お笑いトリオ・トンツカタンの森本晋太郎さんがTV LIFEで連載中のコラム「トンツカタン・森本晋太郎のネクストブレイク紀行」。「今年売れる」と言われ続ける中での出来事や本音が綴られた“飛躍を夢見る芸人の備忘録”をwebでも公開します。今回は、OWVの話。(TVLIFE 2025年9月3日発売号より転載)
「昨日の強敵は今日のファン」
『OWVの六本木メタメタRADIO』という、メタバース空間で行われているラジオ生配信番組に2回出させてもらったことがある。OWVは4人組のボーイズグループなのだが、所属が吉本興業ということもあってか、僕の出演回はなぜかOWVのみんながひたすら大喜利に挑戦し続けるというストロングな内容なのだ。
これだけでもなんか変なグループなのだが、さらに不思議なのが、ファンのみなさまが彼らの大喜利を見て「これなら私たちの方がおもしろい」と意気込み、対決をしているということ。なんでアイドルとそのファンたちがお笑いでバチバチなんだよ。
過去2回の対決がほぼ互角だったため、先日行われた番組のリアルイベントでついに直接対決をして白黒つける運びとなった。当時も思っていたが、どこにそんなことをする必要があるのかまったくわからない。そもそも互角ってどういうことだよ。ユーモアで拮抗すんな。
そんな熱戦を見届けるため、僕がMCとして参加させていただくことになったのだが、一番気になっていたのはお客さんたちがどうやって大喜利を回答するのか。いざ本番の客席を見渡してみると、かなりの人数が小さいホワイトボードとペンを手に持っていた。どうやら大喜利に参加したい人は道具を持参してきてほしいとお願いしていたとのこと。おそらくほとんどの人がこのためにわざわざ購入してくれたのだろう。この熱量が、OWVにとっては愛なのか鞭なのかはかなり判断に迷うところだ。
そしてここまでしてきてくれる人たちはやはり只者ではなく、
「OWVのマネージャー、もしかして忍者かも。なぜそう思った?」
というお題には「地元のことを”里”と呼んでいる」みたいなのがノータイムでわんさか出てくる。質と量の暴力にさすがのOWVも善戦しながらも圧倒されっぱなしだった。
お題ごとに僕が勝敗を決めるのだが、負けた方には激クサ空気砲を発射されるという罰ゲームが用意されていた。もちろんお題によってはOWVが勝つこともあったので、その時はメンバーが空気砲を持って客席に降りて異臭をいたるところに打ちまくっていた。最終的にどこもかしこも臭くなっているアイドルのイベントなんて本来あってはならないだろ。
まだ本業であるキラキラのアイドルとしての彼らを目の当たりにしたことはないのだが、なぜだか会うたび虜になっている自分がいる。ファンのみなさんはOWVを応援していることを誇っていいと思う。
でも、あなたたち、ちょっとだけ変だよ。
森本晋太郎
●もりもと・しんたろう…1990年1月9日生まれ、東京都出身。お笑いトリオ「トンツカタン」のツッコミ担当。プロダクション人力舎のお笑い養成所・スクールJCA21期を経て、現在はテレビやラジオで活躍中。趣味でもあるツッコミに特化したYouTubeチャンネル「タイマン森本」も好評。初の書籍「ツッコミのお作法」(KADOKAWA刊)も好評販売中!「タイマン森本 THE LIVE」アーカイブ配信販売中!