岡山天音&森七菜が語る『ひらやすみ』の魅力「いろいろな“キラキラ”が詰め込まれた作品。1日の疲れを癒やす時間にしてもらえたら」

特集・インタビュー
8時間前
『ひらやすみ』
『ひらやすみ』

夜ドラ『ひらやすみ』(NHK総合 毎週月曜~木曜 午後10時45分~11時)で主演を務める岡山天音さんと、共演の森七菜さんにインタビュー。演じる上で大事にしていることや、互いの印象などについて聞きました。

真造圭伍による人気漫画を実写ドラマ化した本作の主人公は、29歳のフリーター・生田ヒロト(岡山)。元俳優で、いまは定職なし、恋人なし、普通ならあるはずの将来の不安も一切ない、お気楽な自由人。そんな彼は、人柄のよさだけで、仲良くなった近所のおばあちゃん・和田はなえ(根岸季衣)から、阿佐ヶ谷駅徒歩20分の一戸建ての平屋を譲り受けることに。そして、山形から上京してきた18歳のいとこ・小林なつみ(森七菜)と2人暮らしを始める。不動産会社勤務で仕事熱心な立花よもぎ(吉岡里帆)をはじめ、彼の周りには生きづらい“悩み”を抱えた人々がいつのまにか集まってきて…。

◆原作は、温かく、それでいてどこか切なさを併せ持った世界観が幅広い世代から愛されている真造さんの大人気コミック。岡山さんは阿佐ヶ谷の平屋一戸建てを譲り受けた主人公・ヒロト、森さんは大学生のいとこ・なつみを演じます。

岡山:僕は本作のオファーを頂く前から原作の『ひらやすみ』が大好きで、ずっと読み続けていたんです。そもそも原作者である真造圭伍先生の作り出す世界観がとても好きなので、今回こういう機会を頂けたことを本当に幸せに感じましたし、それと同時にヒロトを演じることへのプレッシャーもありました。本作はキャラクターたちの実在感がとにかく魅力的で、何か強いドラマや派手な出来事が起こるわけではないけれど、いろいろな“キラキラ”が詰め込まれた作品だなと感じています。

森:私ももともと原作がすごく好きでした。先程、完成品を見させていただきまして、撮影していた夏を思い出しながら懐かしく思い、なんでもないあの(ヒロトとなつみの過ごす)日々がまたこうしてきらめきを持った作品として見返せることがうれしいです。視聴者の皆さんにも、この“夜ドラ”を1日の疲れを癒やす時間にしてもらえたらと思っています。

◆ご自身の役柄をどう捉えて、演じるときに何を大切にされましたか?

岡山:僕は初めて原作の1巻を読んだときに、ヒロトに対して“僕が出会いたかった人にやっと出会えた!”という思いだったんです。“こういう友達がいたらいいな”と思ったし、僕が子供のころから思い描いていた理想の趣向を持った人だったので、だからこそ演じることはすごく難しかったです。彼は街ですれ違っても気づかないようなごく普通な人だけど、日常にあるキラキラしたものにちゃんと気づけたりと“人間として生きる”ことにおいては天才。とても豊かな時間の中を生きていて、彼のそういうところにいろんな人たちが惹かれて集まってくるんだろうと思うんです。そんな僕の中で膨らんだヒロト像を“一つも取りこぼさずに全うできたら”という思いで撮影に臨みました。

森:なつみは基本的にムスっとしているコマが多くて、とくに1話は視聴者に嫌われやしないかと不安になるくらいで(苦笑)。でもそこはきちんと表現したいなつみの一面でもあったので、ちゃんと見ている人を怖がらせるくらいに演じていこうと思いました。そしてヒロ兄のことがどんどん好きになっていく感じやヒロ兄に感謝している、といったなつみの中のいい子の部分、核の部分、すてきな女の子としての部分を見せられたらという思いだけはずっと持ち続けていようと。そして、それがどこかでこぼれ落ちて誰かに拾ってもらえたらうれしいなと思いながら演じていました。

◆演じる役とご自身とで似ている部分や共感する部分はありますか?

岡山:似ているところは…分かりません(苦笑)。僕の周りの『ひらやすみ』ファンからは、僕とヒロトが似ていると言ってもらうこともありましたがおこがましいし、自分ではよく分からないです。

森:岡山さんのこういうところがめっちゃヒロトなんじゃないですかね(笑)。私はなつみよりは年齢も上なのでもうちょっと大人だと思っているんですけど、なつみの演技でブスっとした顔の表情をしたときの映像を見ると、なんとなく初めてやったわけではなさそうだなと自分で感じたので、ちょっと気をつけようかなと思いました。そういう瞬間の表情はなんか身に覚えがあります(苦笑)。

岡山:なつみって立体的な、動的なキャラクターだと思うんですけど、森さんが演じるなつみはそれが全面に出ていたし、何が出てくるか分からないような感じもあって、まるで“なっちゃんの3D版”という感じでした。僕は(魅力的で)永遠に見ていられるなと思いましたね。

◆“何が出てくるか分からない”というのは、台本で読んだ以上のことを本番で見せてくる、と?

岡山:絶対そうですよね。

森:絶対って…(笑)。

岡山:いつも想像もつかない要素を混ぜてくるんですよ。平屋という空間でスローに時間が流れていく作品なので、その中でなっちゃんが体を使って喜怒哀楽を表現していて、それが作品に色を増やして幅を作っていたと思っています。

森:私は、私が何をやっても岡山さんがヒロ兄として交わしてくれるので、そこに安心感がありました。岡山さんって、共演者の誰かがせりふを忘れると、そのせりふを言ってくれるんですよ。だから“もしかして全部覚えてるのかな? すごすぎるな”って思いながら見てました。そこはのんびりしたヒロ兄とは異なる部分だったので、不思議な感覚でしたね。

『ひらやすみ』
『ひらやすみ』

◆お互いの印象についてもお聞きしたいです。本作での共演によってこれまでと印象が変わった点などがあればそれも教えてください。

岡山:ここまでしっかりと共演したのは初めてですが、とにかく森さんは“会ったことがない人”という印象。それくらい“森七菜パワー”みたいなものを感じています。お芝居のときもすごく面白いですし、カメラが回ってないときの話もすごく面白い。唯一無二の人って感じですかね。

森:私は岡山さんに対してイメージがたくさんありすぎて…。たぶん、これまでにいろんな役を演じられているからだと思うんですけど、ヒロ兄みたいな平和なイメージもあれば、パソコンのキーボードをパチパチ叩く天才頭脳派のイメージもあったり…。

岡山:いやいや、パソコンパチパチの天才頭脳派なんてやったことないのよ(笑)。

森:せりふが100行あっても一瞬で覚えちゃうような、サイコパス的なイメージありますよ。

岡山:ああ、サイコパス的役ね(笑)。

森:そうです、そうです! だからパソコンカタカタもないわけがないと思ってて(笑)、そういうイメージもあるし、めっちゃ「うえーい」って感じの(パリピな)イメージもあったし、本当のパーソナリティが分からなかったんです。だから最初はちょっとビビっていたんですけど、こうして共演させていただいて、今は芸能界の先輩俳優さんの中で一番お話がしやすい人だなと思ってます。

岡山:イメージがひっくり返ったってことだ(笑)。

森:はい。撮影中、めちゃくちゃ楽しかったです。今日はちょっとしゃべり過ぎたかなと思う日があるほどで。それくらいいっぱいお話していただいてありがたかったです。

岡山:よかった。サイコパスのまま終わらなくて(笑)。

森:サイコパスだけじゃないですよ。いろんな…全部のイメージです!

◆お二人ともとっても打ち解けていらっしゃいますが、現場の雰囲気も和やかでしたか?

森:もう本当に、スタッフさんも含めてめちゃくちゃ和気あいあいとしていましたね。

岡山:本当にみんな、すてきな人たちだったよね。

森:みんな『ひらやすみ』の登場人物みたいですもんね(笑)。シーンにもその感じがよく表れてる。

岡山:確かに(笑)。

『ひらやすみ』
『ひらやすみ』

◆“平屋暮らし”が物語のテーマでもありますが、実際の平屋での撮影はいかがでしたか。

岡山:平屋はヒロトが根岸季衣さん演じる近所のおばあちゃんから譲り受けたものなので家の中にはばあちゃんが暮らしてきた痕跡と、ヒロトの今の暮らしのものがあって、そこになっちゃんが一緒に暮らすことになってまた新しい色が重なっていくんですけど、そういった様子が家の隅々に表現されているんです。この家でどういう人たちがどういった時間を過ごしてきたかっていうものが目の前に映っている場所だったし、ここにヒロトとばあちゃんとの時間があったことをしっかりと感じられたので、それは演じる上で非常に力になりましたね。

森:私は縁側と台所がすごく好きで。縁側は風通しがよくて本当に気持ちがよかったし、台所の小さいテーブルでお鍋を食べたりするこの暮らしがとても落ち着きましたね。あまりに居心地が良すぎて本当に自分の家になったみたいで、撮影が終わってからもなかなか帰れないこともありました。

◆お二人は実生活で平屋を経験されたことはありますか?

岡山:僕は平屋デビューでした。縁側の雰囲気もあって、本当に時間との付き合い方が変わる場所という体感がありましたね。ここでかりそめの生活をして、ヒロトにすごくマッチしている場所だということを実感しました。

森:私は小学生のときに平屋に住んでいました。なつみがヒロトの平屋を「すごいボロボロ」と言ったりするんですけど、私の家はもっとボロボロでしたね(笑)。でも平屋って少し声を出せば家族にも届くし、私はその平和な空間がすごく好きでした。将来、いろんなものに余裕ができたらまた平屋に住みたいと思っています。

◆ロケ地となった阿佐ヶ谷はどんな印象でしたか?

岡山:10代の時に高円寺あたりで遊んでいたし友達も住んでいたので、僕にとって阿佐ヶ谷はわりとなじみのある場所です。ただ今回、“人、めっちゃ多いな”と思いましたね。撮影には向いてない(苦笑)。スタッフさんたちのおかげでしっかり撮影することができましたけど。

森:私はもう阿佐ヶ谷といったら、これまでは阿佐ヶ谷姉妹さんのイメージしかなくて(笑)。でも今回行ってみて、めちゃくちゃ便利な場所なのに住みやすく、都会とカントリーサイドの間みたいな感じがしました。阿佐ヶ谷の皆さんは『ひらやすみ』が好きすぎるみたいで、ロケでも私たちのこと「2人とも(キャラクターの)まんまだね。漫画から飛び出してきたみたい」って声を掛けていただきました。

『ひらやすみ』
『ひらやすみ』

◆お二人は住むなら田舎と都会どちらがいいですか? これがないと暮らせない、など理想の生活があれば教えてください。

森:(出身の)大分にもう一度住みたいです。とにかくご飯がおいしくて…関アジ、関サバどれもめちゃくちゃおいしいんですよ。そういうのをスーパーで普通に買って食べられるのでね。やっぱり“おいしいものがあるところ”は、私の暮らしの理想です。田舎道や河川敷といったところもプライベートではしばらく歩いてないので懐かしく思っています。

岡山:僕は東京生まれなので、田舎はやっぱり“非日常”なんですよね。自然の中で暮らしてみたい思いもありますが、たぶん現実を知らないから大変そうで。それと店に行くのが好きなので、販売店や飲食店など、たくさんのお店がそばにある暮らしが理想です。

◆『ひらやすみ』の重要な要素となっているナレーションは、小林聡美さんが担当されていますね。

岡山:小林さんらしいチャーミングさでドラマを彩ってくださっていましたし、キャラクターたちとの独特な距離感もあって、それがとてもすてきでした。

森:小林さんが現場にいらしてくださったときも、温かいお人柄がそのまま映像に登場するんじゃないかというぐらい『ひらやすみ』の世界観にフィットされていましたよね。

岡山:原作にナレーションが多いから、知らされる前からこれは誰の声でやるんだろうと現場で話していたんだよね。

森:小林さんのナレーションが入った本編を見て、まさに“完成した!”という思いでした。

岡山:この『ひらやすみ』の世界の人たちの息遣いや暮らしが、視聴者の皆さんの心にどうタッチするのか僕らもとても楽しみです。

PROFILE

岡山天音
●おかやま・あまね…1994年6月17日生まれ。東京都出身。AB型。2026年春放送のドラマ『片想い』、11月26日(水)からの舞台「TRAIN TRAIN TRAIN」に出演予定。近年の出演作は大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』など。

森 七菜
●もり・なな…2001年8月31日生まれ。大分県出身。A型。出演映画「秒速5センチメートル」が公開中。2026年春公開の映画「炎上」に出演予定。近年の出演作は映画「ファーストキス 1ST KISS」「国宝」「フロントライン」など。

番組情報

夜ドラ『ひらやすみ』
NHK総合
毎週月曜~木曜 午後10時45分~11時
全20回/5週
※NHK ONEで同時・見逃し配信

原作:真造圭伍
出演:岡山天音、森七菜/吉岡里帆、根岸季衣ほか
脚本:米内山陽子
演出:松本佳奈、川和田恵真、髙土浩二
制作統括:坂部康二、熊野律時
プロデューサー:大塚安希

●text/土屋華夏

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