『下剋上球児』撮影担当・関毅インタビュー「第1話冒頭の三重の球場でのシーンは、最終回までにはぜひ観返してほしい」

特集・インタビュー
2023年12月10日
『下剋上球児』©TBSスパークル/TBS 撮影:ENO

鈴木亮平さん主演の日曜劇場『下剋上球児』(TBS系 毎週日曜 午後9時~9時54分)の第9話(12月10日放送)を前に、撮影担当の関毅さんにインタビュー。撮影でこだわったところやお薦めシーンなどを聞きました。

本作は高校野球を通して、現代社会の教育や地域、家族が抱える問題やさまざまな愛を描く、ドリームヒューマンエンターテインメント。「下剋上球児」(カンゼン/菊地高弘 著)にインスピレーションを受け企画され、登場する人物・学校・団体名・あらすじは全てフィクションとなる。

第9話では、いよいよ運命の準決勝の日がやってくる。エース・翔(中沢元紀)を控えに回し、根室(兵頭功海)を先発で起用するという南雲(鈴木亮平)の判断に戸惑いながらも、負けられない戦いへ向けて静かに覚悟を決める部員たち。

そんな中、山住(黒木華)が脇腹の痛みを悪化させ、病院へと運ばれてしまう。そして始まった試合では、賀門(松平健)率いる星葉高校もこれまでとは違う布陣で挑んでくる。


◆今回の撮影でこだわった点を教えてください。

塚原(あゆ子)監督とは10年ほどご一緒していますが、毎回、“新しいカット”にこだわりを持って撮っています。今回は、監督から「久我原篤史(橘優輝)と並走したい」という要望がありました。久我原は50メートルを6秒台で走るのですが、球場にそこまで早く移動できる特機は用意できないので、「ワイヤーを使ってみてはどうか」と提案し、そこからいろいろとアイデアが広がっていきました。

また、ピッチャーが投げるシーン、バッターが打つシーンも、野球中継と同じような画にして、そこにスーパースローのカメラで撮った画をうまく挟み込んでいくといった方法をとりました。野球のシーンに球児たちの躍動感を生むことができ、この作品の特色にもなったと思っています。

さらに今回はカメラと被写体との距離感にもこだわっていまして、俯瞰的視点でいられるように、長めの距離をとることが多かったですね。三重のシーンでは、自然が雄大でしたし、野球のシーンでも球場も広く、少し離れて撮った方がより良い画になるので。そうしつつも、感情がこもるような芝居の時には、距離を近くして、表情が全面に出るように撮りました。

◆撮影現場ではどのようにシーンが作られていったのですか?

現場では、塚原監督と役者さんがセッションのような形で作ることが多いです。役者側からの「ここをこうしたい」と要望を監督が受け、今度は監督が「こうしたいんだけど、役のどういう受け応えがある?」といった具合です。一応、事前にカット割りも準備はしているのですが、その場で必要に応じて流動的に対応しています。役者さんがお芝居をやりづらくならないように、より感情入れやすいように環境を整えるのが、塚原組の特徴ですね。

そして監督の「ココはこの画じゃないといけない」という狙いは、撮影前に監督と自分とで、“その画が成立するためにはどうしたら良いか”と何度も話し合い、その結果、こちらで役者さんの立ち位置を指定することもあります。その都度、最良の方法をとるように進めています。

塚原監督のチームは、現場が変わるたびに、新しいことにトライし、視聴者さんの観たい映像を撮るために最善を尽くすので、瞬発力が必要なチームです。撮影前に、主演の鈴木亮平さんと監督が話していることが多いですが、塚原監督はどんなに若い役者さんでも、自分から発言すれば、必ずそれに対応してくれるかたです。球児たちも自分の芝居に不安があると、よく監督に相談していますね。

◆出演者の方々とはどんなお話をされますか?

僕自身は役者さんとは、あまりカタい話はせず、たわいもない会話をします(笑)。三重で撮影した時も、「何を食べた?」など、お互い気を使わない関係性です。撮影で僕が、“カメラを構えています”といった雰囲気にならないような距離感をいつも心がけています。

先日第6話の撮影していた日に、楡(生田俊平)に急に「今日、初めてカメラを意識しました」と言われたんです。その時は特に意識してドキドキしてしまったらしく(笑)、それまでは意識させずにやれていたことが分かりました。役者さんがカメラを意識せずに自然にお芝居をできるということが、自分の仕事ができているということなので。

◆球児たちの成長を感じる瞬間はありましたか?

もちろんみんな成長していますが、強いて言えば、楡がいちばん成長を感じましたね。彼は地上波のドラマもほとんど初めてだったみたいなので、後半にかけて変わっていくのを感じました。根室(兵頭功海)は1人のシーンもあり、塚原監督とマンツーマンで話す機会が多いこともあって、成長を感じました。塚原監督はキャストを上に引き上げてくれる話をたくさんされるんですよ。なので、その頻度が多い役者さんは必然的に、より演技が良くなっている気がします。塚原監督はこれまでもドラマが初めての新人俳優や、現場に慣れていない方が居ても、その人と引き上げるのがとても上手です。なので、特に若手にとっては、一緒に過ごすことで成長できる監督なのだと思います。僕はそれをカッコよく見えるように撮っているだけですね。

◆関さんのお薦めシーンを教えてください。

第1話冒頭の三重の球場でのシーンは、最終回までにはぜひ観返してほしいです。あのシーンは皆さんもお気づきのようにドラマのキーとなる決勝のシーンなので、もう一度観て「根室がダイビングキャッチしたのはこういう展開だったから?」「ココとココがこうつながるの!?」というように楽しんでいただければと思います。

『下剋上球児』©TBSスパークル/TBS 撮影:ENO

PROFILE

関毅(TBSアクト所属)
TBS制作の人気作を多く担当し、直近では『最愛』『MIU404』はじめ新井順子プロデューサー×塚原あゆ子監督作品の多くで撮影担当を務める。

番組情報

日曜劇場『下剋上球児』
TBS系
毎週日曜 午後9時~9時54分

<キャスト>
鈴木亮平、黒木華、井川遥、生瀬勝久、松平健、小泉孝太郎、小日向文世ほか

<スタッフ>
原案:「下剋上球児」(カンゼン/菊地高弘 著)
製作:TBSスパークル、TBS
脚本:奥寺佐渡子
プロデュース:新井順子
演出:塚原あゆ子、山室大輔、濱野大輝、棚澤孝義
編成:黎景怡、広瀬泰斗

番組公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gekokujo_kyuji_tbs/
番組公式X(旧Twitter):@gekokujo_kyuji
番組公式Instagram:@gekokujo_kyuji
番組公式TikTok:@gekokujyo_tbs

©TBSスパークル/TBS 撮影:ENO