矢部浩之がサッカー愛を込めて語る「子供たちの成長期という見方もできるすてきな映画です」「映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ」

特集・インタビュー
2021年06月11日

◆では、のんちゃん以外で気になったキャラクターは?

昔は泣き虫だったのに、久々に再会したら体がすごく大きくなっていたナメックくん(谷安昭)。彼の成長もこの作品の1つのポイントかなと思いました。実際、急に成長する子っていますよね。考え方や立ち居振る舞いが大人っぽくなっていて。その意味で言えば、この作品はサッカーの物語というだけでなく、少年少女の成長期という見方もできる映画だなと感じました。あとは、やっぱり先生も気になりましたね。きっとつらい選択を迫られていたんやろうなぁって。のんちゃんを試合に出せばきっと得点率が上がる。そこは先生も認めているし、出してあげたい気持ちもある。でも、男子に交じることで選手生命にかかわるけがをするかもしれなくて。

◆大人の目線で見ると、先生の気持ちもよく分かりますよね。

そうなんです。僕も似たような経験がありましたから。逆の立場でしたけど、中学生の時に吹田選抜に僕ともう1人の子が選ばれるはずだったんです。でも、先生から「おまえは選ばない」と言われて。それも先ほどと同じ理由で、体ができていなかったからなんです。その時に「悔しい気持ちは分かるよ」と言われて。きっと先生もつらかったんやろうなと思います。ただ、その先生はすごく厳しい方だったんですけど、「おまえのボール扱いは通用するから、体を鍛えて高校で頑張れ」と励ましてくれたんですよね。それに、練習でみんなの前で手本を見せる時には必ず、「矢部が一番うまいから」と僕を指名してくれたりして。選抜には行かせてもらえなかったですけど、それはすごくうれしかったですね。

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