渡辺篤史『建もの探訪』2月で1500回突破!“褒め芸”で「住宅事情がよくなっていけば」

エンタメ総合
2019年01月30日
©テレビ朝日
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 渡辺篤史が個性豊かな住宅と家族を“探訪”するテレビ朝日の『渡辺篤史の建もの探訪』((土)前4・30)が、2月2日に放送1500回を突破する。

 同番組は1989年にスタートし、4月で放送30周年を迎える。これまでに1500軒以上の住宅と6000人超の家族を取材し、平成の家づくりを見つめ続けてきた。もともと渡辺は建築雑誌を読みふけり、本棚にずらっと並べていたというほどの建築好き。「自分が将来、家を建てられるチャンスがあれば、建築家にお願いしたいとも思っていた。そんなときにテレビ朝日からこの番組をやらないかと声がかかったのですが、初代のプロデューサーは僕が建築好きなことはまったく知らなかったんです(笑)」と振り返る。

 当初は沖縄から桜前線とともに北上し、日本全国の名建築を訪ねる旅番組として企画され、3か月間で終了する予定だったが、人気を呼んで長寿化。取材対象も公共建築から徐々に住宅へとシフトして今日の形となったが、渡辺いわく、実は「沖縄から始まったロケが熊本あたりまで来たところで、僕は飛行機で取材に通うことに疲れてきて…(笑)。それでプロデューサーに(近郊でロケができるし自分がいちばん興味を持っている)個人住宅の取材にしましょうよ、と提案した」のだとか。

 人気の秘密は、30年間一貫して変わらない渡辺の取材スタイル。台本、現場の下見、打ち合わせは一切なし。番組冒頭の家族とのあいさつシーンが正真正銘の初対面。渡辺の新鮮な驚きこそが“探訪”の神髄だ。住宅のあちこちを「いいですね~!」と褒めまくる温かいリポートも好評で、ネット上では“褒め芸”と話題に。渡辺は「施主に選ばれた設計家が一生懸命考えて建てた家なのだから、僕はうまく仕上がっている部分を褒めて、それが放送されて評判になればいい」と持論を語り、「そうすることでその建築家を育て、ひいては住宅事情がよくなっていけばいいと思っています」と願いを込めている。

<渡辺篤史コメント>
◆番組スタート時のエピソードを教えてください!

 僕は、『建もの探訪』に関わる以前、20代半ばごろから建築雑誌の『新建築』や『住宅建築』『GA JAPAN』などを読みふけり、本棚にずらっと並べていたんです。自分が将来、家を建てられるチャンスがあれば、建築家にお願いしたいとも思っていた。そんなときにテレビ朝日からこの番組をやらないかと声がかかったのですが、初代のプロデューサーは僕が建築好きなことはまったく知らなかったんです(笑)。

 沖縄から始まったロケが熊本あたりまで来たところで、僕は飛行機で取材に通うことに疲れてきて…(笑)。それでプロデューサーに(近郊でロケができるし自分がいちばん興味を持っている)個人住宅の取材にしましょうよ、と提案したんです。 

◆平成の30年間、住宅を訪ねてきて感じることは?

 この30年間で、家が使いやすくなりました。長屋から団地への間取りの変化=食寝分離がエポックメイキングな出来事だったことを考えたら、今の進歩はすごい。変形した土地にも創意工夫次第で居心地のいい空間を作ることができる。そういう建築家の感性や工夫の数々をあげたらきりがないですね。

 また、番組を見てくれていた子供が番組の影響で建築家を目指し、やがて成長して夢をかなえた彼が設計した家を取材に行ったことがありました。彼はロケ現場の隅のほうに立って感激、緊張していた…。この番組が育てた青年たちとのこうした出会いは、涙が出るほどうれしいですね。 

◆“褒め上手”といわれることについては?

 僕は日本の住宅がもっともっと良くなればいいと思って、この番組をやっています。施主に選ばれた設計家が一生懸命考えて建てた家なのだから、僕はうまく仕上がっている部分を褒め、それが放送されて評判になればいい。そうすることでその建築家を育て、ひいては住宅事情がよくなっていけばいいと思っている。だから絶対に否定しない。設計家が施主の家族を思って一生懸命作っているものだから、いいところを探して世間話を織り込みつつ紹介しています。

◆この番組が果たしてきた役割とは?

 この番組が始まるまでは、一般の人が建築家に家を発注することは珍しいことでした。建築家は“先生”というか格式があるような印象で相談しにくかったんです。でも、実は個人で発注しても設計料が特段高くなるわけではないし、誰でも建築家に設計を依頼できることを知ってもらうことができた。画一的でない個性的な建物、身の丈にあった住宅。自分なりの自由な空間創り。『建もの探訪』がそのきっかけを作ったのだと思います。

 そして、一般の人が建築家に建ててもらうようになると、次第に家の中からインテリアのデザインにも強い興味を持つようになっていった…。有名デザイナーの家具や照明を積極的に取り入れたインテリアを紹介したのも、この番組が初めてだったのではないでしょうか…!