山形放送制作のドキュメンタリー『時給10円という現実~消えゆく農民~』2・8放送

エンタメ総合
2025年02月07日
『時給10円という現実~消えゆく農民~』
『時給10円という現実~消えゆく農民~』

公益財団法人 民間放送教育協会に加盟する全国33の放送局から企画を募集し、その中から最優秀企画を選んで、1年かけて制作・放送するドキュメンタリー番組「民教協スペシャル」。今年は山形放送制作の『時給10円という現実~消えゆく農民~』(テレビ朝日 2月8日(土)午前10時30分~11時25分)を放送する。

農民はこの20年間で半減、8割が60代以上。稲作農家の年間平均農業所得は2021、22年と2年連続で1万円。時給に換算すると10円。かつて成田闘争で共に闘った夫婦から見た「農なき日本」のリアルとは…。

2024年、いつにも増して暑い夏。スーパーの店頭からコメが消え、新米が出回るころには値段が跳ね上がった。「コメはこの先どうなってしまうのか」。コメをつくる人たちは実際のところ何を思っているのか。「稲作農業は本当に大変な状態。多くの農民がものを言わずに消えていく。どれだけ大変かが世に伝わっていない」。

コメ農家など1経営体当たりの2022年の収入は補助金を含めて378万円。肥料代や光熱費なの経営費を除けば手元に残る所得は1万円、平均労働時間で割った時給はわずか10円。

稲作農家は特に高齢化が顕著で、20年後に今の60代以上が引退してしまうと現在の1割台にまで激減すると見込まれている。

山形県長井市に住む菅野芳秀さん(75)。身長191センチ、体重100キロほど。農業に夢や希望は見いだせず東京の大学に進んだ。成田空港建設に対する反対運動に参加、「農民にはなりたくないが、農業を侮られたくない」。後に妻となる佐智子さんとはその砦で出会った。子供から老人まで村をあげて抗っている農民の姿に共感し、教職に就きながら、週末は援農のため三里塚に通った。

1年遅れて大学を卒業した芳秀さんは帰郷し就農。以来50年。減反を拒否して地域で孤立、地域の減農薬栽培からの農薬の空中散布廃止。生ごみをたい肥にし地域の台所と田畑をつなぐ「レインボープラン」の立案・稼働…。「七転び八起き」ではなく「七転八倒」と振り返る。

「本当にいなくなっているんだから農家が。やめさせられてクビになって。知らなかったとは言わせないよ」。菅野さんは講師として招かれた勉強会で国会議員に声を荒らげた。国が進めている大規模な区画整理事業の陰で大規模化しない、できない農民は田んぼから去っている。

農村体験で東京から訪れた高校生には農道に敷いたビニールシートの上で、「朽ちていく柿の実から芽吹く柿の種のように新たな可能性をはらんだ希望の道を自分でつくっていくんだ」と語りかける。

客員教授を務める都内の大学では学生たちに呼び掛けた。「日本から農民がいなくなったとしても、たくさんの市民が農に関わる。『国民皆農』こそ長続きする人間社会、農との関係性だと思う」。家族農業、兼業農家も大規模法人も、そしてベランダ農業も、みんなが土と関わり、みんなが命の世界と関わり、農を守っていく。消えゆこうとする農民の声に耳を傾ける。ナレーションは余貴美子。

番組情報

『時給10円という現実~消えゆく農民~』
テレビ朝日
2025年2月8日(土)午前10時30分~11時25分 ほか

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