堤真一×石田ゆり子で交錯する夫婦の「望み」を描いた話題作が映画化

エンタメ総合
2020年02月28日
©2020「望み」製作委員会 

「クローズド・ノート」「検察側の罪人」の雫井脩介のサスペンス小説「望み」の映画化が決定。堤真一と石田ゆり子が夫婦役を演じる。

2016年に刊行されるや読者満足度は驚異の100%(ブクログ調べ)を記録し、2019年に文庫化後即重版され、累計発行部数は15万部超えるなどベストセラーとなった「望み」。

単行本刊行当時から話題となり、映画化の希望が各社から殺到したというが、中でも原作に惚れ込み映画化を熱望したのが今回メガホンを執る堤幸彦監督。

本作に登場する主人公一家の息子を想いながらも家族を守ろうとする父、愛情深く最後まで希望を捨てない母、サッカー選手になる夢を閉ざされ家族と気持ちが離れていく高校生の息子、高校受験を直前に控える中三の娘。誰もがイメージできる幸せな家族像に合う俳優を探し続けるなどキャスティングにこだわり、それにふさわしい脚本作りに実に4年の歳月をかけて撮影に臨んだ。

主人公の一級建築士・一登を演じ主演を務めるのは、これまで数々の映画賞を受賞し、「決算!忠臣蔵」「土竜の唄」シリーズなど痛快なコメディ作品からクラシカルな文芸大作の舞台もこなす名優・堤真一。“ダブル堤”となる堤幸彦監督とは今回が初のコラボ。

妻・貴代美を演じるのは、「マチネの終わりに」で運命の恋に落ちる女性ジャーナリストを演じ、堤監督とは「悼む人」以来2度目のタッグとなる石田。堤真一とは初の映画共演となる。

映画「望み」は今秋公開。

[堤幸彦監督 コメント]
息子が事件の被害者となるか加害者となるか、どちらの結末を迎えても惨憺たる結果になるこの物語はミステリーであるだけでなく、設定や行動のディティール、父と母の葛藤とその心理描写の緻密さに圧倒されました。社会的にも経済的にも成功した主人公が、息子の失踪をきっかけにその『家族』が壊されていく。我が身に明日起きても不思議ではない。そのスリルと感情の揺れをストレートに役者の芝居で描きたいと考えました。堤真一さんとは初めてですが、映画「クライマーズ・ハイ」(2008年公開)やいくつかの舞台、映画、ドラマを拝見させていただいてお手合わせしたいと考えていました。また石田ゆり子さんとは「悼む人」以来6年ぶりとなりますが、お二人とも苦悩する父と母を見事に演じ切ってくださいました。

[堤真一 コメント]
堤幸彦監督とは初めてのお仕事でしたが、毎日現場に入ると監督が、その日の撮影イメージについて丁寧に説明してくださいました。芝居を見てから、シーンのカット割りを決めていくという、現場主義の監督ですね。脚本を初めて読んだときは、難しい作品だと感じました。家族をテーマにしたサスペンスであり、ただの家庭ドラマではない。自分の子供がまだ小さいからか、中高生の子を持つ親の気持ちやその年頃特有の不安定さというのが掴みづらくて、最初はできるだろうかと不安もありました。でも、実際撮影に入ってみると、その中高生の子供たちが自分の子供として、とても愛おしく思えたんです。監督が順撮りしてくださったお陰なのですが、家族に一体感が生まれて、無理することなく芝居ができました。石田ゆり子さんとは初共演でしたが、いずれご一緒したいと思っていました。いつも現場の空気を和ませてくれる素敵な方で、今回、一緒に家族を演じることができ、とても嬉しかったです。

[石田ゆり子 コメント]
堤幸彦監督とは「悼む人」以来です。撮影はとても早いし、無駄なことを一切おっしゃらないので役者としてはとても緊張感があります。今回は私たち俳優の気持ちを汲んで、ほぼ順撮りにして下さりそのことが本当にありがたかったです。奥寺佐渡子さんの脚本は、辛い中にも透明感というか、優しい光のようなものを感じる素晴らしいものでした。本当に辛い物語なのですが、でもきっと目に見えない大切なことが沢山映っている映画になるのではないかと思っています。堤真一さんとは、いつかご一緒したいと思っていたのでご一緒できて幸せでした。家族の物語なので、率先してみんなをまとめてくださったり、楽しい話をして、場を和ませてくださったりとてもありがたかったです。私の役は、息子が加害者であろうと被害者であろうととにかく命だけはあってほしいと願い続ける母親の役なのですが、その点においては一切の異論なく彼女の気持ちが分かります。「望みはある」と信じ続ける彼女を演じながら私はいつも、祈るような気持ちでいました。

[原作者・雫井脩介 コメント]
「望み」は、父と母の心理描写を軸にして紡いだ作品であり、その心理描写が使えない映像というジャンルでこの物語を活かすことは難しいのではと思っていました。しかし、奥寺佐渡子さんから素晴らしい脚本が上がったことでその不安は消え、シリアスな社会派ドラマを含めた多くの作品を手がけてきた堤幸彦監督が、これをどのようにスクリーンに映し出してくれるかという楽しみが一気にふくらみました。堤真一さんと石田ゆり子さんはその安定感でもって、よき父、よき母にしっくり収まります。それゆえ、事件によって平穏な日常が壊れていく様も際立ち、観る者に強く訴えかけてくることだろうと思います。