『たとえあなたを忘れても』“好きな人の好き”にはなれなかった…岡田結実“沙菜”が見せた切なすぎる涙

ドラマ
2023年11月20日
『たとえあなたを忘れても』©ABCテレビ

堀田真由が主演、萩原利久が共演するドラマ『たとえあなたを忘れても』(ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット 毎週日曜 午後10時~10時54分)の第5話が、11月19日(日)に放送された。

ドラマ『たとえあなたを忘れても』は、夢を失った女性と記憶を失った男性が気持ちを通じ合わせる、切なくも美しいヒューマンラブストーリー。『神様、もう少しだけ』、『ラスト・フレンズ』などで知られる浅野妙子が執筆する、オリジナル作品となっている。

主人公は、音大を中退しピアニストになる夢をかなえられなかった河野美璃(堀田真由)。記憶障害のある青木空(萩原利久)に恋心を寄せている美璃は、彼の記憶を取り戻すために空の母・理佐子(檀れい)の元へ連れて行く。しかし、楽しい時間を過ごした帰り道、空は突然フラッシュバックに襲われてしまう。

『たとえあなたを忘れても』©ABCテレビ

断片的に思い出した空の記憶とは、大好きな優しい父・智也(丸山智己)が母に暴力をふるい、その後自分ともみ合い外階段を転げ落ちてしまったことだった。父は帰らぬ人となってしまい、自分のせいだったのかとパニックになった空は、その場を離れ行方不明になってしまう。

空を探そうと美璃は空の幼なじみ・藤川沙菜(岡田結実)の車に乗り、思いつく限り、ゆかりのある場所をしらみつぶしに当たる。空を探している間、沙菜は8年前のことを思い出すのだった。記憶をなくす直前、ときはバレンタインデーだった。沙菜は意を決して本命チョコレートを空に渡し告白するも、「ごめん…やっぱり俺、沙菜のことをそういうふうには見れへん。ごめん」と断られてしまう。

『たとえあなたを忘れても』©ABCテレビ

その日の夜に、空と父の事故が起こる。頭から血を流し意識不明状態の空。意識を取り戻したときには、ショックのあまり記憶をなくしていた。病院で空に「誰ですか?」と言われ傷ついていた沙菜だったが、根気よく自分や周りのことを空に教え続ける。あるとき、「ひょっとして…俺ら付き合ってた?」と空に聞かれた沙菜は、逡巡の末「付き合おうかって言われた」とうそをつく。思わずついて出た言葉は、「そうであったらいいのに」と何回も思い巡らせただろう沙菜の願望がにじみ出ていた。そこにあったのは、空の恋人になれたらという混じりけのない愛だ。うそから出た実になれという切実な願い、この哀しいうそは誰が責められるだろうか。

沙菜と付き合っていたと誤解したままの空は、沙菜とデートに行く。はしゃぐ沙菜と対比するように、どこか浮かない顔の空。デートの最後、ホテルに着いた二人。空は沙菜にキスしようとするが、どうしても気持ちが追い付かない。空は「ごめん…なんか、なんか違うっていうか。そういう気持ちをどうしても思い出せへん」と正直に告げる。ショックで目を見開く沙菜。空に二度振られた沙菜の心理を思うと胸がえぐられるようで、運命の残酷さを呪ってしまう。それでも沙菜は、「ほんまは恋人じゃなかった。私のほうがそうなったらいいなってずっと思ってただけ」と事実を空に告げるのだ。

『たとえあなたを忘れても』©ABCテレビ

ときは現代に戻り、美璃と沙菜は無事に空を発見。翌日、智也のお墓参りにて空は美璃と気持ちを通じ合わせる。ドラマの展開としては、主人公二人の恋の展開をいじらしく見守りたいのだが、そんな二人を沙菜は遠くから見つめているわけで…今回ばかりは沙菜に同情してしまう。自分が好きな人の好きな人にはなれず、そのポジションにいる美璃を沙菜はどんな気持ちで眺めていたのだろうか。

「先、帰るわ」と踵を返し去っていこうとする沙菜に、空は「沙菜、ありがとう」と投げかける。これまで「ごめん」ばかりを言われていた沙菜がもらった「ありがとう」の一言。しかし、本当にほしい言葉はもっと違うものだったはずだ。帰り道、一人運転する沙菜の瞳には当然涙があふれ頬をつたう。浄化するしかない思いの尊さが涙となり、そんな沙菜を演じる岡田の表情こそ、この回のハイライトだった。

●text/赤山恭子

番組情報

『たとえあなたを忘れても』
ABCテレビ・テレビ朝日系全国ネット
毎週日曜 午後10時~10時54分

番組公式HP:https://www.asahi.co.jp/anawasu/

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