
テレビ情報誌「TV LIFE」で、今後さらなる活躍が期待されるネクストブレーク俳優の魅力を紹介する連載「#今旬コレクション」。WEB版では、本誌に収まりきらなかったエピソードを紹介します。第128回は現在公開中の映画「私はあなたを知らない、」に出演する早瀬憩さんが登場です。
「#旬コレ 7seconds CHALLENGE」早瀬憩
◆映画「私はあなたを知らない、」では、13年前に母親を殺された少女・朝子を演じています。朝子を理解するために、どのような準備をされましたか?
まずは脚本を何度も読み込みました。でも、それだけでは朝子の気持ちを理解しきれなくて。そんな時に監督から「朝子として、おばあちゃん(原田美枝子)に手紙を書いてみたら?」と提案していただいたんです。おばあちゃんが余命宣告を受けた直後に書くとしたら、朝子だったらどんな言葉を伝えるのだろうと考えながら手紙を書いていくうちに、「きっとこうやって愛情をたくさん受けて育ってきたんだろうな」と自然に思えるようになりました。書いている時間そのものが、朝子の気持ちに寄り添う時間になっていた気がします。
あとはやはり、実際に撮影が始まってから理解できたことの方が多かったです。共演者の皆さんとお芝居をすると、台本を読んでいるだけでは見えなかった感情が「なるほど、そういうことなんだ」と腑に落ちる瞬間がたくさんありました。
◆最初は朝子という人物に戸惑いもあったそうですね。
はい。一番難しかったのは、母親を殺めた相手である夕平(坂口健太郎)に会いに行くという行動をとったことです。度胸があるなというふうに感じて、最初はすごく驚きました。
でも、脚本を何度も読み返していくうちに、朝子はずっと心のどこかで愛情を求めながら生きてきたんだなと思えてきて。両親が欲しいというより、「どんな人だったんだろう」「知りたい」という気持ちだったのかなって思ったんです。母親を殺めた相手ではあるけれど、自分のことを娘のように愛してくれていたという事実も同時に知っている。その二つの感情が朝子の中で混ざり合っていたからこそ、夕平に会いに行ったんじゃないかなと考えるようになって、少しずつ朝子の行動を理解できるようになりました。

◆「監督から新しい感情や表現を引き出してもらった」と話されていましたが、特に印象に残っているシーンはありますか?
祖母のお葬式の後、一人で牛乳をパックのまま飲むシーンです。最初は監督に「もっと」と言われても、「本当にここまで感情が溢れるかな」と思っていたんです。でも、朝子が13年間おばあちゃんと過ごしてきた時間や、一人になってしまった寂しさを一つ一つ考えていくうちに、自然と感情が込み上げてきました。
あのシーンは本当に何度も撮り直したので、牛乳でびしょびしょになりました(笑)。でも、自分でも経験したことがない感情を引き出していただけたシーンでもあって。朝子として生きたからこそ出会えた感情だったと思います。
◆夕平役の坂口健太郎さんとは初共演。ご一緒して感じたことを教えてください。
初めてお会いした時から本当に穏やかで、優しく声を掛けてくださる方でした。朝子の幼少期のシーンを見学させていただいた時も、ずっと穏やかな雰囲気で、ユーモアもあって、自然と周りに人が集まるような方だなと思いました。
でも、お芝居になると空気がガラッと変わって。面会のシーンでは、坂口さんもものすごい熱量で役と向き合われていて、その姿に引っ張っていただきました。坂口さんのお芝居に影響されて、自然と朝子の言葉が出てくる場面が本当に多くて。たくさん助けていただきました。

◆撮影現場で印象に残っていることは?
作品のテーマは重いんですが、撮影以外はすごく穏やかな現場でした。特に印象的だったのは、中野監督やキャストの方、スタッフさんも含めて、皆さんがずっと作品について話していたことです。「私はこの人物に共感した」「この行動はどう思う?」と自然に話し合いが始まって、本当に人によって感じ方が違うんですよね。その話を聞くたびに「そんな受け取り方もあるんだ」と新しい発見があって、作品への理解もどんどん深まっていきました。とても素敵な時間でした。
◆では、今後挑戦してみたい作品や役柄はありますか?
ノンフィクションやドキュメンタリーのような質感の作品が好きなので、登場人物に憑依したり、喜怒哀楽を全面に出したりしながら、その人の人生を生きるような経験ができたらうれしいです。
◆役と向き合う中で、気持ちの切り替えはどのようにされていますか?
ずっと考えてはいますが、暗い役だからといってずっと暗いわけではなくて。私は現場が本当に大好きで、一秒でも長く現場にいたいタイプなんですが、キャストやスタッフの皆さんとおしゃべりする時間も大好きなので、皆さんに自然と切り替えていただいているのかなと思います。

◆ちなみに、本連載の動画では「一人旅で韓国に行きたい」とおっしゃっていましたが、一人時間は好きですか?
「一人○○」結構好きです。一人ご飯も行きますし、一人映画も行きます。もちろん友達とワイワイ過ごす時間も好きなんですが、一人時間は苦にならないほうですね。一人旅はまだ実現できていませんが、いつか行ってみたいと思っています。
◆最後に、映画を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。
この作品は、登場人物それぞれが違う形の愛を抱えながら、悩み、もがき、生きています。だからこそ、誰に感情移入するか、誰に共感するかは、見る方によってきっと違うと思います。映画をご覧になった後は、この作品で感じた思いを大切にしていただけたらうれしいです。そして「私はあなたを知らない、」というタイトルに込められた意味や、その先にある真実も、ぜひ劇場で受け取っていただけたらと思います。ご家族やご友人、大切な方と作品について語り合いたくなるような、そんな映画になっていたらうれしいです。
プロフィール
●はやせ・いこい…2007年6月6日生まれ。千葉県出身。主な出演作はドラマ『サバ缶、宇宙へ行く』、映画「違国日記」など。映画「見上げてごらん」が10/30(金)、主演映画「呪いのスマホ」が11/13(金)公開予定。
作品情報
映画「私はあなたを知らない、」
現在公開中
●photo/干川 修 text/山口昭子 styling/佐々木翔 hair&make/坂本志穂









