で捉えていると感じました。「こういう見方もあるよ」と教えてくれるというか。そういう考え方は、若月さんの中に昔からあったんですか?

中学生の途中から、そういう考えになりました。その前までは“自分がこう思ったらこうするしかない”みたいな、真っすぐな考えだったんですけど。いろいろな考え方がある中で自分の我を通すと、やっぱり人とぶつかって好まれなくなったりするんですよね。そういったところで「いろいろな人の考えを受け入れる」「自分の言葉をその後に発信する」ということをしていかなければいけないと考えるようになって。その後、高校で倫理の授業が始まったんですけど。パスカルとかデカルトとか、世界中の思想家の考えってすごいなと思って。何でもありというか、考え方一つでどうにでもなるというふうに感じたんです。それで私も、物事に対して360度いろいろな角度から見ていこうと思うようになりました。

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◆今回のエッセイの言葉は、どのように生み出していったんですか?

思いついたら携帯電話のメモなどにパパッと書いて、後で直していって…という感じです。言葉を思いついたのは電車の中が一番多かったと思います。プライベートで電車に乗っているときに、周りの人を見て思ったことを書いたりしていました。電車にはいろいろな人の人生が集まっていると思うんです。“あの人、たこ焼きを買っているけど誰と食べるんだろう?”とか。そういった中で言葉を紡ぐことが多かったです。

◆いろいろなところから言葉を繋ぎ合わせていったという?

そうです。なので、自分の人生から出てきた言葉もあれば、そうでないものもあります。例えばこのフォトエッセイの中に「いつまでも夜を明けないなんて」というのがあるんですけど。これは私の実体験ではなく、実は知り合いの人の話が基になっているんです。その人が恋人を失ってしまって。それが事故ではなく自殺で失ったというのを私は遠回しに聞いて、どういう気持ちなんだろうなと思ったんです。そこまで近しい人ではないのですが、それでも私にはすごく衝撃的だったのでいろいろ想像しながら書かせていただきました。いろいろな人の人生を少しずつ頂いて、それを別の誰かに伝えたいという思いもあります。

◆応援歌というか、背中を押すようなエッセイが多いと感じました。

「肯定さん」というのもそうなんですけど、私自身、誰かのひと言で世界が変わって見えるようになったということがすごく多いんです。ずっと思い詰めていたことがあっても、誰かの「まぁいいじゃん」みたいな感じのひと言で「まぁいっか」と悩まなくなるような経験をたくさんしてきたので。同じように、私の言葉一つ、どこか1行だけでも、胸にグッときたという方がいたらいいなって。私のひと言で誰かの人生が少しでも楽しくなるなら、こんなにうれしいことはないと思うので。そういった思いを込めて書いたものが多いです。

◆それぞれのメッセージに、「こうでなければいけない」という押し付けではなく、「そのままでいいんだよ」という優しさが含まれているところも若月さんらしいなと。

人は、生きているだけで偉いですから(笑)。ある言葉をかけたら“いや、そんなこと言っても…”と拒否されることがあっても、別の言葉をかけたらその人に響く可能性があると思うので。それを私なりにまとめると、「生きているだけで偉い」ということになるんですけど。

若月佑美インタビュー
若月佑美インタビュー

◆フォトエッセイということで写真についても聞かせてください。衣装やメイク、撮影場所までもご自身で考えられたと聞きました。

ありがたいことに、やりたい放題やらせていただきまして(笑)。ギターを使いたいというお話をしたら、現場にギターを持ってきてくださるし。本当に申し訳なかったなと今になって思ったりもするんですけど(笑)。本当に「こういうサングラスをかけたいです」「こういうパーカーを着たいです」というのを全部やらせていただきました。

◆そこは文章に合わせてセレクトしていったんですか?

敢えて合わせないようにしました。最初の方は文章に合わせて、花を持ったり、メープルシロップを使ったりしていたんです。でも、「2度おいしい」を作ろうかなと思って。言葉か写真、そのどちらかで響いてもらうだけで私はうれしいので。ちょっといろいろな表現でやっていこうと思って、全く関係ない写真にしていたりします。本当にわがままもいっぱい言わせていただいて、意味の分からないオーダーをたくさんさせていただきました(笑)。

◆意味の分からないオーダーというのは?(笑)

例えば結局カットになったものなんですけど、手にドーナツを持って写真を撮っていただいたことがあって(発売記念のアザーカットで公開)。今思うと、何で持ったんだろうなと思うんです(笑)。でも私は結構、“何で?”って思うものを作りたくて。“何で?”って思う写真の方が見ていて面白いじゃないですか。なので、“何で?”って思う写真がちょこちょこあります(笑)。あと珍しいのは、私が俳優業をやらせていただいてる関係で、髪が長いときや短いときがあったり、金髪が入ってたりすることもあって。“急に髪切るじゃん!”みたいな(笑)。それをまとめて見られる機会ってなかなかないので、そこも私が推したいポイントです。

◆メイクに関しては?

序盤の方は、髪のセットはやってもらっているんですけど、メイクは自分自身でしていたりします。メイクの過程や変化を見てもらいたかったですし、より自分の頭の中で思い描いてるものを表現するには自分でやった方がいいかなと思って。途中からは、メイクさんに相談してメイクさんにやっていただきました。

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◆撮影場所はどのように決めていったんですか?

インスタグラムなどを見ていて、いいなと思う写真をすぐスクリーンショットにして。こんな感じの背景に…とか、こういう雰囲気で撮りたいですというのをスタッフさんに送って探していただいたりして。走っている車のライトが付き始める時間の写真が撮りたいと思って、夕方の5時とか6時に撮影を入れていただいたりとかしました。

◆書籍化に合わせて撮りおろしの写真も掲載されています。

最初のパートは撮りおろしの一番新しい私の写真です。その次のパートは4年前の写真になるので、わりと顔が幼くて。アルバムみたいに、その変化も楽しんでいただけたらなと。あまり変わってないと思っていただけたらうれしいですし、エイジングケアを頑張ってるなって思っていただけたらそれはそれでうれしいので(笑)。

◆年齢の話で言うと、ちょうどこの本の発売日が誕生日なんですよね。20代ラストイヤーをどんな1年にしたいですか?

周りの友達もみんな同世代で、ちょっとしんどいねって話をしてるんですけど(笑)。自分の年齢に、うそをついてこうかなと思っていて…もちろん一般的にではなく自分自身に、ということなんですけど。何か、年齢を自覚しない方がいいなと思っていて。年齢を自覚しすぎると、服とかメイクとかの幅も狭まると思うんですよね。やっぱり自分が今したいファッションやメイクをしていくべきだと思うし。習い事にしても、今の年齢から始めると遅いかなって思ったら、どんどん狭まっていくので、今からでも全然遅くないという気持ちやスタンスで過ごしたいなと思っています。もちろん、自覚した方がいい部分もあります。でも演じる役柄でも、大学生のキャラクターをいつでもできるような気持ちでいたいです。「いや、私なんか…」ではなく、「できます!」って言えるような自分でいなきゃいけないなと思うので。自分で自分に「もっと若いんだぞ!」って言い聞かせながら、20歳ぐらいの気持ちでいろいろなことにチャレンジしていきたいと思っています。

若月佑美インタビュー

◆30代もきっと楽しいと思います。

そういう話もよく聞きます。しがらみも取れるというか。20代は考えすぎていたけど、30代は自分らしく生きやすくなるって先輩方に言っていただいているので。ちょっとそこも楽しみにしつつ、ピチピチの気持ちで頑張っていきたいと思います(笑)。頂ける役柄も多分、ちょっと変わってくるんじゃないかな。今頂いている役はOLさんが多いですが、リアルなお母さん役とかもあるんじゃないかなって。ちょっとドキドキですね。

◆『王様に捧ぐ薬指』を見ていると、『今日から俺は!!』の橋本環奈さんとのコンビを思い出して何だかエモいです(笑)。

そうなんですよ(笑)。学生役をやっていた2人が大人の役で再共演するのは、自分でもグッとくるものがあります。髪形もありますけど、お互い結構大人になったなって。より磨きをかけて、いい女になれるように頑張りたいです。

◆では最後に、タイトルにちなんだ質問を。「靴」にまつわるエピソードが何かあれば教えてください。

現場シューズは、すごくこだわっています。仕事量が多くなると、脱ぎやすくて、歩きやすくて、幅を取らない靴になっていきがちなんですけど。それでもこだわりを持っていたいと思って、去年の冬に新しくUGGのサンダルを買いました。夏は夏でUNDERCOVERの靴を、それは清野菜名ちゃんが『今日俺』のときに誕生日プレゼントでくれたんですけど。それを今も大事に使っていたりするので、現場に向かうサンダルにはこだわりがあります。あと最近また新しい靴を買いました。それはNIKEの「エアマックスココ」というサンダルなんですけど。ちょっと厚底で歩きやすいものを新調しました。さっき年齢を考えないって言ったわりに、健康も考え始めているので(笑)。それを履いて、たくさん歩こうと思っています。

若月佑美インタビュー

PROFILE

●わかつき・ゆみ…1994年6月27日生まれ。静岡県出身。O型。最近の出演作にドラマ『王様に捧ぐ薬指』『星降る夜に』『ワタシってサバサバしてるから』『invert 城塚翡翠 倒叙集』『ユーチューバーに娘はやらん!』、映画「ブラックナイトパレード」「劇場版ラジエーションハウス」「桜のような僕の恋人」、舞台「薔薇王の葬列」など。現在、『MBSヤングタウン』(MBSラジオ)の月曜パーソナリティーや「Oggi」美容専属モデルとしても活躍中。

書籍情報

若月佑美1stフォトエッセイ「履きなれない靴を履き潰すまで」
若月佑美1stフォトエッセイ「履きなれない靴を履き潰すまで」

若月佑美 1stフォトエッセイ
「履きなれない靴を履き潰すまで」
2023年6月27日(火)発売

若月佑美 著
判型:B5判
定価:1980円(税込)

●photo/中田智章 text/橋本吾郎 hair&make/永田紫織(Nous)styling/蔵之下由衣(commune ltd.,)衣装協力/double standard clothing、あしながおじさん

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若月佑美

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2023年7月4日(火)午後11時59分

※応募規約(https://www.tvlife.jp/present_rules)をご確認いただき、ご同意の上、ご応募ください。