日比美思インタビュー「たくさんのエネルギーをもらえる、今だからこそやる意味のある舞台だと思います」舞台「陽だまりの樹」

特集・インタビュー
2021年03月04日

◆今回の舞台は日本の転換期といわれる幕末が舞台。さまざまな思想が飛び交い、多くの人々にとって生活や生き方自体にも変化が生まれた時代ですが、台本を読まれてどんな印象を持ちましたか?

今だからこそやる意味のある作品だなと感じました。この作品は菅田琳寧さん演じる蘭方医の手塚良庵と早乙女友貴さん演じる武士の伊武谷万二郎の2人が主人公の物語なのですが、激動の時代の中でそれぞれがいろんな出来事に巻き込まれていくんです。でも、逆境に負けることなく、強い気持ちで立ち続けようとする。そうした姿を見ていると、“私たちも彼らのように強く生きていかないといけない”と、たくさんのエネルギーをもらえるんです。

◆良庵と万二郎は性格も生き方も対照的な男性です。

まさに正反対ですよね。台本を読んでいても、最初は絶対に分かり合えないのではないかと感じました。でも、お互いのことをよく知るにつれて、「そういうものの見方もあるのか」とひかれ合う。それがやがて2人の生き方を変えていくことにつながるんですが、その過程もとてもすてきなんです。

◆いっぽう、日比さんはそんな2人と三角関係になるおせきを演じます。日比さんから見て、どんな女性だと感じましたか?

とてもかわいらしい女性です。純粋でいちずで。お寺の娘ということもあり、殺生を嫌っていて、“いつもみんなが笑える時代になればいい”と心の底から願っているところもある。また、普段は凛としていて強い信念も持っているんですが、恋をしている時のおせきさんは少しおっちょこちょいで(笑)。そのギャップも魅力的だなって思います。

◆おせきの心はやや万二郎に傾いてる印象を受けますが、でも争いごとが苦手な彼女にとっては武士の万二郎よりも、医師の良庵と一緒になったほうが幸せな人生を送れそうな気がします。

いやぁ、どうでしょう。そればっかりは分からないですよ〜(笑)。確かに、万二郎のように斬り合いがあるわけではありませんが、良庵は芸妓遊びが好きですからね。おせきさんにとっては、その心配があるんじゃないかと(笑)。それに2人ともすごく女性心をくすぐるんです。良庵には医術でみんなを救っていきたいという野望がある一方で、ちょっと性格的にだらしないところがあって(笑)、万二郎は常に武士としての誇りを持っていてカッコいいのに、恋愛のことになると不器用さが出てしまう。

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