森口博子インタビュー「“生きる力”につながる表現者でありたいと思っています」

特集・インタビュー
2021年08月04日

1985年にテレビアニメ『機動戦士Zガンダム』オープニングテーマ「水の星へ愛をこめて」で、デビューを果たした森口博子さん。その後“バラエティアイドル”というジャンルを確立し数々のレギュラー番組を持ちながらも、NHK『紅白歌合戦』に6年連続出場するなど、歌手としても活躍を続けられてきました。2019・2020年にリリースされた『GUNDAM SONG COVERS』シリーズでは累計20万枚を超えるヒットを記録し、日本レコード大賞・企画賞を受賞する中、35周年イヤーをひた走る2021年になんと24年ぶりとなるオリジナルアルバムをリリース! 『蒼い生命』と題された新作発売を記念して、過去・現在・未来への想いをじっくりお聞きしました。

◆まずはデビュー35周年イヤーということで、おめでとうございます! これまで“歌手”を続けられてきたということが、ご自身の中でも大きいのでは?

ありがとうございます。やっぱり4歳から歌手になりたくて、(幼稚園の)卒園文集にも「歌手になる」と書いた夢の中で35年も生かされ続けているというのは本当に“ありがたい”のひとことに尽きます。これもブレないファンの皆さんが必要としてくださっているからこそで、スタッフの皆さんも含めて“ファミリー”として一丸となって支えてくださっていただき、心強い環境があってこそですね。

◆ここまで続けてこられたのは、人や楽曲などさまざまな“出会い”もあったからですよね。

まさにそうなんです! 私、17歳の頃のプロフィールに「好きな言葉は“出会い”」と書いたくらいで、どの出会いが欠けても今の自分はいないということを周年ごとに実感していて。それは本当に大きいですね。2000年代に入って「CDが売れない」と言われる時代になってからも、現在までずっとレコードやCDをキングレコードで作らせていただいてきたのは、私にとって最高の財産であり、誇りであると思っています。もちろんリリースしていない年もあるけれど、歌のお仕事が途絶えた時代はなかったんですよ。

◆35年間ずっと歌い続けてこられた。

それもこんなに厳しい世界で共に戦い、守ってくれるスタッフの皆さんがいたからこそですね。そしてファンの方々も「次の新曲は?」とか「新しいアルバムは?」といつも聞いてくださるように、自分たちの中で常に“更新”してくださっていることも大きくて。アップデートされた私の作品を求めてくださっているということが、前に向かう力になっていると思います。

◆世代を超えて愛されているのも、森口さんの特徴かと思います。

そこは、デビュー曲がアニメ『機動戦士Zガンダム』の曲(※後期オープニングテーマ「水の星へ愛をこめて」)ということもあって。同世代の人だけではなく、後追いで知った若い世代の人たちも聴いてくださったり、ライブに足を運んでくださったりしているんです。さまざまなオリジナル楽曲のファンの皆さん、バラエティのファンの皆さんと世代を超えての“出会い”に恵まれていますね。

◆2019・2020年にリリースされた『GUNDAM SONG COVERS』シリーズも、その歩みと重なる部分があるのでは?

もちろんです。『GUNDAM SONG COVERS2』のほうでセルフカバーした「君を見つめて -The time I’m seeing you-」では、落ちサビのところで(原曲をリリースした)当時20代の私の歌声と今の自分の歌声を重ねている部分があるんですよ。今までファンの皆さんと一緒にいろんなことを乗り越えながら歩んできた象徴が、そのフレーズに詰まっているんじゃないかなと思います。

◆その時しか出せない声の良さもありつつ、ちゃんと経験とともに自分の“歌”を更新し続けられているのもすごいなと。

私、よくエゴサーチをするんですけど(笑)、皆さんからのコメントでも「表現力が増した」とか「すごいボーカリストになった」と言っていただけているのは、本当にボーカリスト冥利につきるというか。特にアニソンを歌っていると、やっぱり当時のままをファンの皆さんは求められるものじゃないですか。もちろん私もそこは守っていて、歌い方を崩したりはしていなくて。作品の感動と楽曲のクオリティと“1+1=2”じゃない無限大の世界を大切にしたいと思っているので、歌い方に変なアレンジを加えたりは絶対にしないんです。

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