山崎紘菜「モンハンのファンの方にはたまらない作品になっていると思います」「映画モンスターハンター」

特集・インタビュー
2021年03月26日

日本が生んだ人気ハンティングアクションゲーム「モンスターハンター」、通称「モンハン」がハリウッドで実写映画化され、2021年3月26日(金)に公開される。監督&脚本はポール・WS・アンダーソン、主演はミラ・ジョボビッチという、「バイオハザード」シリーズをヒットさせた夫婦コンビによる最新作。特殊部隊を率いる主人公の軍人アルテミス(ミラ)が異世界に迷い込み、巨大なモンスターを相手に壮絶な“狩猟”を繰り広げる姿を大迫力の映像で描いている。この作品でゲームでもおなじみのサポート役、“受付嬢”役をオーディションでつかみ取り、ハリウッドデビューを飾ったのが山崎紘菜さん。唯一の日本人キャストとして撮影に挑んだ彼女にインタビューを敢行しました。

◆原作のゲームはもともとご存じでしたか?

学生のころからはやっていたので知っていました。学校が終わるとみんなで集まって遊んでいましたが、当時はゲームが得意な方ではなかったので、私は友達がプレーしているのを横で見ている程度でした。作品に出演が決まり、本格的にプレーするようになったのは「モンスターハンター:ワールド」が初めてで。そして今は「モンスターハンターワールド:アイスボーン」をプレーしています。でも1人で狩りに行くのはまだ難しいので、友達を誘って協力プレーをすることが多いです(笑)。

◆愛用している武器は?

太刀です。使いやすいと思います。

◆思い入れのあるモンスターは?

モンハンのファンの皆さんが聞いたら「そこっ!?」って思われるかもしれないですが…最初につまずいたのが序盤も序盤のトビカガチです。1人でプレーしていて、これは誰かに助けてもらわないと立ち向かえないなと。そこで協力してもらいながらプレーをするようになったんです。おかげでクエストはクリアできたのでうれしかったですが、同時に、自分一人では全く歯が立たなかったモンスターを熟練者の方はこんなにも簡単に狩ってしまうのかと(笑)。

◆そんなゲームの世界を実写映画化した今作。受付嬢役は、オーディションだったそうですね。

オーディションはポール(監督)とskypeでお話をさせていただきました。海外の作品でのオーディションを受けるのは初めてだったのですが、ポールはすごく気さくでフレンドリーな方で。作品に関する説明などをフランクにお話ししてくださいました。海外の作品に出演した経験はないですが、この映画に対してすごくパッションを持っていると英語で熱意を伝えました。最後にポールが「南アフリカで待ってるね!」とひと言おっしゃって、skypeが切れましたが、それはつまり、出演できるということなのか、それとも見学に来てもいいということなのか。その言葉がどういう意味なのかとそわそわしていました(笑)。

◆正式に合格だと知らせを受けたのは?

数日後に事務所の方から出演が決まったと報告がありました。ただ、現地に行くまでは本当に決定なのか不安でした(笑)。

◆ハリウッドデビューが決まったわけですから、その喜びもあったのでは?

今回、たくさん取材をしていただいて「ハリウッドデビュー」と皆さんが言ってくださるのですが、私自身その実感があまりないんです。映画のエンドロールで自分の名前を見ても何か不思議というか。本当にあれは私なのかなと。なので自分がハリウッド女優! みたいな感覚は全くないです(笑)。夢のような幸運が舞い降りたと思っています。

◆受付嬢役に対してはどうアプローチされたのですか?

ポールからは、ゲームの受付嬢がそのままあの世界から飛び出してきたかのように演じてほしいと事前にお話を頂いていたので、ひたすらゲームの映像を見て、ストーリーや、スクリーンショットしたものを見たりと、とにかく研究をしました。まずはゲームの受付嬢に成り切る。その上で、本当に1人の人間として実在するようなリアリティーも加えられたらいいなと思っていました。

◆ゲームを完全再現した衣装も気持ちを高めてくれたのでは?

衣装の力は本当に大きかったです。全てオーダーメードで、私の体にミリ単位で合わせていただいた、世界に一着だけの特別な衣装なんです。私にしか着られないと思うと、より一層気持ちが高まりました。

◆頭に装着している望遠レンズもゲームそのままです。

“グラス”と言うのですが、ポールも受付嬢のビジュアルの中でこのグラスをすごく気に入っていて、「(使うところを)やって」とよく言われていました(笑)。他のキャストの方々にも「それってどうやって見えるの?」と注目されていました(笑)。

◆実際、どう見えているんですか?

そこは、ご想像にお任せします(笑)。

◆撮影を経て、受付嬢により愛着が湧いたのでは?

より一層大好きになりました。「~アイスボーン」だと、受付嬢の衣装が冬仕様になっているんです。それがまたかわいくて、着てみたいなと思いました。

◆受付嬢は映画で最初に登場するという点においても重要なキャラクターです。

台本を開くと最初に受付嬢が出てくるので、大役を任せていただいたとプレッシャーを感じることもありましたが、そのシーンの撮影は中盤で、キャストやスタッフの方々と打ち解けて仲良くなっていたころだったので、大事なシーンをそのタイミングで撮っていただけて良かったなと思いました。

◆クランクインして最初はどんなシーンだったのでしょうか?

ハンターたちと船から降りるシーンでした。私も含めいろいろな国からキャストが集まっていたのですが、ミラ(・ジョボビッチ)とトニー(・ジャー)以外はみんなその日がクランクインでした。みんなも緊張されていたみたいなので、私だけじゃないんだと少し気が楽になりました。それでもめちゃくちゃ緊張しましたけど(笑)。その日の撮影はあっという間に感じて、ホテルに帰ってからもふわふわした気持ちでした(笑)。

◆ミラと初めて対面したのもその日ですか?

そうです。「よく来たね、頑張ろうね」と笑顔で言ってくださって。ミラはその時からずっとお母さんのようにかわいがってくれました。日本で先輩方とご一緒する時も思いますが、やっぱりトップを走られている俳優さんは、誰にでも平等で優しくて、分け隔てなく愛情を持って接していらっしゃる。それが一流たるゆえんなんだなとあらためて感じました。自分もそういう俳優になりたいとミラの姿からも思いました。

◆トニーとはどんなコミュニケーションを?

トニーはいつもニコニコとされている方で、彼の母国タイでも、坂本九さんの「上を向いて歩こう」がポピュラーのようで「この曲、知ってる?」と日本語で歌ってくれました。毎日、会うたびに歌ってくれるので私も一緒に歌ったりしながら、トニーが歌詞を知らないところは教えてあげていました(笑)。

◆劇中では、そんなミラとトニーが筆頭となって巨大なモンスターに戦いを挑んでいきます。

ミラとトニーのアクションは本当に素晴らしいです。そして、2人と対峙するモンスターも見どころ。モンスターは全てCGなので、撮影では監督がその都度、「こういう動きをしているんだ」と頭の中に思い描いているイメージを説明してくださっていました。説明が英語なので、どうしても聞き落としてしまうことがあったのですが、周りのキャストの方たちが「これは、こういうことだよ」と教えてくださったり、助け合いながら撮影をしていました。

◆撮影で特に印象的だったモンスターは?

リオレウスですね。すごく恐怖を感じたので。もちろん他のどのモンスターもそうなのですが、撮影時1番緊迫感があったのがリオレウスでした。出来上がった映画を見たら想像していた以上に迫力があって、本当に食べられてしまいそうだなと(笑)。それくらいの臨場感がありました。ゲームとはまた違った、実写ならではのクオリティーで、モンスターが本当にそこに生きているかのようで。野生の本能で命の駆け引きをしているんだということがより伝わってきました。瞳の奥に何か感じるものもあって、そういう細かいところまで見られるのも魅力だと思います。モンハンのファンの皆さんにはたまらない作品になっていると思いますので、ぜひ劇場に見に来ていただきたいです。

◆公開を楽しみにしています。ちなみに、ゲームではリオレウスと戦いましたか?

はい。みんなに助けてもらいながら、何とか勝てています(笑)。

PROFILE

●やまざき・ひろな…1994425日生まれ。千葉県出身。A型。最近の出演作に、ドラマ『エアガール』、映画「劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME」「海辺の映画館-キネマの玉手箱」など。映画「ブレイブ-群青戦記-」が公開中。2021年4月11日(日)スタートのドラマ『ネメシス』(日本テレビ系)にも出演する。

作品紹介

「映画モンスターハンター」

2021326日(金)より全国公開

STAFFCAST
監督、脚本:ポール・WS・アンダーソン
出演:ミラ・ジョボビッチ、トニー・ジャー、ティップ・“T.I.”・ハリス、ミーガン・グッド、ディエゴ・ボネータ、山崎紘菜、ロン・パールマンほか

STORY
作戦行動中に砂漠で消息を絶った偵察小隊。その探索に当たっていたアルテミス(ミラ)率いる特殊部隊は、突然、激しい砂嵐にのみ込まれてしまう。砂嵐が去った後、彼らの眼前に現れたのは、未知なる世界の光景と…ありえないサイズの超巨大サイズのモンスター!! 近代武器が通用しないモンスターの猛攻に、小隊は全滅寸前にまで追い込まれる。絶体絶命の危機を救ったのは、見慣れぬ装備を身にまとい、巨大な剣を携えた一人の男(トニー)。彼はモンスターを狩るために戦う者=モンスターハンターであった。アルテミスたちはなぜ、モンスターがばっこする世界にやって来たのか? 元の世界に戻る方法はあるのか? 全ての真実を知るためには、次々襲来する巨大モンスターたちを倒し、生き残るしかない。狩るのは人間か? モンスターか!? 究極のサバイバルが今始まる!

photo/金井尭子