棚橋弘至「自分にグッジョブ」苦境の2年4か月を経てベルト奪還!波乱の道のりを振り返り、この夏の野望を語る

特集・インタビュー
2017年06月28日

新日本プロレス不遇の時代を支え、V字回復へと導いた立役者、棚橋弘至選手のインタビューをお届け。2年4か月ぶりのベルト奪取について、新日本プロレス夏の一大イベント、「G1 CLIMAX(以下G1)」について、たっぷりお話をうかがいました!


プロレスが家族で楽しめる「スポーツエンターテイメント」になった

棚橋弘至

◆6月11日の大阪城ホール大会で、宿敵・内藤哲也選手に勝利し、念願のIWGPインターコンチネンタル王座を奪還した棚橋選手。まずはインターコンチネンタル王座の奪還、おめでとうございます!

ありがとうございます。やっと白いベルトを腰に巻くことができました(笑)。これも2年4か月もシングルのタイトルを手にできなかった棚橋を見放さず、応援し続けてくれたファンのおかげです。

◆今回の大阪城ホールでも満員札止めとのこと。新日本プロレスの勢いは止まりませんね。一時期の「プ女子」ブームに始まり、人気に火がついて久しい新日本プロレスですが、以前と変わったことはありますか?

とにかくファンの方々が熱い。女性のファンだけでなく、子供たちが増えているのもうれしいですね。どんなスポーツも同じですが、若い世代に支持されなければ将来はありません。昔は「危険」とか「野蛮」と言われて、「子どもたちに良い影響を与えない」と思われていたプロレスですが、今では家族で楽しめる「スポーツエンターテイメント」として認知され始めています。そこにはトップ選手の思想が込められていて、暴力的な描写が少なくなりながらも「競技」としての素晴らしさが表現できているのではないでしょうか。まぁ、これも「棚橋効果」ですね(笑)。

◆女性ファンが増えた理由は、選手のカッコ良さも一因とされていますが…その点では他を寄せ付けない棚橋選手、女性ファンの何割くらいが「棚橋ファン」だとお考えですか?

そうですねぇ。約50%…女性ファンの半分は棚橋ファン。あっ、この答えは謙遜しての数字ですからね(笑)


待ち望んでいた超満員の会場でメインを張れなかった悔しさ

棚橋弘至

◆一方、新日本プロレスの人気が沸騰するなか、棚橋選手がベルトを巻けない状況が続いていました。その心境はどうだったのでしょうか?

歯がゆかったですね。僕が待ち望んでいた超満員の会場でメインを張れない…その悔しさは半端じゃなかったです。でも、良いときもあれば、悪いときもあるというのはプロレスも人生も同じ。そう考えて2年4か月を過ごしてきました。この、シングルのチャンピオンになれなかった悔しさが、先日の大阪城ホールでの勝利につながったんだと思います。

◆その間も応援を続けてくれたファンの力は大きかったのでしょうか?

2年以上勝てなかった僕を応援し、一緒に待ち続けてくれた「棚橋ファン」には感謝しかありません。会場では、僕が勝ったことで、泣いてくれている女性ファンもたくさん見えました。プロレスラー冥利に尽きる瞬間ですね。なかなか人を感動で泣かせることはできませんから……。人に感動を与え、泣いてもらえる、プロレスラーという仕事に自信が持てました。自分を「グッジョブ」と褒めてあげたいです(笑)。


長期政権にしてベルトから個性を発揮したい

棚橋弘至

◆ちなみに、インターコンチネンタル王座の白いベルトですが、内藤選手が放り投げたり、足で蹴飛ばしたりと手荒に扱ったため、かなり傷んでいますよね。こちらは新たに作り直すのでしょうか?

僕が持っているミニ四駆の技術を駆使してレストアしようかと(笑)。でもダメージ感やヴィンテージ感が出てきたので、ダメージジーンズに合わせてカッコ良くコーディネートできたらいいかもしれません。仮に新しく作り直すとするなら、個性的なデザインがいいですね。仮面ライダー風にアタッチメントを挿入すると変身しちゃうとか。ベルトから個性を発揮するのもアリだと思います。

◆ベルトを改造するなら、ある程度、長期政権でなければならないですよね?

確かに。でも、その自信はありますよ。それが僕に課せられた宿命であり、新日本プロレスを背負うトップレスラーとしての責任ですから。


G1 CLIMAXでは「疲れたことがない」自分が有利

棚橋弘至

◆さて、新日本プロレス夏の風物詩といえば、G1 CLIMAX ですね。約1か月にわたってシングルマッチのリーグ戦が続く過酷な大会です。昨年のG1は5勝3敗1分という成績でしたが、今年はどうでしょうか?

今年は期待してください。なぜなら、長い戦いになればなるほど僕には有利になる。生まれてこのかた疲れたことがないですから。それは生まれ持った才能かもしれませんね(笑)。

ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのリーダー内藤哲也選手(左)、バレット・クラブのリーダー、ケニー・オメガ選手(右)©新日本プロレス
ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのリーダー内藤哲也選手(左)、バレット・クラブのリーダー、ケニー・オメガ選手(右)©新日本プロレス

◆G1では、同じユニットの仲間と戦う可能性もあると思うのですが、その点、どうお考えですか?

ファンとしてはバレット・クラブやロス・インゴ(ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン)同士の対決を楽しみにしているでしょうね。僕としてはお互いに潰し合ってくれればいいな……と思っています(笑)。

第65代IWGPヘビー級王者、オカダ・カズチカ選手 ©新日本プロレス
第65代IWGPヘビー級王者、オカダ・カズチカ選手 ©新日本プロレス

◆戦いたい相手、絶対に負けられない相手はいますか?

最近のオカダの王座は磐石なので、どこかで止めないといけないなと思っています。でも、僕はインターコンチネンタル王者、オカダはIWGPのチャンピオンですから、王者同士の戦いがG1の場であるべきなのか…悩むところです。でも、戦うことになったら徹底的にブッ潰しますけどね(笑)。

◆棚橋選手にとって、G1に対するイメージとはどんなものでしょう?

楽しみでもあり、厳しい戦いですね。しかし、多くのファンは「G1の棚橋=優勝旗を折った」というイメージ(笑)。今回G1を制したら優勝旗を折らないように振り回します。旗をうまいこと折らずに振り回す、ドキドキ感をファンと共有したいですね!


「裸エプロン」をSNSにアップしたらものすごい反響が

棚橋弘至

◆ちなみに、ケガの具合はいかがでしょうか? 内藤戦の前に腕をケガしておられましたが……。

昨年は左肩を剥離骨折し、先日は右腕の上腕二頭筋を切ってしまったので万全とはいえません。でも、プロレスラーにとってケガは言い訳になりませんからね。本来なら治療には腕を固定したままで4か月ほどかかるらしいのですが、そんな時間はありません。いまも筋肉が切れっぱなしの状態ですが、戦いながら筋力を戻していきます。でも「災い転じて福となす」ではありませんが、筋肉が切れてしまったことで上腕二頭筋の盛り上がる部分が移動してカッコ良くなりました(笑)。左右のバランスがバッチリになって。「理想の筋肉美」ってヤツですね。

◆筋肉美といえば、最近では3月24日にインスタグラムにアップされた棚橋選手の「裸エプロン」が大きな話題になりましたよね。そのセクシーさに女性ファンからは悶絶の声が上がったとうかがいましたが……。

あっ、そこ話しちゃいます? 某テレビ番組で裸エプロン姿になったところ、ものすごい反響がありました。SNSに写真をアップしたらレスポンスが大きくてビックリ。世の中に「裸エプロン」のニーズがあったってことですね(笑)。でも最近「筋肉エプロン業界」にオカダが殴り込んできて。棚橋の独占市場を荒らしているんですよ。

◆そんな確執もあったんですね(笑)。世の中に「筋肉エプロン業界」というものがあったことも驚きです(笑)。

言っておきますが、「筋肉エプロン」のジャンルは僕のテリトリーですからね! その辺り、オカダには「気を遣えよ」と言いたいです(笑)。


タイガーマスクWに登場する自分がカッコイイ!

©梶原一騎・辻なおき/講談社・テレビ朝日・東映アニメーション
©梶原一騎・辻なおき/講談社・テレビ朝日・東映アニメーション

◆話は変わりますが、人気のアニメーション「タイガーマスクW」に棚橋選手も登場していますが、ご覧になっていかがですか?

実在するプロレスラーとアニメのメディアミックスは面白いですね。なんといっても劇中に登場する棚橋がカッコイイ。特にオープニングとエンディングに出てくる棚橋が素晴らしいですよね。実物に比べて……かなり盛られてます(笑)。個人的にはアニメの中でタイガーマスクWとタッグを組んだ姿も見たい。そして、タイガーマスクWのスピンオフとして棚橋を主人公にした作品を作って欲しいですね(笑)

©梶原一騎・辻なおき/講談社・テレビ朝日・東映アニメーション
©梶原一騎・辻なおき/講談社・テレビ朝日・東映アニメーション

◆実際にタイガーマスクWがG1に出場したら面白いですね。

それは面白い! きっとファンは盛り上がると思いますよ。プロレスの認知度を高めるためには入り口は多ければ多いほどいいですからね。メディアミックスがきっかけでアニメのファンがリアルなプロレスを観戦しに来てくれたらうれしいです。大歓迎ですね!

「THE BEACH HOUSE 真夏のライオンキッチン ~SUMMER G1 AUDITION~」

◆メディアミックスといえば、芸能事務所であるアミューズとタッグを組んで、新日本プロレスが鎌倉の由比ガ浜で海の家(※)を出すということですが…。

そうなんですよ。新日本プロレスの海の家なんて新しい試みですよね。海の家にはリング型ステージを設置して、お笑いコンテストやマッチョコンテストなんかも行うんです。開催期間中はG1と重なってしまうので、なかなか顔を出せないですが、時間を作ってイベントに参加したいですね。フードメニューには僕が提案したヘルシーサラダや、真壁さんのオリジナルフレーバーのかき氷なんかも用意しているので、ぜひ遊びに来てください!

白い建物もオシャレだし、パウダールームやシャワールームも完備しています。店員もマッチョなイケメンが揃っているので、プロレスファンだけでなく女性も気軽に楽しめると思いますよ。ここだけの話ですが、僕も海の家に行くために新しい海パンを買いました(笑)。みなさんと会えるといいんですが…G1と合わせて、ぜひ楽しみにしていてください!

◆インターコンチネンタル王者に返り咲き、今後の活躍が大いに期待できる棚橋選手。インタビューの際は、終始笑みを浮かべながら、楽しく答えてくれたのが印象的でした。包み込むような温かな雰囲気、旺盛なサービス精神に触れ、取材陣一同、改めて棚橋選手が好きになった次第です。一方で、普段の穏やかな雰囲気から一転、試合でしか見られない鬼気迫る表情もみどころ。みなさんもぜひG1に足を運び、ナマ棚橋選手の魅力に触れてみてください!

※正式名称「新日本プロレス×アミューズ THE BEACH HOUSE 真夏のライオンキッチン ~SUMMER G1 AUDITION~」

 

■PROFILE

棚橋弘至棚橋弘至(たなはし・ひろし)
岐阜県大垣市出身。1976年11月13日生まれ。新日本プロレス所属。身長181㎝、体重103㎏。「100年に一人の逸材」と呼ばれる新日本の絶対的エースで、第16代IWGPインターコンチネンタルチャンピオン。2016年にベスト・ファーザー賞にも輝いた優しきパパでもある。フィニッシュホールドは「ハイフライフロー」。エアギターのパフォーマンスと「愛してま~す!!」の決めセリフでも知られる。どんなに多忙でも、「疲れたことがない」と公言することでも知られ、挨拶で「お疲れ様です」と言われた場合は、「いえ、生まれてから疲れたことがありません」と返すことが多い。

棚橋選手のツイッターはコチラ

 

■試合情報

ローソンチケット Presents G1 CLIMAX 27
2017年7月17日(月)~8月13日(日)
北海道/東京/福島/宮城/新潟/愛知/岐阜/鹿児島/福岡/愛媛/大阪/静岡/神奈川/東京

最新情報はG1 CLIMAX 27特設サイトまで

 

■海の家情報

新日本プロレス×アミューズ THE BEACH HOUSE 真夏のライオンキッチン ~SUMMER G1 AUDITION~
概要:今年、創立45周年を迎えた新日本プロレスと、芸能事務所アミューズのタッグでオープンする海の家。新日本プロレスの人気選手とフードやグッズでコラボを展開するほか、期間中は毎日、勝ち抜き戦のタレントオーディション「G1 マッチョオーディション」「G1 お笑いオーディション」を開催。店内には選手に負けないマッチョな店員も常駐し、腕力を生かした風船割りゲームやアームレスリング大会を行うなど、サービス盛りだくさんでお届け。

開催期間:2017年7月1日(土)~8月31日(木)
時間:20:30 最終入店(※期間中、毎日14:00~17:00でオーディションイベント実施予定。※海水浴場は9:00~17:00まで)
アクセス:鎌倉由比ガ浜海水浴場(神奈川県鎌倉市由比ガ浜4)

オフィシャルサイトはコチラ

 
撮影/黒飛光樹(TK.c) 文/並木政孝