『#ノキドア』渡部篤郎&堤幸彦監督のスペシャル対談が到着「堤さんの人生観が映像にも出ている」

ドラマ
2023年08月25日
『ノッキンオン・ロックドドア』©テレビ朝日

松村北斗(SixTONES)と西畑大吾(なにわ男子)がW主演を務めるオシドラサタデー『ノッキンオン・ロックドドア』(テレビ朝日系 毎週土曜 午後11時~11時30分)より、渡部篤郎&堤幸彦監督のスペシャル対談が到着した。

松村演じる“トリック=不可能(HOW)専門探偵”御殿場倒理と、西畑演じる“動機や理由=不可解(WHY)専門探偵”片無氷雨が、ほほ笑ましくもヒリヒリする人間ドラマも紡ぎながら、数々の難事件に挑んでいく本格ミステリードラマ『ノッキンオン・ロックドドア』(原作/青崎有吾、監督/堤幸彦ほか 以下『#ノキドア』)。

W探偵の恩師であり、かつて2人に「観察」と「推論」の大切さをたたき込んだ犯罪社会学ゼミの教授・天川考四郎役で出演しているのが、渡部篤郎。

伝説のドラマ『ケイゾク』(1999年)&「ケイゾク/映画 Beautiful Dreamer」(2000年)を皮切りに、『愛なんていらねえよ、夏』(2002年)、『巷説百物語 狐者異』(2005年)、『巷説百物語 飛縁魔』(2006年)で黄金タッグを組んだ堤幸彦監督とは17年ぶり、連ドラでは実に21年ぶりに手を組み、全国のドラマファンを歓喜させている。

そんな最強の2人=渡部&堤監督のスペシャル対談が実現。「昔をよく知る間柄だからこそ、今回の再タッグで抱いた思い」や、しなやかさの中に妥協なき姿勢も垣間見える「役作りや演出でのこだわり」、そして「W主演の松村&西畑から感じたこと」などをたっぷり語り合った。

渡部篤郎&堤幸彦監督 スペシャル対談

◆今回は21年ぶりの連ドラ再タッグ。久々にご一緒されて、どんなことを感じられましたか?

堤:渡部さんはカッコいい男の代表。そのカッコよさは最初に組ませていただいた時からずっと目の当たりにしていましたし、だからこそ過去の作品ではあえて変なこともやっていただいたりしたんです。でも今回は、そのカッコいい男性がさらにカッコよくなって、年を取るとどうなるんだろう、と。それをすごく見たかったんですよ。そうしたら今回、役衣装のスーツもご自身で仕立てられて、やっぱりちょっと僕らとは異次元のカッコよさがある! これが教え子であるW探偵の精神の基本になっているという説得力も含め、とてもいい立ち位置で撮っていくことができましたね。

渡部:最近は気負わずプレーンな気持ちで現場へ行き、お芝居に挑めているかなという感覚があるのですが、実はこれが私にとっては一番難しいことでもあるんです。しかも堤さんと組むとなると、期待するところもたくさん出てくるわけです。そういったものを全部なしにして、役に徹するという点で、今回はまたひとつ”いい試練”になりました。

堤:役者と演出家という意味では、今回は本当にフラットかつプレーンな感じで臨めましたね。僕もかつては自分の思いがグワッと凝縮している時期がありましたけど、昔は渡部さんも役者としての気負いみたいなものがあって…。そんな渡部さんが当時すごくよかったんです! でも現場では、その思いに見合うような高いレベルの演技やアクションは求められない。当時はそのギャップにだいぶ苦しまれたんじゃないかなって、傍から見ていて思うんです。

渡部:言葉にはしないですが、若い頃はきっとそう思っていました。でも、それはあくまで個人の思い。作品はお客さんに見ていただいて成立するものですから、今はあまり気にしなくなりましたね。

堤:渡部さんはだんだん達観され、この10年くらいは気負わずにいろんな役や言葉を楽しめるようになっていらっしゃるのかな、という印象です。ただ、年齢と共に自然体となった今も、とてつもない存在感を放っていらっしゃる! 僕はこれが撮りたかったんです!! これはなかなか…やろうとしたってできない、スゴいことですよ。この段階で久々に組めて、本当によかったです! ちなみに、もう何年、役者をやっていらっしゃいますか?

渡部:実は、自分で何年やっているか数えたことがないんです。そこに必要性を感じないといいますか…お芝居はキャリアを積むごとにどんどん難しくなっていきますし、若い方の演じ方なども学んでいかなければいけないところがありますから。

『ノッキンオン・ロックドドア』©テレビ朝日

◆渡部さんから堤監督をご覧になって、昔と変わったと感じられた部分はありますか?

堤:どうですか? ご覧の通り、今では“じいさん”ですよ!

渡部:前から“じいさん”みたいでしたから(笑)。というのも、堤さんを見ていると、すごい人生観を持った方なんだろうなと感じるんです。その人生観が今回も映像にも出ているのではないかな、と。

堤:恥ずかしいので、もうここらへんにしといてください(笑)。

◆SNS上でも反響を呼んだ、第1話の天川教授のあいさつ「アディオス」は、台本には記載されていませんでした。あれは堤監督の発案ですか?

堤:そうです(笑)。実を言うと天川教授は、過去に僕が渡部さんとご一緒した作品にはない“初ジャンルのキャラクター”なんですよ。というのも、彼はゼミ生だったW探偵たちに「口に出して言っちゃいけないけど、犯罪とはこんなに理知的で面白いんだよ」ということを教えた“ものすごくひねくれていながらも、非常に真面目で真っ当な人間”。一つも遊べる部分がないんです! でも、やっぱり渡部さんの顔を見ていると、アイデアが降ってくるんですよね(笑)。今までの僕と渡部さんの付き合いの延長線上で、一言だけどうしても遊びがほしくなったんです! それで、あえてピンポイントで狙ってみました。

渡部:簡単なものでよかったです。なにせ大ベテランの方々ですら現場でいきなり「こういうふうにやってくれ」と言われ、戸惑われている姿を見てきていますので(笑)。撮影初日は「これまでのお付き合いもあり、言われやすい立場だから、何か来るかな…」と少々ハラハラしていましたが、「アディオス」のみで済んでホッとしました。

堤:あれはいいあんばいの「アディオス」で、僕の中でもぴったりハマりました! 実は、ちょうど今日撮影した最終回の1シーンでも言っていただいたんですよ。ただ、最終回は非常に内容が密なので、本編で使うかどうかはまだ分からず…ぜひ楽しみの1つに取っておいていただけたら、うれしいです。

◆天川教授のキャラクターは、どうやって造形されたのでしょうか?

渡部:今回は天川がこういう人間だと明確に分からせるようなシーンがあまりないんです。となると、演じる上で軸となるのは彼の人生観しかない。あまり余計なことはせず、ご覧になった方々にその人生観を感じ取っていただければラッキーかな、と思って演じています。

堤:天川は、視聴者がいろんなことを想像できる立ち位置にいる人物ですよね。あと、何と言っても最大のこだわりポイントは、渡部さんが自らオーダーして作られたスーツですよ!

渡部:もともと僕はもう少し違う感じを想像していたのですが、最初の打ち合わせで堤さんからブリティッシュ風にしてほしいと言われましたので、その線で突き詰めてみよう、と。20年来の付き合いになるビスポーク職人さんと相談し、監督のイメージを基に天川のキャラクターを意識したデザインに仕立てていただきました。生地は監督に選んでいただいたのですが、やはりこうやって考え抜いた洋服を着ると、天川として動きやすくなります。

堤:僕は天川に完璧なスタイルであってほしいと思っていたのですが、今回は渡部さんがスーツだけでなく、ネクタイや時計、眼鏡も選んでくださったんですよ。まさに渡部さんのダンディズムの結晶! 天川のイメージにもぴったりで、素晴らしいです。

『ノッキンオン・ロックドドア』©テレビ朝日

◆作品全体の演出面で、堤監督が特にこだわられたポイントも教えてください。

堤:やっぱり倒理と氷雨のキャラクターですね。今回は非常に正統派のミステリーで、この2人の筋が通っていないと成立しない話。さらに、謎を解いた先に“若い2人では見えない、もっと深いもの”も見えてくる一種の成長物語でもある。1話30分でいろんな要素を成立させるのは大変ですが、この仕事を始めて40年…今までのすべてを試されているような感じもして、楽しいです。

渡部:今回は放送枠こそ30分ですが、中身は1時間枠に相当する物語になっていますよね。

堤:そうですね。それを正味24~25分で描くため、余裕の時間は一切なく、とにかくストレートに迫っていく必要がある。そういう意味では“ドラマ作りの基本中の基本”なんです。それを70歳の手前で、もう一度やれる機会はなかなかないですから、ありがたいことです。実は「ずっと続けばいいな」と思う撮影ってなかなかないんですけど、今回はご支持があれば、ずっとやりたいという思いがあります。

◆本作の軸となる倒理&氷雨を演じるW主演、松村北斗さん&西畑大吾さんと一緒に撮影されてきての感想もお聞かせください。

渡部:お2人とも非常に品があって、人間性が美しいじゃないですか。それは今回の役柄にとって、すごく大事なことかなと思います。品というものは出したくても出せないものでもありますし、感心しています。

堤:僕は彼らの真面目さに一番信頼を置いています。なおかつ、カッコよくてかわいい希代の2人ですから、本当に撮りがいがありますね。“撮れ高(=オンエアで使える映像の割合)”なんていう業界用語がありますけど、今回はテイク1がそのまま撮れ高になるケースがほとんど。素晴らしいですよ!

◆8月26日(土)の放送から、ドラマもいよいよ後半戦へ突入します。今後の見どころを教えてください。

堤:これまで各話において、物語の縦軸としていろいろ織りなしてきたことがあります。それは少しずつしか出ていないことかもしれないし、あるいはご覧になっている方が大変気になり続けていることかもしれない。そのすべての謎が今後、解決します! なぜW探偵の倒理&氷雨は不可能担当と不可解担当に分かれ、なぜ穿地(石橋静河)は刑事になり、なぜ美影(早乙女太一)は犯罪コンサルタントになったのか。そして、なぜ彼ら4人と恩師・天川教授はそこにいて、なぜそういう発言を繰り返すのか…。最後まで見ていただけるとふに落ちる、きちんとした構図になっていますので、特に最終回は目を皿のようにしてご覧ください。よく昔から「正座して待て」と言いますが、もうそんな感じです! 見逃した人はTVerで(笑)。画面の真ん中だけじゃなく、もしかしたら端にも情報があるかもしれないので、何度かご覧になると、すべてをのみ込んでいただけると思います。で、さらに第1話に戻って見直すと味変すると思いますので(笑)、よろしくお願いします。

『ノッキンオン・ロックドドア』©テレビ朝日

第5話(8月26日放送)あらすじ

女子高生・潮路岬がこつ然と姿を消した線路下の地下通路は、人気が少なく見通しが悪い上に、防犯カメラもない“ホットスポット=犯罪多発地点”だった。実は最近、都内では連続拉致誘拐事件が発生しており、この場所でも岬がいなくなる前に児童が連れ去られていたのだ。しかも、拉致に使われた違法車両に乗っていた男と、スイミングクラブで岬を見ていた不審人物が似ていることも判明。岬の友人・高橋優花(藤野涼子)から捜索依頼を受け、行方を追っていた不可能(HOW)専門探偵・御殿場倒理(松村北斗)&不可解(WHY)専門探偵・片無氷雨(西畑大吾)は、両事件の関連性を疑う。
岬が失踪してから、すでに丸2日以上が経過。もし、2人の読みが正しければ、彼女の生存率は刻一刻と低下していく。「今この瞬間にも謎を解かないと…人が死ぬ」。倒理は一刻も早く事件を解決するため、誘拐拉致事件を捜査する警視庁捜査一課の刑事・穿地決(石橋静河)と共に、大学時代の恩師・天川考四郎(渡部篤郎)の元へ。犯罪社会学に精通した天川の“意表を突く助言”を受け、拉致されていた女子高生の救出に成功する。そこにいたのは…。

番組情報

『ノッキンオン・ロックドドア』
テレビ朝日系
毎週土曜 午後11時~11時30分

©テレビ朝日