向井理「すべての人に見ていただきたい映画が出来た」映画『いつまた、君と ~何日君再来~』

映画
2017年06月15日

124327_01_R 俳優・向井理の祖母の半生をつづった「何日君再来」を映画化した、『いつまた、君と ~何日君再来~』が、6月24日(土)に公開される。原作自体が向井の祖母から祖父に宛てたラブレターになっていることから、朝日新聞社協力により、夫婦・親子・兄弟姉妹・祖父母・孫など愛する人へ送るラブレターを一般募集。愛する人へ送る<ラブレターコンテスト>表彰式が行われ、向井、脚本の山本むつみが登壇した。

 向井が大学生のときに、祖母の手記をパソコンで打ち直し、家族や親戚と共に自費出版をして、卒寿を迎えた祖母へお祝いとしてプレゼントしたという原作を基に、向井自身が7年前から映画化を熱望し、企画にも携わった意欲作。衣食住もままならない戦後の混乱期、夫・吾郎(向井の祖父)と妻・朋子が、時代の波に翻弄されながらも、日本人としての誇りを失わずに懸命に生きる、壮大な愛の実話である。

 表彰式では、応募者の中から、向井と山本が最も気に入ったラブレターがそれぞれ発表された。まず、優秀賞に選ばれたのは、「究極のコーヒーを入れてくれたお父さんへ」(原文は下記に記載)という手紙。「このお手紙は読むたびに涙が出てきます。朋子さんが吾郎さんを表した言葉に『そばにいてくれるだけで満たされる人』という言葉があります。この手紙のお父さんもそんな存在なんだと感じました。とっても素晴らしい手紙でした!」と山本が語ると、向井も「手紙に優劣はないですけれど、愛情がすごく伝わってきて、また親子の関係性が伝わってくる、とても素敵な手紙でした」と感想を述べた。

 続いて、最優秀賞が向井から発表された。とある男性が妻に向けて書いた「10数年後、私の面倒を看ている妻に」という手紙。受賞者はこの手紙について、「親父は80歳から認知症になって、本人も大変だったんでしょうけど、介護する家族もとっても大変でした。でも(認知症に)なったら、もうしょうがない!お願い!という気持ちで書きました」とコメント。向井は、この手紙を選んだポイントとして「文面が、奥さんに語りかけるように書かれていて、それだけで情景が浮かぶようなお手紙でした。好きとか愛してるという言葉はないですが、お互いに思い合っている夫婦で、お二人の姿が浮かぶ素敵なラブレターだと思い、こちらを選びました」と魅力を語った。

 その後、イベントは映画に関する質疑応答へ。吾郎から朋子に手紙を贈るシーンを敢えて脚本に入れたことについて、山本は「手紙のシーンはこの映画の肝。夫婦が築いた年月が凝縮されるシーン、吾郎の思いを込めたシーンで、大事にしたかったんです。手記を基に脚本を書いていきましたが、手紙のシーンは自分で読んでいても泣いちゃいました」と強いこだわりがあったと告白。向井は「吾郎から朋子に贈った手紙のシーンは、実は尾野さんは本番の前まで何も書かれていない白紙でテストを行い、本番だけ本物の直筆の手紙を観て演技したそうですが、泣きすぎて撮影がストップするほどだったそうです」と撮影秘話を披露した。

 また、これまでにもらった手紙のエピソードを聞かれた向井は「以前に番組のロケで伺った農家の方とは、ずっと文通を続けています。また、あるドラマの撮影では女性のAP(アシスタントプロデューサー)さんから手紙を頂いたことも。また一緒にお仕事しましょうと書かれていましたが、お互いの目標にもなるし、頑張れるなと思いました」と仕事で出会った人々との手紙での交流を明かした。

 このイベントを自ら希望していた向井は最後に「ありがとうございました。今日のイベントはドキドキしていましたが、とても温かいイベントになりました。映画を象徴するイベントになったなと思います。すべての人に見ていただきたい映画ができました。今日は本当にありがとうございました」と観客に感謝を伝え、イベントは幕を閉じた。

<優秀賞>
お名前:白田惠(しろた・めぐみ)さん
性別:女性
テーマ:究極のコーヒーを入れてくれたお父さんへ

■ラブレター
お父さんあれは何年前?究極っていう言葉がブームの頃。私が結婚したばかりだから30年も前になるのかな。究極のコーヒーをご馳走してあげるっていたずらっぽく笑ってコーヒーを入れてくれたこと覚えてる?お客様用のカップを温めて、豆を手回しのミルで挽いて。真面目な顔でアルコールランプに火をつけてサイフォンで入れてくれたよね。あのコーヒーは本当に究極だったね。
15年前、お父さんが倒れて集中治療室で意識が戻らなかった1ヶ月間はコーヒーを断って、毎日お祈りしてたんだよ。目を開けた時、コーヒーもう飲んでいい?って涙目で聞いたら不思議そうに頷いてたね。右手でペンが持てた時、何もしてあげられないって悲しい目で書いてたね。お父さんは話せなくても動けなくてもいてくれるだけで私は幸せなんだよ。だからもう少し私の我儘きいて今日も目を開けて1日を無事過ごしてね。お父さん大好きだよ。

<最優秀賞>
お名前:高橋誉史信(たかはし・よしのぶ)さん
性別:男性
テーマ:10数年後、私の面倒を看ている妻に

■ラブレター
父親がそうだったように、家系上80歳を過ぎると認知症が始まる。それはかなりの確率でやってくる。だから65歳の今から謝っておきたい。すまん。
そのかわりと言ってはなんだが、宝物がある。へそくりをちびちび貯めた90万円の預金通帳、残念ながら目標の100万円には届かなかったけど、仲良し三人女子旅の足しにしてくれ。ギターハードケースの小物入れには、金の延べ板300gが隠してある。知らなかっただろ。将来一人になっても、子供に見せびらかせば少しは優しくして貰える。
それに照れ臭いけれど、恋愛時代に君から貰ったラブレターがとってある。これはオレの宝物だけれど、もう一度読み返して若かりし頃を思い出せば少しは気が晴れるのでは。そして、あの時楽しかったね、と話しかけてくれ。もしかしたら、ニコッと笑い返すかもしれない。それは、今までありがとう、という心の合図だよ、きっと。

『いつまた、君と ~何日君再来~』
6月24日(土)より、TOHOシネマズ 新宿他全国ロードショー

出演:尾野真千子、向井理、岸本加世子、駿河太郎、イッセー尾形、成田偉心/野際陽子
原作:芦村朋子『何日君再来』
主題歌:「何日君再来」高畑充希(ワーナーミュージック・ジャパン)
脚本:山本むつみ
監督:深川栄洋  
製作:「いつまた、君と ~何日君再来~」製作委員会
配給:ショウゲート  

<ストーリー>
どんなに貧しくても、父ちゃんが私の誇りだった。私、やっぱり父ちゃんがいい。
81歳になった芦村朋子(野際陽子)は、不慣れな手つきでパソコンに向かい、亡くなった夫・吾郎との思い出を手記として記録していた。しかし、朋子は突然倒れてしまう。そんな朋子の代わりに、孫の理が手記をまとめていくことに。そこにつづられていたのは、今まで知ることのなかった祖母・朋子(尾野真千子)と祖父・吾郎(向井理)の波乱の歴史と深い絆で結ばれた夫婦と家族の愛の物語だった。そして、その中で初めて語られる朋子の子供たちへの思い――。その手記は、進路に悩んでいた理(成田偉心)に、そして朋子に対してずっとわだかまりを抱いていた娘・真美(岸本加世子)の心に変化をもたらしていく――。

©2017「いつまた、君と ~何日君再来~」製作委員会