【インタビュー】舞台「銀河英雄伝説」スペシャルインタビュー

特集・インタビュー
2013年06月27日

 2011年の「銀河英雄伝説 第一章 銀河帝国篇」から満員御礼が続く人気舞台「銀河英雄伝説」の8作目「初陣 もうひとつの敵」に出演する3人に、まずは稽古開始前の心境などを語り合ってもらいました。
 舞台で共演経験のある間宮さん&橋本さん、同じ事務所の先輩・後輩でもあまり接点のなかったという田中さん&間宮さん、この日がほぼ初対面だという橋本さん&田中さんによる座談会の行方は!?

 

“初陣”組の“もうひとつの敵”はカタカナ!?

――間宮さんは2012年秋上演の「輝く星 闇を裂いて」、2013年3月の「第三章 内乱」に続いて3作目のラインハルト役ですが、ほかのお2人は初の“銀英伝”になりますね。

間宮 はい、これまでの舞台にもキルヒアイスとヤン・ウェンリーは出ていたけれど、キャストが違う分、全く違う舞台になると思いますし、僕も新しく作らなくてはと思っています。

田中 前回の「内乱」を見たよ。俺はそこで初めて「銀英伝」の世界に触れたんだけど、約2時間半あっという間で、間宮のラインハルトがすごくハマってた。

間宮 ありがとうございます(笑)。

田中 正直、あの完成された中に俺がヤン・ウェンリーとして入ってどうなるんだろうって思うんだけど…。

橋本 キルヒアイス役の僕もです。台本を読ませてもらったんですが、今回の「初陣」は、祥太朗がずっと出ずっぱで、それに伴って僕も出たり引っ込んだりが多くて。

間宮 常に一緒にいますから、キルヒアイスとラインハルトは。

田中 それに比べたら僕は体力的に楽なのかな、帝国軍じゃなくて同盟軍側だから。

間宮 そうですね。

田中 稽古でも本番でも、そういうポジションに立つのは初めてで、みんなを客観的に見ながら舞台を作れるのかもしれないって思うとそれはちょっと楽しみなんだよね。舞台自体も今まで僕がやってきた芝居と全然違うので、この舞台は僕にとっても“初陣”だと思う。

間宮 おー!

橋本 タイトルに掛けてきた!(笑)

間宮 台本読んでみて、せりふ、難しくなかった?

橋本 難しい…。俺、カタカナ弱いんで、まず人の名前が入ってこないんですよ! ちっちゃいュとかャとかもう…何!

間宮 やっぱり最初はそこからだよね(笑)。

田中 本当に全部手探りですね。とりあえず、僕も橋本くんと一緒で、まずあの、全然、全然、本(台本)が入ってこないです。全然。

橋本「全然」何回言うんですか(笑)。とりあえずせりふや全体を完璧にしてから、僕は祥太朗がよく見えるように立ち位置を決めて、ポジションもうまく取っていければいいなって思ってます。

田中 ていうか、この間(「第三章 内乱」で)キルヒアイス死んじゃってなかった?

橋本 そうなんですよ(笑)。

間宮 この前の「第三章 内乱」は、僕たち(ラインハルトとキルヒアイス)が21歳だったんです。その前(「輝く星 闇を裂いて」)が18歳で。今回はさらに時代を遡って、もっと若い16…だったかな。

橋本 ラインハルトたちがまだ歴史の表舞台に登場する前を描くんだよね。

間宮 うん。演出の大岩(美智子)さんが、これまでみたくド派手にやるよりも、“まだ何者でもない”人間同士の心模様を綿密にやって行きたいと仰っていたので、そういう意味でも前回、前々回とは全然違うものになると思います。

帝国軍キャストにも同盟軍&ヤンが大人気!?

間宮祥太朗

――軍事戦略や政治などの歴史的な要素のいっぽう、個性的なキャラクターたちの群像劇も魅力の「銀英伝」。それぞれの登場人物や陣営に、個人的にどんな印象を抱きましたか?

橋本 僕はまだ演る前なんで…。完全に「帝国軍派」って言いたいところなんですけど…。

間宮 ふふふふふ(笑)。

橋本 原作を読んだ今の段階では、同盟軍に気持ちが寄ってるのかなー。ヤンの、戦争なんてせずにずっと史料室にこもっていたいのに勝てちゃう天才だからずっと雇われて悩んでる…みたいなのはかっこいいよなって。でも稽古をやっていくうちに「キルヒアイスが一番です!」って、言いたいですね。

間宮 僕も、見てて「いいな」「こういう人好きだな」って思うのがヤンで、自分にないものを持ってて「うらやましいな」って思うのがキルヒアイス。それで、「自分に似てるところがあるな」って思うのが、演じてるからかもしれないけど、ラインハルトですね。

田中 何かヤンが大人気ですね(笑)。俺はまだ、あれだなあ、(稽古前で)自分まだヤンも作れてないから、どれがどうっていうのはちょっと難しいかも。

 

間宮祥太朗VS橋本淳…特別な距離感の障壁!?

 

――そんな中、先ほどパンフレット撮影で初めて衣装を着てみて、いかがでしたか?

田中 まだ恥ずかしいですね。僕はフィクションであればあるほど、自分の中でリアリティを持って芝居したいタイプなんですが、そういう意味ではまだ馴染んでないというか、馴染んでないどころの騒ぎじゃなくて(笑)。

橋本淳

――同盟軍の制服、お似合いだと思うんですが…。

田中 あぁ、はい。鏡を見たら自分でも「ハーイ、こんにちはヤン!」みたいな感じでおどけることもできましたけど(笑)、実際これで“芝居”をするって考えると、自分の中ではまだまだ時間はかかるかなって感じです。

――帝国軍の制服を着た橋本さんはいかがでした?

橋本 僕もまだ借りてきた猫状態なので、この衣装がうまく馴染んでいけるように、器として大っきくいないとやばいなって…。でも制服を着るとやっぱり引き締まるので、スイッチのオンオフが入りやすいかなとは思います。

間宮 ていうか、俺たちは何か、衣装そのものよりも昨日のスポット撮影のときが…。

橋本(何のことか分かって)…ごめんね、俺がまだなじんでないんだよね(笑)。

間宮 あの…別に愛ではないんですけど、ラインハルトとキルヒアイスってやっぱり特別な距離感なので、写真を撮るときもかなり近くなるんですよ。

橋本 ほんっとに近かった~!(しみじみ)

間宮 昨日とかいきなりこんくらいの距離感(10センチくらいの距離)で撮ってて、まあその距離感で撮ること自体っていうよりか、まだ何か、ちょっと…分かんない(笑)。

橋本 うん(笑)。

田中圭

間宮 何かよく分からないけどすごい恥ずかしかったですね。特にあっちゃんと僕は今年の初めに「飛龍伝」という舞台で共演していて、そこでは僕があっちゃんをいじめる関係だったんで。それがこんなに早く、この距離感での再共演になったので、まだラインハルトとキルヒアイスの何かその距離感には何か壁がちょっとあるかなって。稽古でこの恥ずかしすぎる距離感を早く…恥ずかしさから抜け出してから芝居を作ることになると思うんで(笑)。

田中圭VS間宮祥太朗…同じ事務所同士で一触即発!?

――舞台上では敵同士ですが、楽屋裏はどんな雰囲気になりそうですか?

間宮 圭さんとは僕、初めてだから分からない…。

田中 え、もしかして間宮は稽古中、ラインハルトみたく俺様になるの?

間宮 全っ然ならないです。

田中 よかった。だって俺…楽屋とか稽古の合間とかに、間宮がラインハルト口調で話しかけてきたら多分気になると思うから。

間宮橋本(爆笑)

田中 今回みたいに世界観が日常とかけ離れてると、引きずりにくいのもあるのかもね。

間宮 はい。前回の公演でも、特にオーベルシュタイン役の貴水(博之)さんとか恐ろしいほどギャップがありました(笑)。すごく冷静で冷酷な役なのに、裏ではあったかくて、全体的に笑いが絶えない感じでしたね。だから僕も別に、圭さんと対抗しようとは思ってないので…。

田中 思ってないの!? 俺、バチバチだよ!

間宮 !?(笑)マジっすか!

田中 うそうそ(笑)。

橋本 …僕はねえ、稽古中いいお酒が飲めればそれでいいんですよ(笑)。

田中 あー、僕、基本的に飲んでてもあんまりお芝居の話しないタイプなので、そういうふうになんなければ行きたいですね。

橋本 そっちなんですね?(笑)

田中 いずれにしても、間宮君的にはすごくやりにくい稽古場になるんじゃないかなと思うんですけど。

間宮 それ言うんですか!?(笑)

田中 だってさ、自分の主演舞台に後から急に先輩が入ってくるっていうのは、俺、考えただけで絶対やだもん!

間宮橋本(爆笑)

田中 ほんとやだ俺だったら! 間宮は事務所の後輩だけど、まだあまりしゃべったことのない後輩なので(笑)。

間宮 はい(笑)。

田中 だからかわいそうだなとは思うんですけど、まあ仲良くやりたいと思います!

間宮 …圭さん俺、あと2週間くらいで二十歳になります。(※取材時)

田中 あ、おめでとう! まだそんな若かったか! じゃあお酒行けるか。

まだ何者でもない――銀英伝の“ザ・ビギニング”

 

――既に7作上演されている人気シリーズですが、今回初めて見に行こうかなと思っている方にもぜひPRを。

間宮 そっか、キャストが変わるってことは、これまでのお客さんのほかにも、新しく見る人もいっぱいいるってことですね。

橋本 そうだね。全く原作知らない方の中には、現段階の僕らみたく(笑)、名前のカタカナの多さで引っかかる方もいるとは思うんですけど、こういう大きな世界観の話って最近あんまりないので、非日常的な世界に浸ってもらえるよう完璧に構築して、何かしら皆さんの心を動かせたら役者として本望ですね。

田中「銀英伝」の世界観の中に入りつつ、ヤンを現実に寄せるというか…僕はリアリティのある芝居のアプローチをやってしまうんで。面白くなると思いますし、面白くしなくちゃいけないと思ってます。俺が入ることによって間宮のラインハルトにとってもいい影響があればいいなと。

間宮 はい。まだ稽古に入ってないのでどうなるかわかりませんが、今回は銀英伝の始まりを描くということで、まだ一度も見たことのない人にも入りやすいと思いますし、今までの舞台の中でも特にお客さんの身近に感じられる、見やすい作品になると思います。ぜひご覧ください。

 

●取材/門脇弥沙

 

公演情報

【原作】 田中芳樹 「銀河英雄伝説」シリーズ(創元SF文庫刊)
【脚本】 川光俊哉
【演出】 大岩美智子
【出演】ラインハルト・フォン・ミューゼル:間宮祥太朗
ジークフリード・キルヒアイス:橋本淳

アンネローゼ・フォン・グリューネワルト:白羽ゆり
ウォルフガング・ミッターマイヤー:根本正勝
オスカー・フォン・ロイエンタール:藤原祐規

シドニー・シトレ:三上市朗
グレゴール・フォン・クルムバッハ:岸祐二

ジャン・ロベール・ラップ:三上俊
グレーザー:鈴木健介

シュザンナ・フォン・ベーネミュンデ:広田レオナ

ヤン・ウェンリー:田中圭

ナレーション:屋良有作(アニメ「銀河英雄伝説」のナレーション)

舞台「銀河英雄伝説」オフィシャルサイト ポータル(http://www.gineiden.jp/
Copyright (c) 2010 舞台「銀河英雄伝説」実行委員会.All Rights Reserved.

PROFILE


間宮祥太朗
まみや・しょうたろう●1993年6月11日生まれ。神奈川県出身。O型。ドラマ『スクラップ・ティーチャー~教師再生』『ふたつのスピカ』『ヤンキー君とめがねちゃん』『花ざかりの君たちへ イケメン★パラダイス2011』、バラエティ『戦国鍋TV~なんとなく歴史が学べる映像』、舞台「ハーパー・リーガン」(長塚圭史演出)、「露出狂」「飛龍伝」(ともに中屋敷法仁演出)、映画「希望の国」(園子温監督)などに出演。


橋本淳
はしもと・あつし●1987年1月14日生まれ。東京都出身。A型。ドラマ『WATER BOYS2』、『ちりとてちん』、『戦国★男士』、『リアル鬼ごっこTHE ORIGIN』、舞台「レシピエント」(G2演出)、「温室」(深津篤史演出)、「阿呆の鼻毛で蜻蛉をつなぐ」(河原雅彦演出)、「飛龍伝」(中屋敷法仁演出)、「耳なし芳一」(宮本亜門演出)、映画「風が強く吹いている」などに出演。
2013年11月13日(水)~12月1日(日) 新国立劇場 中劇場「ピグマリオン」に出演予定。



田中圭
たなか・けい●1984年7月10日生まれ。東京都出身。O型。ドラマ『WATER BOYS』『ホームレス中学生2』(主演)、『魔王』、『おひさま』、『私が恋愛できない理由』、『負けて、勝つ』『ドクターX~外科医・大門美知子~』、NHKドラマ10『第二楽章』、映画「包帯クラブ」、「凍える鏡」(主演)、「相棒シリーズX DAY」(主演)、「図書館戦争」「サンゴレンジャー」、舞台「芸人交換日記」、「幻蝶」「鎌塚氏、すくい上げる」などに出演。