北原里英「人を殴るよりは、抱きしめるほうが得意」映画「サニー/32」公開中

エンタメ総合
2018年03月01日

161004_01_R 現在公開中の映画「サニー/32」の主演・北原里英と、白石和彌監督によるスペシャルトークイベントが行われた。

「犯罪史上、最も可愛い殺人犯」と呼ばれた11歳の女の子“サニー”の信望者である2人の男に拉致・監禁をされた中学校教師と、サニーを求めて雪深い山小屋にやってくる狂信的な信者たちの驚愕の物語を描いた本作。北原演じるのは、24歳の誕生日に突然拉致され、ネットで神格化された“サニー”としてアイドル的存在になっていく主人公・藤井赤理。

 トップアイドルが偶像=ネットアイドルを演じることで、北原と赤理がリンクしていく展開は、北原自身「撮影が進むにつれて(現実と虚構が)あいまいになっていった」と語る。共演者とは「不思議な絆が生まれていった」といい、「家族のような絆が生まれていっている。それは、共演者の皆さんに対する愛というか、どんどんいとおしくなっていった」と共演者と疑似家族になることも現実と虚構の境界線があいまいになった原因だと述懐した。

 白石監督は「実際のアイドル活動とシンクロするのは、当然北原さんを主演に迎えるにあたり、そういう風に見えたほうがいいと思った。なので、事前の準備として、アイドル活動を全力でやってほしいと伝えた」と、現実と虚構をあいまいにさせることが狙いだったことを明かした。

 拉致・監禁後、赤理が覚醒することで一気に展開が変わる本作。覚醒するシーンでは「抱きしめる」行為があるが、白石監督は「赤理の過去の設定はあまり作っていないが、抱きしめられることがない痛みを知っているという過去を持っているとして、赤理には抱きしめてほしいと思って」と裏設定を明かした。

「抱きしめる」ことは、北原にとっては「普段NGT48で後輩たちと先輩の私という構図なので、抱きしめることが日常茶飯事。人を殴るよりは、抱きしめるほうが得意」といい、「演じる上では意識はしなかった」というが、白石監督からは「相手の個人を認めてから抱きしめるように」というアドバイスから、北原流の「抱きしめ方」を確立している。

 本作の魅力の1つは、赤理が被害者・偶像・聖母と立ち位置が展開し続けることが多面的な物語になっていること。本当の赤理は一体どの瞬間か?という質問が投げられると、赤理を演じた北原自身は「抱きしめてるとき」ときっぱり。観客にも同様の質問を問うと、均等に手が上がる。「解釈がいろいろある映画だと思うので、どれも正解だと思いますね」と観客に解釈を委ねた。

 最後に、北原は「サニーに一番救われたのは私じゃないかなと思います」と明かし、「見た人の一筋の光になる映画になってくれたらいいですし、非日常を求める方のスパイスになってくれたらいいなと思います」とアピールした。

 映画「サニー/32」は現在公開中。