ユナク(超新星)インタビュー「常に新しい自分を見せていきたい」ミュージカル「RENT」

特集・インタビュー
2017年05月09日

超新星のリーダーとして活動する傍ら、俳優としてもドラマ、映画、ミュージカルなどのオファーが引きも切らないユナクさん。そんな彼が自身のターニングポイントの1つに挙げる作品が、2015年に出演したミュージカル「RENT」。この夏、約2年ぶりとなる公演で再びロジャー役を務めることが決定し、瞳を輝かせながら今の心境を存分に語ってくれました。


お客さんの笑顔を見たらもっと幸せな気分になれる

ユナクインタビュー

◆元ロックミュージシャンのロジャー役を再び演じることになったときのお気持ちは?

もうめちゃくちゃ楽しみです! 前回はすごく緊張したんですが、今回は自分らしくステージに立って、また違ったロジャーをお見せしたいと思っています。「ユナクのロジャーは最高だね!」って言っていただけるように死ぬ気の覚悟で頑張りたいです。

◆同じ作品にもう一度出演を決めたというのは、やはりそれだけ思い入れがあるからでしょうか?

僕が経験した中で、やればやるほど難しさを感じた舞台が2つあるんです。1つは「INTERVIEW」という韓国ミュージカル。そしてもう1つが「RENT」のロジャー役。どちらもすごく苦しんだ作品だったので初めて出演した当時は「もう二度とやらない」なんて言ってたんですけど、千秋楽が過ぎると「もう一回やりたいなぁ」っていう意欲が湧いてきて。とくに「RENT」に関してはもっともっと作品の素晴らしさを伝えたいっていう気持ちがずっと心の中にあったので、こうしてまたオファーを頂けたときはすごくうれしくて、喜んで引き受けました。

◆新旧のキャストによってまた新しい「RENT」に生まれ変わりますね。

本当に全然違うと思います。ストーリーを引っ張っていくのはマークとロジャーの役目だけど、「RENT」はどのキャラクターにもきちんと見せ場があって、その中でもコリンズ、エンジェル、モーリーンという個性的な3人の存在がすごく重要で。今回はその3役に新キャストが加わるので、前回とはまた違ったものになりそうです。ベニー役には同じ韓国出身のNALAW君が新しく入ったのでそれも楽しみだし、僕も先輩としてちゃんとしなきゃっていう緊張感がありますよね(笑)。NALAW君とは何度か会ったことがあって、そのときは悩みを打ち明けてくれたり、いろんな話をしました。「RENT」の出演者は本当に実力のある人がそろってるから、NALAW君も初めは緊張しちゃうかもしれないけど、僕もその気持ちがよく分かるから「大丈夫だよ」って言ってあげたい。せりふのイントネーションにも苦労するとは思うんですけど、お互いに協力しながら頑張りたいです。

◆2年前の「RENT」でユナクさんにお話を伺った際、「外国人であることを感じさせないくらい完璧な発音の日本語で演じたい」と力強く語っていたのが印象に残っています。

お客さんは貴重な時間と貴重なお金を使って見に来てくださるから、演じる側としても責任を感じますよね。ただ、100人いて100人全員を満足させるっていうのは、どんな役者さんにも難しいと思うんです。なぜなら、お客さんそれぞれ求めるものが違うから。僕の日本語での演技を見たお客さんの中にも、イントネーションに違和感を持つ方や、満足できないという方もいらっしゃるかもしれない。でも、僕もブロードウェイのミュージカルを見て、英語が何も分からなくても笑えたり涙が出たりする。それは俳優の人たちが心を持って演じてくれていることが伝わるから、満足できると思うんです。だから、僕も毎公演心を込めて演じることを大切にしたい。そして、お客さんがその思いに気づいてくれたらいいなと思ってます。

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◆前回の「RENT」で何か悔しい思いをしたことはありましたか?

結構自分に対して厳しくしていたのでほぼミスはしなかったんですけど、1回だけありました! マーク(村井良大)に対して、「おまえはカメラを回してるだけじゃないか!」と非難するシーンがあるんですけど、村井君の目を見たら心が揺れてしまって。マークに説得されちゃいけないシーンなのに、説得されちゃって、自分でもびっくりして「おまえは…」でせりふが飛んじゃったんです。「おまえは!…だからおまえは!」って“おまえ”を3回ぐらい繰り返し叫んでやっと思い出して(笑)。僕はナチュラルな演技が好きなので、せりふが飛んでもそのときの感情でしゃべるのが好きなんですけど、そのときだけはめちゃくちゃ緊張しました。

◆劇中ではR&B、ロックンロール、タンゴなどあらゆるジャンルの曲が舞台を彩りますが、楽曲に関して印象に残っているシーンを教えてください。

「Seasons of Love」を歌うときはお客さんの顔が唯一見えるシーンで、みんなでハッピーな気持ちで歌う曲だから、お客さんの目を見て歌いたいなって。お客さんの笑顔を見たら僕たちももっと幸せな気分になれるから、今回も皆さんの顔を見ようと思ってます。逆に「I’ll Cover You (Reprise)」のときは見れないんですよ。お客さんがみんな泣いてるから、そのエネルギーをもらうと自分まで泣きそうになって歌えなくなっちゃうから。

◆昨年12月には「RENT」の20周年を記念してオリジナル演出版の来日公演がありましたが、ご覧になりましたか?

もちろん観に行きました! 日本版とはセットが違って、あと俳優の皆さんに余裕があるなと感じました。「RENT」って結構流れを大切にする舞台なんですけど、公演中も喉が渇いたら水を飲んだり、汗を拭いたり俳優の方が結構自由で(笑)。当然歌の実力もハンパじゃないし、本当に素晴らしかったんですけど、ずっと「絶対に負けてない!」と思いながら観てました。日本版には日本版ならではの情熱があるから、「絶対に負けないぞ!」「来年(2017年)は日本バージョンが世界一になるんだ!」っていう意思を持って劇場を出ました(笑)。

◆ちなみに、今回の“ユナクロジャー”はどんなビジュアルになりそうですか?

ちょうど(Wキャストの)堂珍(嘉邦)さんともどうしようかって話していて。実際に決めるのは演出のアンディ(アンディ・セニョールJr.)さんなんです。2年前も個人的には金髪にしたかったんですけど、アンディさんに「ユナクは黒髪がいいよ」って言われて、じゃあ黒髪でって(笑)。今年は茶髪ぐらいにしようかな。僕の中でロジャーって短髪のイメージだったけど、来日公演のロジャーが結構長髪だったので、それなら長さは今ぐらいでもいいのかなって思ってます。


ファンの皆さんのためにも、常に新しい自分を見せていきたい

ユナクインタビュー

◆現在、BSスカパー!で放送中の『バウンサー』では、自身初の日本人役に挑戦していますね。

初めての日本人役で、しかも僕が演じる蜂野はせりふ量が多いので、正しいイントネーションでせりふを言うことが一番の課題でした。監督さんのアイデアでドラマ版の蜂野はアメリカに20年以上住んでいたという役設定があるから、アメリカ育ちの雰囲気を出すためにリアクションをオーバーにしてみたり、日本人っぽく話すシーンもあれば、わざと変なイントネーションにしてるシーンもあるんですけど…どうですかね(笑)。

◆W主演の平埜生成さんとは初共演ですが、撮影期間中はどう過ごしていたんですか?

平埜君はすごく優しくて、めちゃくちゃ面白い人なんです。普段は静かだけど、話し掛けてくれるときのかわいらしさがたまらない(笑)。演技も上手だし集中力も高くて、とにかくプロ意識がハンパじゃないですね。お互いにケミストリーが合うから芝居もしやすくて、僕としてはすごくいいコンビだったなと思います。待ち時間にも2人で一緒にYouTubeを見たりして。今、韓国ではこんな音楽が流行ってるんだよって教えてあげたり、僕も平埜君からおすすめの音楽を聴かせてもらったりしていました。平埜君だけじゃなく、村上淳さんだったり皆さんとすごく仲良くなれたので、これからも会いたいなって思ってます。

◆蜂野はドSキャラですが、役を引きずって私生活に蜂野っぽさが出てしまうことはありましたか?

めちゃくちゃあります! 蜂野を演じてから毒舌がくせになっちゃって、ちょっと冷たくなったって言われるんですよ(笑)。みんなから「ユナク、今ちょっと冷たいよ」って。(昨年12月に出演した)ミュージカル「プリシラ」のときもドラァグクイーンの役に入り込みすぎて普段から女性っぽい仕草になっちゃってたんですけど(笑)、『バウンサー』の撮影が始まったら意外とすぐに蜂野に切り替えられました。

◆演じる役の振り幅がどんどん広がっていますね。

ファンの皆さんのためにも、常に新しい自分を見せたいんです。ドラマだと最近はクールでカッコつける役が多いから、ちょっとおバカキャラというか個性的な役にも挑戦してみたいです。わりとカッコいい役が続いてて、僕ってそういうイメージなのかなって思うんですけど、鏡で自分を見ると「え~?」ってなる(笑)。本当はカッコつけるのちょっと恥ずかしいんです。

◆では最後に、今までやったことのない仕事で今後挑戦してみたいことがあれば教えてください。

やりたかった仕事や夢は全部叶えられたから、それ以外だと何があるかなぁ。(しばらく考えて)1人でCMに出てみたいです。僕お酒飲まないのに、そんな僕でも飲めますよ~っていう感じのノンアルコールのお酒とか、マッコリのCMとかいいんじゃないですか?(笑) グループ(超新星)での出演はあっても、1人ではまだ経験がないからぜひやってみたいです!

 

■作品情報

ミュージカル「RENT」ミュージカル「RENT」

20世紀末。NY、イーストヴィレッジの古いロフトに暮らしている映像作家のマークと、友人で元ロックバンドのボーカル・ロジャー。彼らを中心に貧困、ドラッグ、HIV感染などさまざまな事情を抱えながらも懸命に生きる若者たちを描く物語。1996年の初演以来ブロードウェイで12年4 か月のロングラン、世界15か国で各国版の上演を経て、2006年には待望の映画化。日比谷シアタークリエでは2008年から4回の上演を重ねてきた。今回は、連日満員御礼で熱狂的な盛り上がりを見せた2015年公演から約2年ぶりの上演となる。

CAST●村井良大、堂珍嘉邦/ユナク(超新星)、青野紗穂/ジェニファー、光永泰一朗、平間壮一/丘山晴己、上木彩矢/紗羅マリー、宮本美季、NALAW(CODE-V)、新井俊一、千葉直生、小林由佳、MARU、奈良木浚赫、岡本悠紀、長尾哲平 ※Wキャストはアルファベット順

【東京公演】
2017年7月2日(日)~8月6日(日)
会場:日比谷・シアタークリエ(千代田区有楽町1-2-1)
料金(全席指定・税込):
S席11,500円/A席9,000円/エンジェルシート(当日抽選席)5,000円
※未就学児入場不可
※エンジェルシート(当日抽選席)は、公演日当日劇場窓口にて整理券を配布の上、
抽選にてお買い求めいただけるシートです。事前のご予約は承れませんので何卒ご了承ください

東京公演に続き、2017年8月10日(木)~27日(日)には、愛知、大阪、福岡を巡る全国公演も決定。詳細は、ミュージカル「RENT」公式HP(http://www.tohostage.com/rent2017/)まで。

 

■PROFILE

ユナクインタビューユナク…12月2日生まれ。O型。2007年に韓国デビュー、2009年に日本デビューした6人組ダンスボーカルグループ・超新星のリーダー。ドラマ『恋するキムチ』『増山超能力師事務所』、映画「無花果の森」、ミュージカル「ON AIR~夜間飛行~」「RENT」「プリシラ」「花・虞美人」など数々の日本作品に出演。BSスカパー!オリジナル連続ドラマ『バウンサー』、ラジオ「超新星ユナクの超キ超キ Love Night」が好評オンエア中。



●photo/花井透 hair&make/Kohey(Allure) styling/横田勝広(YKP)