山田孝之「これからは“ムラニシ!”と呼ばれたい」

映画
2019年07月26日
『全裸監督』

 8月8日(木)から全世界独占配信されるNetflixオリジナルシリーズ『全裸監督』のワールドプレミアが開催され、山田孝之、満島真之介、玉山鉄二、森田望智、伊藤沙莉、冨手麻妙、後藤剛範、板尾創路、小雪、リリー・フランキー、國村隼、石橋凌、武正晴総監督が登壇した。

 山田は、本作への出演をオファーされた際の気持ちについて「『絶対に面白くなる』とワクワクしました。海外に行くと“セリザワ!”(『クローズZERO』での役名)と呼ばれることが多いのですが、これからは“ムラニシ!”と呼ばれたいです。いい機会を頂きました」とコメントし、会場の笑いを誘った。

 平成元年(1989年)生まれの満島は、「親世代の方々がまるで昨日のことのように当時のことを話す姿を見て、人間と人間が密に関わり、とてもエネルギッシュな時代だったのだと思っていました。この作品を通して令和の時代もエネルギッシュになったらうれしいです」と語った。

 本作でこれまでのイメージを覆すキャラクターを演じた玉山は「企画の題材が本当にすごい。Netflixは攻めてるな、と感じました。世界190か国で配信されているので、海外の友人たちも楽しみにしてくれていたり、国境を越えて観ていただける素晴らしいエンターテインメントになっていると思います」と自信をのぞかせた。

 そして、本作で“体当たりの演技”を見せた新星・森田は「恵美は表舞台に進んでゆく役ですが、その裏にあるきっかけや思いは忘れずにいようと常に心がけていました。最初はAV業界に進む恵美の気持ちが分かりませんでしたが、私と場所が違うだけで、彼女にとってはそこが輝ける場所なんだと理解してからは考えが変わりました」と振り返った。

 チーム村西の中で紅一点のメイク担当・順子を演じた伊藤は「毎日がすごく楽しかったです。撮影の合間に健康について話したり、本編とは真逆なとても平和な撮影現場でした」と。

 村西の初監督作品で女優を務めた奈緒子役の冨手は「チームワークが本当に素晴らしかったです。“キレイ”“カワイイ”“セクシー”を飛び越えて、女性に対するリスペクトを持って撮影していただいていました。“女性の裸”への概念が変わる作品だと思います」と語った。

 撮影担当・ラグビー後藤を演じた後藤は「ハワイロケでは半分が現地のスタッフさんで、カットがかかるたびに大皿にフルーツを乗せたおじさんがフルーツを配ってくれました。最初は遠慮していましたが、皆いつの間にか、おじさんを探すようになっていて、それも海外ロケならではだと思いました」と現場の様子を明かした。

 元々はダメサラリーマンだった村西の先輩・小野を演じた板尾は「山田さんの演じる村西の豹変ぶりは本当に驚きました。あの独特な村西の口調は、小野から受け継がれたものだったりするのかなと。村西の歴史を感じられて楽しかったです。そう思うと、無駄な時代は一つもないんですね」と山田の演技を絶賛した。

 恵美の厳格な母・佐原加代を演じた小雪は、『全裸監督』というタイトルの作品に出演する意外性について問われると「私自身、“性”について女性同士で語ったり、カップルで話し合うことはとても大切なことだと思っています。女性が発言することで自己表現していくということは、この時代につながるテーマになると感じ、現代の女性への応援メッセージになればと参加させていただきました」と熱く語った。

 村西を追い詰める刑事・武井を演じたリリーは、自身の役どころについて「刑事らしくない刑事の役を演じました。“村西とおる”は僕にとってポップスターなので、どんな役でもやろうと思っていたのでオファーを頂けてうれしかったです。あるAVコンテスト企画の名誉総裁を何年か務めていたので、ドラマという形でAVを描けて、かつ、世界中の人が同じタイミングで観ていただけるのはうれしいです」と出演の喜びを語った。

 村西たちに近づく新宿歌舞伎町のヤクザを演じた國村は、スタジオに作られた巨大な歌舞伎町セットでの撮影について「我々役者は、セットに入った時にフッとその気になれるかが大切。『全裸監督』の撮影現場は、その時代の空気が見事に再現されていて、素晴らしいセットでした」と。

 業界最大手ポセイドン企画社長・池沢役の石橋は、あらゆる手段で村西を妨害する恐ろしさと、娘に甘い家庭的な一面を持つ役どころについて「池沢を通して、80年代の物欲や金銭欲にギラギラした熱を表現できればと思い演じました。僕には悪党か危ない男の役しかオファーが来ないのですが(笑)、実際の村西さんと池沢のモデルとなった人物はそこまで対立関係ではなかったということでしたが、ドラマの中ではより敵対するキャラクターとして役作りをしました」と語った。

 武総監督は撮影を通して、山田と森田の変化を一番に肌で感じることがあったという。それに対し山田は「村西さんご本人とお会いして、スイッチを入れて話す、相手によって表現を変える部分は意識して表現しました」と本人との対面により得た感覚を役作りに生かしたことを明かした。

 森田は「自分ではそこまで変化することを意識していませんでしたが、恵美のように私自身もこの現場で素晴らしいキャストの皆さんに囲まれて、たくさんのことを吸収できたと思います」と感謝した。

 最後に武総監督は「女性へのリスペクトなくして、これからの作品は作れないと思います。今作でも出演してくれた女優陣は本当に体を張って演じていただいていますし、スタッフたちもどうしたら女性の生き生きとした姿が描けるかを考えて取り組みました。女性の方にもぜひ見ていただきたいです。そして、この題材を選び作品にすることはとても難しかったですが、これを機に日本も難しいことを面白くすることに挑戦していければと思います」と力強く語った。

<STORY>
会社は倒産、妻に浮気され絶望のどん底にいた村西(山田孝之)はアダルトビデオに勝機を見出し仲間のトシ(満島真之介)、川田(玉山鉄二)らとともに殴り込む。一躍業界の風雲児となるが、商売敵の妨害で絶体絶命の窮地に立たされる村西たち。そこへ。厳格な母の元で本来の自分を押し込めていた女子大生の恵美(森田望智)が現れる。ふたりの運命的な出会いは、社会の常識を根底からひっくり返していくのだった―。

Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督』
8月8日(木)Netflixにて全世界独占配信

総監督:武正晴
監督:河合勇人、内田英治

出演:
山田孝之 満島真之介 森田望智 柄本時生 伊藤沙莉 冨手麻妙 後藤剛範・吉田鋼太郎 板尾創路 余貴美子/小雪 國村隼/玉山鉄二 リリー・フランキー 石橋凌

原作:本橋信宏「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)
脚本:山田能龍、内田英治、仁志光佑、山田佳奈
美術監督:中西梨花 音楽:岩崎太整
撮影:山本英夫 美術:清水剛 照明:小野晃
録音:竹内久史 衣装デザイナー:小川久美子

Netflix作品ページ:https://www.netflix.com/全裸監督