趣里「月子の一歩踏み込めない恐怖心にすごく共感を持てた」『初情事まであと1時間』

特集・インタビュー
2021年07月21日

脚本・演出を映画監督の橋口亮輔、三浦大輔、大九明子、谷口恒平らそうそうたるメンバーが務めるMBSドラマ特区『初情事まであと1時間』が7月22日(木・祝)よりスタート。恋人たちが初めて結ばれるまでの直前1時間を、オムニバス形式で描いていく。第1話は工藤阿須加&臼田あさ美、第2話は萩原利久&木竜麻生、第3話は松雪泰子&大森南朋、第4話は望月歩&青山美郷&中田青渚、第5話は岡本玲&ニシダ(ラランド)、第6話は中尾明慶&さとうほなみ、第7話は趣里&渡辺大知、第8話は細田佳央太&大友花恋が出演する。第7話「プラスマイナス、インタレスティング」(92日放送予定)に出演する趣里さんに、本作の監督を務めた大九監督との印象や役との共通点などを語ってもらいました。

◆本作のお話を聞いた時の感想を教えてください。

大九明子さんと初めて出会ったのは、映画のオーディションの時でした。今回は『時効警察はじめました』以来で、また大九組に入れることがとってもうれしかったので、ぜひとお返事しました。大九さんと一緒に作品が作れる喜びがありました。

◆実際に、演じられていかがでしたか?

台本はコメディで、すごく面白かったです。実際に演じる時には面白さだけではなく、月子という1人の女性のコンプレックスや抱えているものを、気持ちが通じそうな相手を目の前にした時に、言うべきか言わないべきか、といった葛藤もたくさん感じていました。面白さの先にいけたらいいなと思っていました。映像もきれいですので、そちらにも注目していただけたらうれしいです。

◆渡辺大知さん演じる陽太との掛け合いが中心になってきます。演じる上で何かお話はされましたか?

渡辺大知さんとは初めましてだったのですが、大九さんの作品に出演されていますし、私も何度も大九さんとご一緒させていただいているので、そんなにお話をしながら作っていくとかではなく、現場へ行って段取りして、大九さんの演出を受けて2人でお芝居をしてという感じで。多分大九組を経験して得た共通の何かがあったから通じ合えたのかなと、振り返ってみるとそういう感じがしています。

◆今回、渡辺さんとは初共演になりますが、共演されての印象を教えてください。

渡辺さんとは、スタイリストさんが共通の知り合いだったりするのですがこれまでお会いしたことがなかったんです。お芝居に対して、一直線に向き合うような印象がありました。真摯に1つひとつ考えていらっしゃっていて。実際にやりとりしていく中で、どんどん変化していって、お芝居を一緒にするのがとっても楽しかったですし、現場がすごく心地よかったです。多くを語らずとも、芝居でコミュニケーションが取れたという感覚がありましたし、またご一緒したいです。

◆印象的な演出はありますか?

雨のシーン中に私の寄りのカットがあるのですが、そこでは陽太君の想像の中で月子が誘惑している様子が描かれているんです。そのシーンは結構弾けさせていただきましたし、演じていてすごく面白かったです。大九さん節だなと思うのは、「あらら~」と月子が陽太君に手を引っ張られるところや、小道具のヘアピンを外すシーン、ワニの縫いぐるみにスマホがぶつかるカット、ろうそくを持っていく演出などです。そういうちょっとしたところに大九さんのセンスが入っていて大好きなんです。撮影中も、演出でどんどん豊かになっていく感じがしましたし、コメディでありながら、すごく狭間の心に寄り添っている感じがとても好きです。

◆月子のようなマイナスな考えを持った女性を演じてみていかがでしたか?

すごく分かります。何で自分ってこうなんだろうとか、思考のクセみたいなものって、皆さんもあると思うんです。月子みたいに絶対に男性とうまくいかないっていう、彼女の一歩踏み込めない恐怖心や悩みというのは私もすごく共感できました。それを補ってくれる陽太君の存在が、それこそ月と太陽の名前のような、そういう関係がすごくすてきだなと思いました。そこに飛び込んでいける勇気がある月子もすごいですよね。

◆受け止めてくれる陽太の存在も大きかったと思います。

そうなんです。それぐらいの勢いを持っている人。でもそれを不幸だと言ったら笑えなくなってしまうし、それでも前に進むんだというユーモアとともに進んでいく大九さんの本がすてきだなと思って。“人生はユーモアだ”ということも感じて、自分もそうなりたいなと思いました。

◆趣里さんは月子のようにコンプレックスを人に話せるタイプですか?

隠して振る舞ってしまいます。分かっているのに、それを考えてしまう自分も嫌だなとなりがちです。すごく心配性だし、自信もないですし、ただ、作品を見て楽しんでいただきたいという気持ちに立ち返って、突き進んでいけるようになりたいと思っている途中です。映画「生きてるだけで、愛。」などの出演作品で強めの女性のイメージを持たれることが多いのですが、実は真逆なんです(笑)。それでも前に進んでいくのは大事だと思っているので、コンプレックスを認めながらもうまく付き合っていく。それがいいのかなと思っています。未来に期待して今頑張ろうという気持ちです。

◆常に変わりたいっていう気持ちがある?

あります。それはきっと月子もそうだと思います。多分変わりたいと思ったから陽太君にコンプレックスを伝えたんじゃないかと思います。

◆趣里さんにとって、今思えば笑い話だけど、当時はつらかったというようなエピソードはありますか?

今から数年前に舞台中に捻挫をしてしまって、とても痛くて大変な思いをしたことがあります。もともとけがが原因でバレエを断念したのですが、同じところを捻挫してしまったんです…。その時は本当につらくて、鍼灸院に通ったりしました。その捻挫をした日に、マネージャーさんが迎えに来てくれたのですが、そのマネージャーさんがヘルニアで腰を痛めていた時期で(苦笑)。だからお互い「何も助けられないけど」って言いながら、2人で肩を貸し合ったことがあります。それが今思うと、すごい画で面白いなと(笑)。その後、何とか舞台も出来ましたし、今ではそのマネージャーさんも腰の調子が良くなっているので、今だからこそ「あの時、大変でしたよね」って笑えますし、「だけど痛かったですよね」と話せるエピソードです。俯瞰で見ていたら、相当面白い画だったと思います。

◆作中で、月子と陽太のキーアイテムとして“ドライバー”が出てきます。趣里さんが普段から必ず持ち歩くものはありますか?

私は絶対におせんべいを持ち歩いています(笑)。お菓子やグミは常に持っているようにしているんですけど、特に最近は、おせんべいがないとちょっとしっくりこないというか(笑)。ラッキーアイテムとして、おせんべいで落ち着かせています。

◆特に好きなおせんべいは何でしょう?

歌舞伎揚げは定番なんですけど、最近はいろいろチャレンジしています。新商品を見たら買ってみたりしています。ただ、やっぱりサラダせんべいなどの定番は好きで外せません(笑)。買い求めやすい物をよく買って、大袋のまま楽屋へ持っていったりもしますし、手につかめるだけかばんに入れて出かける時もあります。おせんべいを食べると休憩だぞってなるので、切り替えるスイッチのような役割になっています(笑)。

◆最後に、本作の見どころをお願いいたします。

今回は4人の監督がいらっしゃって、毎話全然違う色になっていると思います。共通した「初情事まであと1時間」というテーマを掲げながら、こんなに異なる作品ができるんだという驚きや発見も見どころの1つだと思います。皆さんが出演する回に懸けていらっしゃると思いますので、すごく熱量の高い11話が出来ていると思います。第7話は、大九さんならではのコメディ要素に加えて人の心が描かれていて、私も演じながら自分と重ね合わせることがあったので、皆さんにも、いろいろなことを感じていただけたらうれしいです。ぜひ、大九明子ワールドを楽しんでください。

PROFILE

趣里
●しゅり…1990921日生まれ。東京都出身。O型。最近の出演作には、『私の家政夫ナギサさん』『レッドアイズ 監視捜査班』など。

番組情報

MBSドラマ特区『初情事まであと1時間』
2021722日(木・祝)スタート

MBS 毎週(木) 深059~(※初回のみ 深109~)
tvk 毎週(木) 後1100~ほか

チバテレ、テレ玉、とちテレ、群馬テレビでも順次放送
TVerMBS動画イズム、GYAO!で見逃し配信1週間あり(全8話)
TELASA J:COM オンデマンドほかにて見放題独占配信(全12話)

<監督・脚本>
原作:ノッツ『初情事まであと1時間』
脚本・監督:橋口亮輔、三浦大輔、大九明子、谷口恒平
©「初情事まであと1時間」製作委員会

photo/金井尭子 text/田中ほのか

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