番組Pが語る『SHOWチャンネル』の作り方「櫻井さんは頼もしい局長です」

バラエティ
2021年02月20日

『1億3000万人のSHOWチャンネル』

1月にスタートした櫻井翔司会の新バラエティ『1億3000万人のSHOWチャンネル』(日本テレビ系 毎週(土)後9・00)が話題になっている。同番組では、芸能人、文化人、アスリートなど各界の著名人が、長年抱いていたコンプレックスの克服や、壮大な実験&チャレンジ企画を実行。局長である櫻井自身も苦手なバック転に挑戦するなど、体を張った姿を発信している。この番組作りにまつわる裏話を、國谷茉莉プロデューサーに聞いた。

「未来を切り拓き続ける櫻井さんは頼もしい局長です」

今までの手法とは違う作り方

「みんなの“やりたい”で作る放送局」というのが、この番組のコンセプトです。ゼロから立ち上げる誰も見たことのない番組だったので、放送前はとてつもない緊張感がありました。ですが、初回放送からたくさんの反響を頂いていて。長く続く番組になるよう、ますます気を引き締めています。
今はYouTubeを代表とする動画サイトやSNSにいろいろな動画があふれています。特に若い世代の方は、自ら企画して動画を撮影、配信して楽しんでいる時代。今一度テレビのコンテンツで、携帯で動画を見ている世代が熱狂してくれる番組って何だろうと考えました。スピード感、何を見せるかの具体性、企画のチャレンジ感、いい意味での不完全性…そこに勝負する番組にしようと思いました。そして、作り方も今までのテレビの手法とは少し変えてみようと。例えば櫻井さんのバック転企画の際に、本人が練習の合間に定点カメラに近づいて話しかける場面がありました。誰でも気軽に動画を撮って発信できる時代だからこそ、照明が当たる中でスタッフが仰々しくカメラを構えたりしない映像があったりしてもいいし、その映像のつなぎも“今っぽさ”を意識したりして。時代に臨機応変に、親しみやすい番組でありたいなと。

“できないこと”に挑んだ局長

バック転企画に関しては、櫻井さん自身が“今やりたいもの”として力強く挙げてくださったことからスタートしました。この番組に懸ける、櫻井局長ならではの意気込みがそこにはあって。「できないことができるようになったら夢がある」「この年齢で頑張る姿やそのプロセスから、子供だけではなく同世代の方、大人の方にも希望を与えられたら」と、自らにあえて負荷をかけた企画を提案してくださいました。年末年始はご存じのとおり、嵐の皆さんは多忙を極めていました。それでも、櫻井さんは何に対してもとにかく全力で取り組んでくださる方。昨年11月から1か月にわたり、少しでも時間が空けばバック転の練習に時間を割いて下さいました。「毎回どんどん先生の補助が弱まっていくから怖い」とおっしゃりながらも、日々の挑戦を止めることはなかったです。前回はできたけど今日はできない…誰だって“できない”部分を見せることは勇気がいると思いますが、それでも、あえてこのタイミングで、新番組に向けてできないことにチャレンジしてくださいました。

“宇宙との交信”を生んだひと言

もう一つ、初回で放送した宇宙飛行士の野口聡一さんとの交信も、「宇宙に興味がある。宇宙飛行士の訓練を見てみたいんだよね」という櫻井さんのひと言がきっかけでした。その言葉がなかったら、野口さんの企画は生まれていなかったと思います。何かを頑張ることで、面白いこと、人の心を動かすものが生まれるのであれば、私たちはその限界を目指したいと思っています。同じベクトルで、櫻井さんも局長として番組を動かしてくださっています。年末のクリスマスの夜中の2時に、野口さんのいる国際宇宙ステーションと中継を結んで。「こんな壮大なクリスマスプレゼントってある?」「子供たちに楽しんでもらえるといいな」と企画に対する愛情たっぷりのコメントまで残してくださいました。

亀梨さんと平野さんにも感謝

番組では毎回“企画担当ゲスト”として、ゲストの方にも「やりたい」企画を実行していただいています。2回目の放送では、亀梨和也さんや平野紫耀さんにご登場いただきました。平野さんのやりたい企画は「サバイバル」! 寒い時期の相当過酷な環境でしたが、“サバイバル本などに書いてあるサバイバル術が本当にできるか試したい!”と、体当たりでロケをしてくださいました。ロケ当日は記録に残るほど風が強く、火をつけようにも魚を突こうにも荒れ狂った天候で。想像とは違いハプニング満載な場面になっても「まだやれます!」と挑戦し続け、人を笑顔にさせる平野さんに感服しました。亀梨さんは、「背面キャッチで1試合分アウトを取りたい」というガンバレルーヤのまひるさんの企画に参戦いただきました。バッターをお願いできないかとオファーしたら、快諾してくださって。『Going!~』の生放送から『レッドアイズ~』撮影前までの隙間に、27アウトになるまで194本もノックしてくださいました。これまた企画への愛と責任感に頭が下がりました。

豊かな番組を発信し続けたい

今、視聴者の皆さんに向けても「やってみたい企画」「見てみたい企画」を公式サイトなどで募集しています。1月中旬の段階で既に数万件の企画の応募があって、櫻井さんとも「本当にうれしいね」と話をしていました。2月上旬より、そんな皆さんが応募して下さった企画を芸能人の方に実行していただく“視聴者企画”を放送し始めました。「みんなで作る放送局」というコンセプトが文字通り皆さんの企画が種となり実となり、一緒に番組を作っていけたらこれ以上うれしいことはありません。
そしてやはり、櫻井局長の「やってみたい」「見てみたい」の気持ちで番組が力強く前に進めているのは、本当にありがたいことです。局長は「これからもさまざまなことに挑戦したい!」と1月25日に39歳のお誕生日を迎え、番組でもお誕生日企画を実行。自力でバースデーケーキを焼いてお祝いすることに。バック転に続き「人生初」のイチからのケーキ作りは、作り方の動画や本を見ることなく、自らの取材を基にメモ&カメラを片手に挑戦。粉を振る、イチゴを並べる、うまくいかない…「今までひた隠しにしてきた一面がどんどん暴かれていく!」と笑ってらっしゃいました。でも、番組を通じて“見せたことのない自分”を出してくださるその姿勢に、新しいステージを歩み出した櫻井さんの強い思いを感じます。「やりたい」って、前向きだけどすごくパワーがいること。だからこそ、明日何があるか分からない時代に立ち上がったこの番組では、「やりたい」という情熱があるからこそ動く“底抜けなパワーと笑顔”を全面に出していけたらと思っています。櫻井さんは計り知れない熱意で、未来を切り拓き続ける方。私たちも、そんな局長のやまない好奇心や探究心とともに、豊かな番組を発信し続けていけたらうれしいです。「やりたい」と何かに向き合えることは、日々を積み重ねていく上ですてきなことだなと、あらためて思います。

<プロフィール>
國谷茉莉●くにや・まり…05年日本テレビ入社。情報・制作局プロデューサー。過去担当番組に『嵐にしやがれ』『24時間テレビ43』『世界まる見え!テレビ特捜部』など。現在は『ニノさん』なども手がける。

『1億3000万人のSHOWチャンネル』
日本テレビ系
毎週(土)後9・00~9・54