『マイ・セカンド・アオハル』塩村香里Pが明かす最終回の見どころ「佐弥子(広瀬アリス)と拓(道枝駿佑)らしいすてきな最後を用意できた」

特集・インタビュー
2023年12月18日
『マイ・セカンド・アオハル』最終回 佐弥子(広瀬アリス)©TBS

火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』(TBS系 毎週火曜 午後10時~10時57分)の最終回が12月19日(火)放送。12月12日に放送された9話のラストで、拓(道枝駿佑)と再会した佐弥子(広瀬アリス)がどんな未来を迎えるのか。最終回の見どころを塩村香里プロデューサーが語った。

本作は、主演の広瀬アリス演じるやっかいな問題を抱えた30歳の主人公・白玉佐弥子が、道枝駿佑(なにわ男子)演じる謎の大学生・小笠原拓のひと言をきっかけに学び直しを決意して大学生となり、令和の大学生たちにもまれながら恋に、勉強に、夢に奮闘するセカンド・アオハル・ラブコメディ。脚本は北川亜矢子が務め、主人公ががむしゃらに突き進む人生の第二章の幕開けを、笑いあり、涙あり、胸キュンありのオリジナルストーリーで描く。

12月19日放送の最終回では、日向(安藤政信)に抱きしめられる姿を拓に見られ、困惑する佐弥子。一時帰国で戻るところだという拓と短い会話を交わし、拓は出国ゲートの方へと去って行く。

卒業が目前に迫る中、内定をもらった大手設計事務所の内定者懇親会に出席するも、佐弥子は自分がその会社で働くイメージが持てないと落ち込んでいた。そんな中、気分転換をしようと思い出の場所に立ち寄った佐弥子は、思いがけない人物に遭遇し…。


◆約4か月の撮影を経て、現場の雰囲気はいかがでしたか?

私が関わってきたドラマの中で、一、二を争うぐらい非常に仲のいい現場です。キャストさん同士もすごく仲良いですし、スタッフとのコミュニケーションもすごくとれています。7話の見どころコメントでも書きましたが、今回オリジナルドラマで原作がないので、キャラクターの初期設定はあくまで我々がいったん考えて、それを役者さんに渡して、台本を読みながら作ってもらっているのですが、お芝居していただいた中ですごく役のイメージが膨らんでいったなという印象があるんです。

彼らが役に向き合ってお芝居で見せてくれたものだったり、役者さんたちでコミュニケーションをとっているところを横で見ていて、この人とこの人のこういうシーンを作ってみたら面白いかもしれないと思うことがあって、7話ではそういうシーンを入れました。

◆具体的にどんなシーンでしょうか?

澄香(箭内夢菜)と寛太(濱尾ノリタカ)のところは、キャスティングが決まった時に、脚本の北川さんの中で、2人のキャラクターの恋模様を描きたいという気持ちが湧いたそうです。それが7話に出てきた2人のエピソード。そんな2人を取り巻くキイナ(伊原六花)と龍之介(水沢林太郎)と真凛(飯沼愛)といったサグラダファミリ家のメンバーが、その2人の恋愛に対してどういうアプローチをするかというシーンも3人に演じていただいたからこそのシーンになったなと思います。

特に、龍之介と真凛の2人がファミリ家のルールについて話し合うシーンは、飯沼さんと水沢さんが普段、見せないような顔を見せるカットになったなと。普段、飯沼さんはすごく明るい方ですし、水沢さんは龍之介に近い、空気の読める佇まいのすてきな方なのですが、その2人がファミリ家のメンバーの恋愛から、もう少し自分の人生に関して思いを馳せるんです。龍之介が語るシーンもあって、そこは水沢さんが龍之介を演じたから作ってみたいなと思ったシーンで、実際にやってもらったら思っていたものを超えてきました。

一方でキイナは、前半戦はちょっと小悪魔っぽい、拓をちょっと振り回しているような感じのお姉さんでしたが、実は彼女には彼女なりのコンプレックスがあって。5話の佐弥子に見せる涙のシーンで、そんなコンプレックスも含め、キイナも普通の女の子なのだなと分かったかと思います。その2人のシーンを見たから、7話で女の子4人のシーンを作りたくなって、そこはきっと視聴者の女性たちにもぐっときたシーンになったんじゃないかなと。基本的には、ラブコメなので楽しい展開や、佐弥子と拓との2人の恋愛模様が多いですが、そこに取り巻く人たちがどういう関係値でファミリ家の中にいて、絆を育み、結束を持っているんだなと思ってもらえていたらいいなと思います。

また、8話の拓と龍之介のシーンは道枝さんと水沢さんのツーショットの雑誌取材に立ち会わせていただいた時に、この2人が話しているシーンを見てみたいなと思って入れました。そういう撮影現場での出来事や取材、オフの様子だったりを、見聞きし、皆さんといろいろな経験させていただいた結果、ドラマにフィードバックできたシーンは後半戦が特に多いですし、これはオリジナルドラマの醍醐味ですね。

◆皆さんのコミュニケーションが盛んになったきっかけを作ったムードメーカーはどなたでしょうか?

座長の広瀬さんです。広瀬さん自身も周りのキャストが若く年齢差があって、最初はすごく緊張していたそうなのですが、自分が周りに気を使わせてしまうと、距離感ができてしまって、遠慮がある環境になってしまうと、このドラマは作れないだろうというのを気にしてくださって。撮影前に「みんなで本読みしたいです」というお話をいただいたり、現場でも率先してコミュニケーションを取っていただけています。

あと、チーフディレクターの青山(貴洋)は、広瀬さんが出演していた『黒の女教師』『ルーズヴェルト・ゲーム』で助監督をやっていたんです。なので顔合わせの時に、広瀬さんの方からすごくフランクに、「お久しぶりです」と声をかけてくださっていました。あの頃、助監督をやっていた人が、今回チーフ監督としていることで、そこでの監督と主演の方の信頼関係というか、コミュニケーションが最初の段階からうまくいきましたし、カメラマンも他局の広瀬さんが出演するシリーズを撮っていたカメラマンだったりするので、広瀬さんも安心して、現場に臨めたのではないでしょうか。

毎話見どころをSNSで放送当日にお届けしていますが、本当にサービス精神が旺盛な方で。初回のインスタライブの時に、これはもしかして、毎回恒例にしたら、すごく楽しいコンテンツができるんじゃないかなと思ったくらい弾けてやってくださったので、2話以降、見どころ動画をお送りすることにしたんです。現場でメイキングも撮らせていただいたり、広瀬さんが道枝さんをいじるみたいなことが定番化してきて、SNS動画でもそれを楽しみにしてくださる方が次第に増えていきました。すごく和気あいあいとして、基本的に笑いが絶えない現場で、広瀬さんが最初からそういう空気作りをしようっていうことを心がけてくださったので、私たちももう全面的にそれに乗っかって、楽しんでしまえと。座長がそういう空気を作ってくれたから、若い役者さんたちも「姉さんについていきます」みたいな感じの頼りにしている感じがあります。

そこに加えて、安藤(政信)さんとイモト(アヤコ)さんという大人の方たちが本当に面白いんですよ。安藤さんを広瀬さんがいじり倒すっていう(笑)。さまざまな理由があってこの現場の雰囲気につながっているんだと思います。

『マイ・セカンド・アオハル』最終回©TBS

◆佐弥子が拓と付き合う時に葛藤するところは、年上女性と年下男性との恋愛で共感を得る部分なのかなと思いますが、そういった部分はどのように描こうと心がけていたのでしょうか?

脚本の北川(亜矢子)さん、私、編成の武田(梓)さん、企画の吉藤(芽衣)さんといった女性陣が佐弥子の年齢に近いので、佐弥子の感情がより具体的になりやすかった部分はあるかもしれません。このドラマを作るに当たって、あくまで青春ラブコメディであることを念頭において、よくある年上女子と年下男子のラブストーリーにならないように心がけました。

佐弥子が人生をやり直すために大学に入って、そこで自分よりも若い世代の人たちから刺激を受けるということが大前提。それは恋愛だけではなくて、勉強面においてもそうですし、将来の考え方においても言えることで。刺激を受ける中で成長していったり、恋愛面では今まで思っていなかった感情が生まれてくるみたいなことをやっていきたいと思っていましたし、もう一つ念頭に置いていたのは、一方的にならないようにしたいということ。年上が年下に人生の経験値から何か影響を与えることだけではなくて、若い人からも刺激を受ける、相互作用で働いていくようにしたかったんです。

脚本作りで、北川さんとよく話すのですが、佐弥子と出会った時は20歳の拓が実年齢よりもちょっと大人びた男の子であるということと、アラサーの佐弥子さんが、実年齢よりも少し精神年齢が若いというか、少し大人になりきれていない部分もある。そんな2人だから、お互いに教えたり、教えられたり、気づかされたりみたいなことができたら、両方の世代の人たちから共感してもらえるようなドラマになるのではないかなと。なので、佐弥子目線ばかりにならないようにしたいと気をつけて作っていきました。

◆拓の気持ちはどのように落とし込んでいったのでしょうか?

それは佐弥子も広瀬アリスさんの印象から落とし込んでいったのですが、拓に関しても道枝駿佑さんから得られる印象が大きかったです。こういうふうであってほしいみたいな理想はありますが、道枝さんに実際にやってもらうに当たって、そこにリアリティがないと、ファンタジーの世界になってしまうので、道枝さんが実際にお芝居をしてもらってファンタジーすぎない落とし込み方は意識しました。

そして監督が全員男性だったので、監督とのセッションもしました。私たち女性陣が「こういう感じで言ってほしい」と思ったことを、男性陣の目線で「男はそんなふうには言わないよ」とせめぎ合いすることも(笑)。こちらの理想ばかり押しつけても、リアリティのあるドラマにならないので、監督たちの意見で「これをやると、やりすぎなのか」とか、「ここはドラマとして、ちょっと振り切ってやってもいいけど、このラインは超えちゃいけないのか」と気づかされることがあって、そこからキャストの方たちとも相談していきました。

◆広瀬さんが主演だからこそできた演出はありますか?

青春ラブコメディの絶妙なバランスができたんじゃないかなと思っています。特に北川さんが書くせりふもそうですし、アクションやモノローグとか、それを広瀬さんに体当たりで演じていただいた1話を見て、化学反応が起きたなと思いました。それをこの先、恐れずやっていこうという覚悟がそこで固まったんです。また、どうしても4話、5話あたりからラブ線が強くなっていくストーリーになると分かっていたので、そうなった時に、「あれ? これラブコメディだったよね」みたいな、「1話で出てきた白玉佐弥子はどこ行った?」となってしまうのは非常にもったいなく、きっと皆さん、そこを期待してくださっていたと思うので、ラブシーンを書く時も必ず「これラブコメだよ」と思ってもらえるように台本の打ち合わせの時も、要所要所で話題にして。キスシーンの後、そのまますてきなシーンを書いてしまいそうになるところを「いや、違う。それで終わっちゃダメだ」と私たちの中で白玉佐弥子はそれでは終われないとしたんです。例えば5話の佐弥子と拓の朝チュンを、シラスを持ってきた真凛に見られたりとか、6話の佐弥子と拓のキスシーンを澄香が双眼鏡でのぞいていて、「チューした」と言うようにしました。

白玉佐弥子も、10年間のいろんなくすぶりの中で、この『マイ・セカンド・アオハル』で弾けているわけですが、そこにすごく広瀬さんのこの10年間の活躍がピッタリ乗っかってくれるんじゃないかと思って。いざやってみて、そのコメディ要素のところは、もちろん想像は超えていましたし、表情やせりふのトーンだったり、繊細なお芝居が本当にお上手な方なので、ラブシーンや1人で将来や勉強に悩んだりするシリアスのシーンのところも丁寧に演じていただけて。なのでコメディで振り切っても、すごくバランスが取れました。広瀬さんだからこそ、ラブとコメディのバランスが成立したドラマになったのではないかなと思います。

◆拓に対して抱く視聴者の気持ちを佐弥子が代弁してくれているといった反響をよく見かけますが、意図的にそういったことは入れているのでしょうか?

意図的ですね。それは、しっとりしたくないというのがあって。自分よりも10歳下の彼氏ができたら、一つ一つがキラキラして、まぶしすぎると思うんです。それに対して、1話でこれぞという白玉佐弥子のキャラクターを作れたので、テレビを見ながら視聴者の方が言ってしまうようなことを、あえて佐弥子は本人の目の前で言ってしまったり、モノローグで言ってしまうみたいな。「キュンとさせるんじゃないよ」とかそうですよね。そういうせりふは入れていった方がドラマのリズムとしても、佐弥子のキャラクターとしてもいいですし、視聴者の人たちも佐弥子の気持ちに乗っかることができるんじゃないかなと思って、あえて入れているところもあります。

『マイ・セカンド・アオハル』最終回 拓(道枝駿佑)©TBS

◆拓が半年ぐらい思いを募らせて、大胆なキスシーンが展開されましたが、あえて入れ込んだのでしょうか?

ストーリー上、決めていた部分ではあります。4話でプールでのハッとするキスシーンがあった後、そこから2人がどう恋人になるのかをすんなりはやれないよねと。どちらも恋愛偏差値が低い佐弥子と拓だもんみたいな。ちょっとひともめ必要だけど、それを長めに描いくのは、当初から全話で大学4年間の話を描くことを決めていたこともあり難しいなと。そこで、5話で大胆にくっつけたんです。

キスシーンをどの程度やるか、朝チュンがどれだけ生めかしいかみたいなことは、具体では話し合ってはいないですが、佐弥子が想いを押さえきれずに涙する展開と、そんな佐弥子に対して自分の感情をコントロールできない拓の不器用さみたいなことを表現するには、ああいったキスシーンが必要だったかなと思っています。

拓に関しては、今まで佐弥子に対して友情を育んできたと思っていたら、それが愛情に変わっていたことに5話で気づき始めているのですが、このドラマは佐弥子の物語なので、拓の気持ちは、時々悩んでいたり、はっと気づいて行動したりする、ちょっとした表情から、その変化の中から読み取るしかないんです。ただ、5話の冒頭でひとつだけ拓のモノローグを入れたんです。4話のキスシーンが確実に拓の中でターニングポイントになっていて、ここから拓の気持ちが変わりますよというきっかけとして、5話の冒頭でちらっとお見せして、最後のキスシーンに持っていきました。

この5話は監督がすごくこだわっていました。音楽の付け方、物語の進め方とか、ここは佐弥子の気持ちに乗せるターン、ここは拓の気持ちで見てほしいターンみたいなのを、5話全体でこだわりを詰めていました。あのキスシーンも最初は拓の追いかけるような、「出ていっちゃうの?」から入って、振り向いたところからは「好きだから出てくんだよ」と佐弥子のターンになって、そこから、愛情をぶつけるようなバックハグで拓のターンになって、みたいに、佐弥子目線だけではないラブシーンにしようと、いろいろ計算して撮って、編集しました。それをやるためには、拓への佐弥子の思いがあふれて、泣きながら拓の胸を叩く感じと、それに応えるような、拓のバックハグからのキスという思いのぶつけ合いは絶対必要だなと思って、それまでの『マイハル』とは違うテイストになることを覚悟しながら、「やってやるぜ」という感じで入れました。

◆あえて不器用なキスシーンになった?

そうですね。拓は愛人の子供で、父親からも新しい家族からも愛情に恵まれて育ってきたわけではないというバックボーンがあるから、愛情表現が得意ではない。だけど、自分が心を開いた人に対しては、心の開き具合のタガが外れてしまう。6話で告白がうまくいったときの拓がキャラ崩壊じゃないかと言われるぐらいになってしまったのは、そういったキャラクター設定があったから。そういうことを踏まえた上で、自分の目の前で泣いている大好きな人に対して、この人が出ていってしまうかもしれないという焦燥感だったり、自分の中で感情がごちゃごちゃになってしまった末の愛情表現としてのキスとして、不器用さ全開で行くのが拓だろうなと。なので、佐弥子と拓のキスシーンとしてはベストだったんじゃないかなと思っています。

◆「おなか痛いの?」ってところがもう最高に笑いました。

脚本の北川さんのセンスだと思うのですが、なんせ恋心に鈍感な拓なので、目の前で女の子が泣いたらどこか痛いのかなって思ってしまうだろうと。私たちも「北川さん、この『おなか痛い?』はどういう?」と話をしたら、「おまえ、そうじゃないんだよっていうところが拓なんです」と、すごくこだわって書いてくださったせりふで、全員がそういうツッコミをしてくださったので、ありがとうございますって感じです(笑)。

◆最終回の見どころを教えてください。

学び直しを決意して大学に入った佐弥子が、再び社会に出ていく時、果たしてどういう選択をするのか。これは「私たちが最後、きちんと描かなければいけないところですね」と北川さんたちと話しています。そして「これ、ラブコメだよね?」という、コメディ要素を入れることは私たちの中で常にありますし、クライマックスに向けて佐弥子と拓らしいすてきな最後を用意できたと思っています。佐弥子がこの4年間で何を学んで、拓と出会ってどういう人間になって、卒業していくのか。そこに拓がどう関わるのかを楽しみにしていただけたらいいなと思います。

『マイ・セカンド・アオハル』最終回©TBS

番組情報

火曜ドラマ『マイ・セカンド・アオハル』
TBS系
最終回:2023年12月19日(火)午後10時~10時57分

<キャスト>
広瀬アリス、道枝駿佑(なにわ男子)、伊原六花、飯沼愛、水沢林太郎、箭内夢菜、濱尾ノリタカ/イモトアヤコ、安藤政信

<スタッフ>
製作:TBSスパークル、TBS
脚本:北川亜矢子
主題歌:なにわ男子「I Wish」
挿入歌:asmi「開青」
プロデューサー:塩村香里
演出:青山貴洋、山本剛義、泉正英
企画:吉藤芽衣
編成:武田梓

番組公式サイト:https://www.tbs.co.jp/mysecondaoharu_tbs/
番組公式X(Twitter):@myharu_tbs
番組公式Instagram:@myharu_tbs
番組公式TikTok:@myharu_tbs

©TBS